【15】最強の食べ物
文字数 2,086文字
「ねぇ、幸栄?タピオカ
ミルクティって飲んだことある?」
『え?タピオカミルクティ?何でそんなこといきなり聞くのよ。あれは翼向きじゃないと思うわよ?私は甘い飲み物大好きだからそれも好きだけどさ、コーヒーとか紅茶とかに砂糖入ってるの許せない人でしょ?翼は。』
「…幸栄ってさ、本当私のことよくわかってるよね。はぁ、飲む前に相談したかったわ。」
『何?いつの間に飲んだのよ?』
「ん?色々ありましてね。でも二度と飲まないと心に決めました!だから誘わないでね?」
『本当意味わからないし!でも、元気そうだから良しとしますかね~。』
火葬も無事終わり小林家の皆様を見送った後、事務所でコーヒーを飲みながら皆で休憩をしている。やはり仕事をしていると、体調が悪かったことも忘れてしまう。人間動いているのが一番だな。
『翼~?頭痛いのは大丈夫?熱はない?』
『…、匠…お前は翼ちゃんの親なのか?』
『だって、心配じゃないのー?小林さんみたいに急に翼いなくなったら、俺…廃人だよ?そうなったら二人も困るでしょ?』
『まぁ、確かにな。でも元気そうじゃん?いきなりタピオカの話とかしてるし。あんまり心配しすぎたら引き寄せるぞ?』
『何よ~引き寄せるって…。
寿郎怖いこといわないでよねー!!』
皆が心配してくれることがとても嬉しい。
「三人とも?私は元気なんだから、勝手に殺さないでよね?コーヒー飲んだら後片付け始めるわよー?」
『『『はーい!!』』』
事務処理以外の片付けが終わり、帰る準備をしていると、幸栄の卓上電話が鳴り出した。
四人で顔を見合せると、
匠君が深呼吸をして電話に出る。
『はい、輪廻會舘でございます。……はい家族葬をご希望ですね、かしこまりました。……はい、では明日の9時にお待ちしております。』
電話を切り、皆の顔を見ている匠君。
『はい、明日の9時にご遺族こられますので、今から受け入れの準備をしまーす!あ、翼?お弁当屋に電話してくれる?俺今から出て取りに行くからさ。準備は、夜ご飯食べてからにしようよ。腹が減っては戦はできないでしょ?』
「了解ー。幸栄と寿郎君、ずっと働きっぱなしだよね…?本当申し訳ない。」
『何言ってるのよ翼~?どうせ私ら帰っても寝るだけだし全然大丈夫だよ?なんなら夜ご飯も食べれてラッキーじゃない、ね?寿郎?』
『そうだな。腹減ったわ。』
馴染みのお弁当屋に電話をし幕の内弁当を四つ頼んだ。後は匠君が取りにいくだけ。
『よーし、では行って参ります!』
戻ってくるまでに会場設営を始めておこう。数十分後、得意気な顔をした匠君が戻ってきた。…この顔は何か企んでいるな。
『ただいま帰りました!皆さん良く働いてくれますので、今夜はめちゃくちゃ奮発をして、特選和牛のステーキ弁当です!サラダと味噌汁も、ついております!』
「匠君?ステーキ弁当ですか?私、電話で幕の内弁当を頼んだはずだけど…?」
『あの後すぐに電話して、ゴージャスに変えて貰ったの!寿郎も幸栄さんも、ずっと頑張ってくれてるしね!俺はステーキじゃ胃がもたれますもので、銀鮭の西京焼きにしました!西京焼きは最強~!なんちゃって?』
「さぁ寿郎君、幸栄?食べようか?せっかくのステーキが、誰かさんのオヤジギャグで冷めちゃうからねー!」
『うわ~、ひどいわ翼さん!
そっちの二人も笑い過ぎだし!』
文句を言いながらも嬉しそうな匠君。
幸栄達は、黙々と弁当を食べている。
『ねぇ、明日の遺族なんだけど、伊集院さんだったよね?もしかして、あの伊集院とか?』
「そうよ、あの!伊集院咲様で、ございます。それがどうかしたの匠君?」
『やっぱりそうだよね?電話受けたの俺だったじゃん?…伊集院?え、伊集院!!って思ったの。だって考えてみてよ!あれだけの資産家の婆さんが亡くなりました。普通だったら、もっと大きくて沢山の人を呼べる立派な会場にしませんかね?違う?』
「それはそうだけど…。何か私達、庶民には理解のできない理由でもあるんでしょきっと。うちにとっては有難いことじゃない!幸栄もそう思うでしょ?」
『そうそう。社長、普段の家族葬の倍の金額でも構わないから、よろしく頼む!とか言われて断れなかったんでしょ?匠君!」
『…、否定は致しませんが、何か?』
弁当を食べ終わると残っていた準備を一気に終わらせて何とか日付を跨ぐ前に帰宅することができた。
「匠君先にお風呂入ってよね?明日も朝から忙しいし、早く寝ましょう!」
『そうだね!翼、今回の霊柩車なんだけどさ…俺が運転しようか?体調が心配でさ。』
「今日も何ともなかったし大丈夫だよ?また体調悪くなったりして無理そうなら、その時お願いするからね?匠君、ありがとう。」
いつでも私の事を気にかけてくれる優しい匠君。
この人の事だけは悲しませてはいけない。もちろん、幸栄や寿郎君も同じだ。匠君がお風呂に入っている間にこっそりと頭痛薬を飲むことにした。やはり少し頭が痛い…。
ミルクティって飲んだことある?」
『え?タピオカミルクティ?何でそんなこといきなり聞くのよ。あれは翼向きじゃないと思うわよ?私は甘い飲み物大好きだからそれも好きだけどさ、コーヒーとか紅茶とかに砂糖入ってるの許せない人でしょ?翼は。』
「…幸栄ってさ、本当私のことよくわかってるよね。はぁ、飲む前に相談したかったわ。」
『何?いつの間に飲んだのよ?』
「ん?色々ありましてね。でも二度と飲まないと心に決めました!だから誘わないでね?」
『本当意味わからないし!でも、元気そうだから良しとしますかね~。』
火葬も無事終わり小林家の皆様を見送った後、事務所でコーヒーを飲みながら皆で休憩をしている。やはり仕事をしていると、体調が悪かったことも忘れてしまう。人間動いているのが一番だな。
『翼~?頭痛いのは大丈夫?熱はない?』
『…、匠…お前は翼ちゃんの親なのか?』
『だって、心配じゃないのー?小林さんみたいに急に翼いなくなったら、俺…廃人だよ?そうなったら二人も困るでしょ?』
『まぁ、確かにな。でも元気そうじゃん?いきなりタピオカの話とかしてるし。あんまり心配しすぎたら引き寄せるぞ?』
『何よ~引き寄せるって…。
寿郎怖いこといわないでよねー!!』
皆が心配してくれることがとても嬉しい。
「三人とも?私は元気なんだから、勝手に殺さないでよね?コーヒー飲んだら後片付け始めるわよー?」
『『『はーい!!』』』
事務処理以外の片付けが終わり、帰る準備をしていると、幸栄の卓上電話が鳴り出した。
四人で顔を見合せると、
匠君が深呼吸をして電話に出る。
『はい、輪廻會舘でございます。……はい家族葬をご希望ですね、かしこまりました。……はい、では明日の9時にお待ちしております。』
電話を切り、皆の顔を見ている匠君。
『はい、明日の9時にご遺族こられますので、今から受け入れの準備をしまーす!あ、翼?お弁当屋に電話してくれる?俺今から出て取りに行くからさ。準備は、夜ご飯食べてからにしようよ。腹が減っては戦はできないでしょ?』
「了解ー。幸栄と寿郎君、ずっと働きっぱなしだよね…?本当申し訳ない。」
『何言ってるのよ翼~?どうせ私ら帰っても寝るだけだし全然大丈夫だよ?なんなら夜ご飯も食べれてラッキーじゃない、ね?寿郎?』
『そうだな。腹減ったわ。』
馴染みのお弁当屋に電話をし幕の内弁当を四つ頼んだ。後は匠君が取りにいくだけ。
『よーし、では行って参ります!』
戻ってくるまでに会場設営を始めておこう。数十分後、得意気な顔をした匠君が戻ってきた。…この顔は何か企んでいるな。
『ただいま帰りました!皆さん良く働いてくれますので、今夜はめちゃくちゃ奮発をして、特選和牛のステーキ弁当です!サラダと味噌汁も、ついております!』
「匠君?ステーキ弁当ですか?私、電話で幕の内弁当を頼んだはずだけど…?」
『あの後すぐに電話して、ゴージャスに変えて貰ったの!寿郎も幸栄さんも、ずっと頑張ってくれてるしね!俺はステーキじゃ胃がもたれますもので、銀鮭の西京焼きにしました!西京焼きは最強~!なんちゃって?』
「さぁ寿郎君、幸栄?食べようか?せっかくのステーキが、誰かさんのオヤジギャグで冷めちゃうからねー!」
『うわ~、ひどいわ翼さん!
そっちの二人も笑い過ぎだし!』
文句を言いながらも嬉しそうな匠君。
幸栄達は、黙々と弁当を食べている。
『ねぇ、明日の遺族なんだけど、伊集院さんだったよね?もしかして、あの伊集院とか?』
「そうよ、あの!伊集院咲様で、ございます。それがどうかしたの匠君?」
『やっぱりそうだよね?電話受けたの俺だったじゃん?…伊集院?え、伊集院!!って思ったの。だって考えてみてよ!あれだけの資産家の婆さんが亡くなりました。普通だったら、もっと大きくて沢山の人を呼べる立派な会場にしませんかね?違う?』
「それはそうだけど…。何か私達、庶民には理解のできない理由でもあるんでしょきっと。うちにとっては有難いことじゃない!幸栄もそう思うでしょ?」
『そうそう。社長、普段の家族葬の倍の金額でも構わないから、よろしく頼む!とか言われて断れなかったんでしょ?匠君!」
『…、否定は致しませんが、何か?』
弁当を食べ終わると残っていた準備を一気に終わらせて何とか日付を跨ぐ前に帰宅することができた。
「匠君先にお風呂入ってよね?明日も朝から忙しいし、早く寝ましょう!」
『そうだね!翼、今回の霊柩車なんだけどさ…俺が運転しようか?体調が心配でさ。』
「今日も何ともなかったし大丈夫だよ?また体調悪くなったりして無理そうなら、その時お願いするからね?匠君、ありがとう。」
いつでも私の事を気にかけてくれる優しい匠君。
この人の事だけは悲しませてはいけない。もちろん、幸栄や寿郎君も同じだ。匠君がお風呂に入っている間にこっそりと頭痛薬を飲むことにした。やはり少し頭が痛い…。