床下を覗いてはいけない訳

文字数 337文字

未だ過去に落し蓋をしている
そりゃあ吹きこぼれはしないだろうが
いつまでもそうしていたら
いずれ鍋の底が腐食して
全て床へこぼしてしまうだろう
狭い台所では
掃除するのもままならないだろうから
やはりいずれ床が腐り果て
もはやそこに立つことすら出来なくなるだろう
床下を這いずり回る虫や小さな獣たちは
それはそれは歓喜するだろうけれども
いつかそれの一部になるのだろうか
あるいはそれらを食い物にして生きるのだろうか
なるほど、それはそれで快適かもしれない
尊厳ってやつは排水管に流しても詰まるだけだけど
何とも厄介なものだ
気付かない振りをするしかなかろう
狭い台所には
底に穴の空いた鍋と
煮詰まってぶちまけられた過去
そして全てを堰き止めて排水管を破裂された尊厳
床下で全てを忘れようか
いずれ眠気もやってこよう
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