6話
文字数 711文字
朝起きたら隣に永遠先輩はいなかった。
昨日のことすべてが夢で妄想だったんじゃないかと思った。
けれど、昨日の先輩の香りも、仕草も忘れることは出来なくて、夢じゃないことは僕が一番覚えている。
思い出すとあたたかいものが胸にこみあげてきて、永遠先輩がいないという現実にわんわんと泣いた。
どれだけ嫌だと願ってもこうして朝は巡ってきて眩しい光で僕を照らす。
泣いたら吹っ切れてすっきりした。
いつまでもめそめそしていてはかっこ悪い。
こんな男じゃ永遠先輩に合わせる顔がない。
顔をあげた僕の目に飛び込んできたのは手紙だった。
枕元に置かれていたのは桃色の封筒だった。
中を開いて目を通すとかわいらしい丸文字の、永遠先輩の筆跡だった。
『ユウくんへ
私の人生は短くても充実していました。
だから、私が死んだことをユウくんが悔いる必要はないんだよ。
ユウくんとまたこうして過ごすことが出来てとても楽しかったよ。
私はすごく幸せです。
ありがとう。そして、ばいばい。
永遠に、貴方を愛しています…… 』
手紙を読んだ僕はまた泣きそうになり、ぐっと涙を抑えた。
永遠先輩に会えただけで、幸せで、夢みたいだった。
もう傍にいないけれど……昨日だけでたくさんの強さをもらった。
辛くても日々を生きよう。僕らの見守ってくれるこの街の木に感謝して――