第89話 金の問題ではなく命の問題

文字数 1,110文字

 平成二十五年八月二十三日、家庭裁判所の裁判官の名前で、間接強制申立事件の決定が届く。

一 債務者は、債権者に対し、未成年者を引き渡せ。
二 債務者が本決定送達の日から七日以内に前項記載の債務を履行しないときは、債務者は、債権者に対し、上記期間経過の翌日から履行済みまで、一日当たり金三万円の割合による金員を支払え。

 バカだな、裁判官。何度言えば、分かるのだろう。
 金の問題ではなく命の問題で、大切なのは娘で、家裁が事実を見極められない以上、狂気の母親から娘を守れるのは、もはや父親だけ。
 調査官は、あなたの判決を少しでも有利にするために、わざわざ直接聞いてもいない娘の声を捏造したけど、私は異常な妻の言動を目の前で経験しているし、妻が娘の口を鷲づかみにして「何食べてるの?」と脅迫している姿を目の前で見ている以上、父親として娘を必死に守るだけで、嘘の調査報告書に基づいた審判に従い、一日三万円も取られるからという理由で、「はい、引き渡します」なんて無責任なことを言えるわけがない。

 裁判官、あなたも家庭を持つ父親なら、異常な母親から娘を守ろうとする父親の思いが理解できませんか。
 無理か…、常識と引き換えに司法試験合格を果たしたのですよね。エリートさまに、下々の父親の心情なんて、理解不能ですよね。

 一日三万。一か月引き渡さなかったら、九十三万。
 一年間引き渡さなければ、千九十五万円。
 千九十五万円って、裁判官も分かっているはずだけど、すでに年収を越えているし、当然一日あたりの収入をはるかに上回っている以上、払おうにも払いようがない金額で、差し押さえしたって取れるわけもない金額なのに。
 この辺の裁判官の感覚は、世間の感覚や一般常識を超えていて、ホラーと言うかダークファンタジーの世界。
 しかも、私自身が陳述書でも書いたように、異常な母親から娘を守ると心に決めている以上、どんなに金を奪われようが、自分自身の人生をドブに投げ捨てようが、「父として娘を守る」と言ったら、守り抜く所存です。
 調査官が調査報告書に嘘を書いた以上、家裁も裁判官も調査官も、公職が嘘を書いてでも、監護権を母親に決めるという覚悟をもって、この裁判に臨んでいるのでしょう。私も、同じ。私は、嘘の調査に基づいた裁定に背いてでも、父親として絶対に娘を守り抜く覚悟があります。
 裁判所さま、どうぞ、自らが信じる法律の正義のため、信念を持って、調査報告書に堂々と嘘を書き続けてください。
 裁判所のついた嘘と、娘を思う父親の愛との一騎打ちです。
 父親の愛を、舐めないでもらいたい。
 父として、絶対に娘を守り抜きます。
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