第五項 尊属殺
文字数 1,577文字
「うわっ!うわ、ふわぁーーーーー?」
僕は悲鳴を上げながら、叫びながら居間を飛び出しました。玄関から外に出ようと、とにかく逃げようと廊下に飛び出すと、父が壁を突き破って目の前に立ち塞がります。
「うわっ、うわぁあああああ!?」
咄嗟に足元に転がっていた、親父のゴルフクラブ(アイアン)を拾って、グール(屍鬼)になった父の頭を殴りつけました。でも、グールはびくともしません。
次の瞬間、グールの拳が僕のお腹にめり込みました。僕は玄関の反対側、2階への階段側に吹き飛ばされて、しこたま背中を打ちつけました。
「ぐはぁっ!……ゲボォッ……ケハッ……」
胃袋からすっぱいものが、それと一緒に鉄の味が込み上げてきた。自分が吐き出したものが血であると認識する暇もなく、グールが大きな足音を立てながら近づいてくる。早く逃げなきゃ!
「グヒュルルルル……」
奇妙な音を立てながら、僕に近づいて来る。
「な……なんだよこれ?どうしよう、どうしよう?」
僕はパニックになった。緑色の非常識なソレは、元父親だったそれは、僕を殺そうと近づいて来る。
「やめろ……やめろよ……やめてくれよ!来るなぁああああああああ!」
叫ぶ僕の右手を掴んで、グール簡単にへし折った。まるでマッチ棒を折るかのように、ペキっ!てやった。
激痛にのたうち回る僕。そんな僕を見下ろして、不気味な笑顔(?)を浮かべるグール。僕は2階への階段を駆け上がった。もう、2階の窓から飛び降りて逃げるしかない!
グールは階段を登ってこない。とにかく逃げるチャンスだ。僕は必死になって駆け上がった。でも
「おわぁああああ!?」
家が大きく揺れた。グールが支柱を砕ことしている。家の支柱なんて、簡単に壊せるものじゃない。でも、非常識な化物は、柱にタックルを繰り返した。ミシミシという音が聞こえてきて
「う、嘘だろ?」
家は崩れなかったけど、階段が壊れた。階段が崩れて、僕はグールの前に転がり落ちた。
「ちくしょう……ちくしょう……」
怖くて、わけわかんなくて涙が出る。死んでたまるか、死んでたまるかって、心の中で叫ぶ。
でも、それで何かが変わるわけじゃない。もう僕は、あの化け物に殺されるしかないんだ。
「なんのために生きてきた?」
全てがスローモーションに感じられるとき、僕は自問自答していた。グールが腕を振り上げて、僕を殴りつけるまでの本の数秒の間だけど、僕はいろんなことを考えた。
「僕はなんのために生きてきた?僕が生まれてきた意味ってなに?」
息が詰まるような日本社会で、人間関係に気をつけて、楽しくない勉強に時間を割いて……それで最後は化け物に撲殺される?なんだよこれ……
『生に意味なんてないんだよ』
「そうか……」
『答えなんて、どこにもないんだよ』
「そうだよね。僕たち人間って、ただ地球の上に生きていて、勝手に殺しあったり、環境破壊しているだけだもんね」
その時、左手の甲が輝きだした。盾のような模様が浮かび上がり、緑色の輝きを放ちだした。輝きとともに、男性の声が頭に響く。夢の中で聞いたあの声が。
『知恵の実を食べた人間は……』
グールが右拳を振り下ろした。
『その日を境に旅人となった……』
グールの一撃が頬をかすめ、左頬から熱い血が流れ出た。僕はグールの股の下をくぐり抜けて背後にまわる。
『楽園を追われ、旅人となった……』
グールが咆哮をあげて向かってくる。
『そう……汝は』
左手の光が激しさを増して
『咎人(たびびと)だ!』
銀色の悪魔が現れた!
光が集まって、その影が実体を持って、銀色の悪魔が顕現した。そしてグールの頭を殴打した。
グールは悲鳴を上げるまもなく、頭を吹き飛ばされて絶命した。腐った躰が倒れこみ、そのまま動かなくなった。
僕は……父親を殺したのだ……
僕は悲鳴を上げながら、叫びながら居間を飛び出しました。玄関から外に出ようと、とにかく逃げようと廊下に飛び出すと、父が壁を突き破って目の前に立ち塞がります。
「うわっ、うわぁあああああ!?」
咄嗟に足元に転がっていた、親父のゴルフクラブ(アイアン)を拾って、グール(屍鬼)になった父の頭を殴りつけました。でも、グールはびくともしません。
次の瞬間、グールの拳が僕のお腹にめり込みました。僕は玄関の反対側、2階への階段側に吹き飛ばされて、しこたま背中を打ちつけました。
「ぐはぁっ!……ゲボォッ……ケハッ……」
胃袋からすっぱいものが、それと一緒に鉄の味が込み上げてきた。自分が吐き出したものが血であると認識する暇もなく、グールが大きな足音を立てながら近づいてくる。早く逃げなきゃ!
「グヒュルルルル……」
奇妙な音を立てながら、僕に近づいて来る。
「な……なんだよこれ?どうしよう、どうしよう?」
僕はパニックになった。緑色の非常識なソレは、元父親だったそれは、僕を殺そうと近づいて来る。
「やめろ……やめろよ……やめてくれよ!来るなぁああああああああ!」
叫ぶ僕の右手を掴んで、グール簡単にへし折った。まるでマッチ棒を折るかのように、ペキっ!てやった。
激痛にのたうち回る僕。そんな僕を見下ろして、不気味な笑顔(?)を浮かべるグール。僕は2階への階段を駆け上がった。もう、2階の窓から飛び降りて逃げるしかない!
グールは階段を登ってこない。とにかく逃げるチャンスだ。僕は必死になって駆け上がった。でも
「おわぁああああ!?」
家が大きく揺れた。グールが支柱を砕ことしている。家の支柱なんて、簡単に壊せるものじゃない。でも、非常識な化物は、柱にタックルを繰り返した。ミシミシという音が聞こえてきて
「う、嘘だろ?」
家は崩れなかったけど、階段が壊れた。階段が崩れて、僕はグールの前に転がり落ちた。
「ちくしょう……ちくしょう……」
怖くて、わけわかんなくて涙が出る。死んでたまるか、死んでたまるかって、心の中で叫ぶ。
でも、それで何かが変わるわけじゃない。もう僕は、あの化け物に殺されるしかないんだ。
「なんのために生きてきた?」
全てがスローモーションに感じられるとき、僕は自問自答していた。グールが腕を振り上げて、僕を殴りつけるまでの本の数秒の間だけど、僕はいろんなことを考えた。
「僕はなんのために生きてきた?僕が生まれてきた意味ってなに?」
息が詰まるような日本社会で、人間関係に気をつけて、楽しくない勉強に時間を割いて……それで最後は化け物に撲殺される?なんだよこれ……
『生に意味なんてないんだよ』
「そうか……」
『答えなんて、どこにもないんだよ』
「そうだよね。僕たち人間って、ただ地球の上に生きていて、勝手に殺しあったり、環境破壊しているだけだもんね」
その時、左手の甲が輝きだした。盾のような模様が浮かび上がり、緑色の輝きを放ちだした。輝きとともに、男性の声が頭に響く。夢の中で聞いたあの声が。
『知恵の実を食べた人間は……』
グールが右拳を振り下ろした。
『その日を境に旅人となった……』
グールの一撃が頬をかすめ、左頬から熱い血が流れ出た。僕はグールの股の下をくぐり抜けて背後にまわる。
『楽園を追われ、旅人となった……』
グールが咆哮をあげて向かってくる。
『そう……汝は』
左手の光が激しさを増して
『咎人(たびびと)だ!』
銀色の悪魔が現れた!
光が集まって、その影が実体を持って、銀色の悪魔が顕現した。そしてグールの頭を殴打した。
グールは悲鳴を上げるまもなく、頭を吹き飛ばされて絶命した。腐った躰が倒れこみ、そのまま動かなくなった。
僕は……父親を殺したのだ……