第2話 -4-

文字数 604文字

『はーい、本日も始まりました! 土野小波のツチノコにょっき☆にょき! 皆さん、お元気ですかー? 土野小波ですっ! 最近、あることで悩んでたんだけど、その道のプロの方に相談したら解決してもらえましたーー! やっぱり餅は餅屋ってことかな? 皆さんも悩んでることがあったら、人に話してみると案外すぐ解決するかもしれませんっ。もちろんわたしでよければお話聞くので、どんどんお便りくださいねーっ。そんなわけで、わたしの悩みを解決してくれた方! ホントにありがとうございました!』
 奥村は軽快にキーボードをたたいていく。前回までの彼女とは別人のようにテンションが高い。その明るさはファンでなくても気持ちがいい。彼女もまた、本来の姿を取りもどしたようだ。
 今回の依頼人はいつもの大学生。仁志が担当になるはずだったが、
「俺はやめておく。ファンならリアタイで拝聴すべきだし、公私混同はよくないと痛感した」
 と、苦渋の決断を下した。その顔が真剣そのものだったので、奥村はなにも言わず引きうけた。
 俺ものめりこみすぎないようにしないとなあ、と土野小波の新曲を聴きながら固く誓った。

- 了 -
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