第00話(2)

文字数 587文字

「レオン、この国はどうやら負けたみたいだ」
 沈黙はラルフの一言で破られた。
 レオンはきょとんと目を見開き、驚いた表情でラルフを見つめる。
「マジかよ、それ。俺らシュヴァルツ王国は強国だったじゃねえか。そんでも、最先端技術を持つノールオリゾン国には負けるのかよ?」
 シュヴァルツ王国は長年、騎士の国で名が高く有名だった。
 そのシュヴァルツ王国が、ノールオリゾン国に降伏したという。
 この国一番の鍛冶屋の息子であるレオンは、呑気に武器を打っているが、そんなことをしている場合ではない。この国は滅びるのだ。
「その件に関してだが、ある噂を聞いた。替え玉のロボット、あれをどうやらアレックが準備しているようだ」
「ぶはっ、アレックが? あの馬鹿が?」
 と、笑い話にしたものの、レオンは何か腑に落ちない点がある。
 この国にロボットという高度な技術を持った技師がいるなんて――確か、あれはノールオリゾン国の技術だったはず。
「二人とも、聞こえてるよ。大声で喋りすぎだよ」
 そこに噂の人・アレックがやって来る。ラルフとレオンの二人は言葉を濁し、その場をやり過ごした。





「ねえ、ニコラ君? やっぱりさ、幾らロボットと言ったって、情が移るもんだよね?」
「アレック、良いのか?」
「セレナちゃん、彼女を救うよ」
 アレックとニコラは動き出す。反逆の歯車は回り始める。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

エレン・ディル(16)

シュヴァルツ王国第二皇女の少女。

性格はほのぼの穏やかだが、王女としてのプライドはある。

フェイを心の底から信頼している。

亡国となったシュヴァルツ王国を再建する為に、奮闘する。

フェイ・ローレンス(17)

エレン姫に仕える護衛騎士。

クールで一匹狼だが、面倒見が良い。

エレンの事が好き。

エレンの夢の為に、フェイもまた奔走する。

セレナ・エーデル

ニコラが作った機械人形。

通称・仮初めの姫。

たどたどしく喋るのが印象的。

アレックとニコラを親のように感じている。

アレック・リトナー(20)

おちゃらけている謎の剣士。

セレナとニコラを連れて、旅をしている。

昔はセレナ姫の護衛騎士だった。

セレナ姫と瓜二つのセレナに特別な感情を抱いている。

ニコラ・オルセン(19)

腕の立つ技師。

部乱暴なしゃべり方で心は熱い。

アレックとはなんやかんやで仲が良い。

機械人形・セレナの親的存在。

香月七瀬(16)

ツツジの集落に住んでいた香月家の少女。

今は家出して、ダニエルの元にいる。

明るく元気な性格。

ダニエルの事を少々気になっている様子。

ダニエル・フォン・マクスウェル(25)

若き青紫男爵家領主。

シュヴァルツ王国を再建する為に奔走する。

物腰柔らかで爽やかな性格。

七瀬の事をなんやかんやで信頼している。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み