第1話

文字数 2,235文字

お前は死ぬだろう
そこはなにかわからない何処かだ。
おまえのような愚生の生き恥など、どこかへ行ってしまえばいい!


何処かへいきたかったのだ。場所は選べなく、生きている意味もわからんくせに死にたがる。
わかっているならば死のうはずもない、この手紙が生きる糧になるはずもなく、
友の目にとまるだろうか?
そもそも友達などこの世に存在していないのではないか。


手紙の書く文字が止まり友達がいたことをそむけて文字をはしらせる。

お前は何者だ。

何がしたい

なにを得たい?

恋人に振られたのがそんなに悔しいか?

成績のいいやつらがさげすむ目を壊したいか?

俺は---

無力だ。

そのとき死ぬ事を決意したかに思えた自分は思いの外スッキリしていた。なぜならば。

これはアルバイトだからである。

わけがわからないであろうがこういう手紙を書いてくれとの依頼なのだ。最近その量も増え、その手紙の量が自殺者の多さをものがったていた。みんなの命を飾る芸事と軽くみていたが、それも今日で終わり、俺は完全に毒された。こいつらの執念に。これは俺たちがその手紙を通して出会った話だ。


その出会いは奇怪だった。

後ろにその女が自分の手紙に物申しに来たのだ。

「こんなんじゃ死ねるわけないわ。」

最初はそのメールだけだと思ったが、狂うようにメールが送られてくる。こんな仕事だ。こういうことは覚悟していたが、そこでブロックすれば、この子は死ぬのかと思い、いつもやっていたバイトの現状を調べるつもりになった。

ちなみに自分は「綺麗なボールペンコース」だ。

その女の子はつたない姿で顔がやつれている。そしてダサい。

いじめられてこうなったら、(俺みたいなやつは)と否定的に考えるだろうがそのダサさは伸び代を意味していた。

「君かわいいね。名前は?死にたくないのかい?」

「あんたに何がわかるのよ!なんで私の気持ちを知ってるの?知ってるんでしょ?」

意外なことを聞いてきたので真剣に答えた。

「メールで言ったろ?これは遊びじゃないんだ。自殺者のパターン、生い立ち、性別。それらを分析しただけだ。きみの気持ちはきみしか分からない。でも同時に君のような人はいくらでもいることを知っているからできる事だ。でも今回は金じゃなく、素直にどんな影響を与えているかと思い、きみを呼んだんだ。でどんな内容だった?」

女の子の顔になぜか憂いがでる。

「忘れたんですか?酷い人ですね。」

ポッケから手紙を取りわたす。



(世の中に邪魔者ですみませんでした。私は母を、父をのろいます。こんな私を産んだ事を!偽りだらけのみんなを私はしっているので---)

ふーん

「これは嘘だな。」

「?」女の子は首を傾げる。

「さっきも言ったろ分析してるだけだって。おまえ、こいつらが偽ってるってなんで思ったんだ?」

「知ったような口聞かないでよ!」
こいつもかと知ったかする全ての出会った愚人を思い出す。

「それを知りたいんだ。」
その声色がなんとなく口を滑らせた。
「この服ダサいでしょ?訳あって着てるの。」

「またどうして?これ着て学校行かなきゃいじめられるとかか?」

女の子はもどかしく思いを声にする

「ちがうの--貧乏でこれしか買えなかったの。この手紙の代金も踏み倒すどころか、あなたの字に嫉妬さえ覚えたわ。
字の練習もさせてくれなかったし、だからみんなの視線は服や、つたない芸事に目がむいてると思ったの。その態度が偽りなの。私----人生の負け組なのかな?」
彼女の目が生活の悲惨さを物語る。

「そうか」
だんまりした後、窓からの風が髪を揺らしたときの目の色っぽさを見て思った。

「髪と服、あと俺がよく使うボールペンもわたそう!」
なんのことか理解できない女の子は汚点を話した苦悩でその話にざわついた。

「え?なに?どこいくの?」

「あっと言わせてやろうぜ。みんなをさ。」


「私なんかのために服を買ってくれるの?」ふとそうであると願って言った。

「そうだ。大変身だ!」




髪はロング、揃えてパッツン、服はおしゃれなカーディガンにワンピース、色の具合も良し。

「鏡を見る勇気があるか?」

「うん着替えたよ。」

そのおしゃれな姿で華やぐ、というか元気そうでなによりだった。その喜びに自分がしたいことに気づいた気がした中、いじめっ子が登場する。

だがその子にいじめっ子は気付かない、悩んだ挙句、声が出てしまう。

「あの〜」

「はい、何でしょう?」

その子ははっとし彼女の姿で場は和やかになる。ソリャそうだ。美人の素質は十分にあった。
今のおまえは誰もがみとれる美人だ。

そして別れぎわにペンをわたす。「ペンは剣よりまさるってな。いいかい自分のこと大切にしなよ。好きな子もできる限りつくりなさい。」

「なんかしゅんとするね----好きな人はあなたじゃだめなの?」

「-----」

「ダメ!」

「ちぇ!でも家覚えてるからね。またくる。手紙書くね!」

メールでいいのにそう答える。

「またな!」
本当にしゅんとするなあと思い、自分はこの事をきっかけに教師を目指して勉強でペンが剣にまさることを証明することを誓ったが、彼女の変貌ぶりにいつものようにポストを確認してしまう翌朝、そのくせがずっと消えなくて。








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