アルスター山の謎
文字数 3,172文字
「帰りはどうする?」・・・アレス
「もちろん・・・」・・・オズワルト
「神獣様に乗って帰りましょう」・・・レオノーレ
「だな」・・・アレス
「その前に寄っていきたい所があります。いいでしょうか?」・・・レオノーレ
「どこだ?」・・・オズワルト
「風の回廊の終わりにあった、人知れず埃 が被 っていた金色の女神像の所」・・・レオノーレ
「何をしに?」・・・オズワルト
「無事のご報告を。永い間、人知れず埃 が被 っていたにも関わらず私たちを照らして守ってくれた。その感謝がしたいの」・・・レオノーレ
「ああ。絶対行かないといけない」・・・アレス
◇
俺達は風の回廊の終わりにあった、人知れず埃 が被 っていた金色の女神像の所に向かう。
俺達は洞窟のあった場所に差し掛かる。すると、
「洞窟がない」・・・レオノーレ
「本当にこの場所だったのか?」・・・オズワルト
「確かここにあったはずだ」・・・アレス
洞窟のあった場所を見れば、洞窟の出口が無くなっていた。
「摩訶不思議 だ」・・・アレス
「神獣様に聞いてみましょう」・・・レオノーレ
「そうだな」・・・オズワルト
「ではアレスさん、風の太鼓を鳴らしてみて下さい」・・・レオノーレ
トントントントントントントントン
俺は風の太鼓を鳴らしてみる。すると、
キュルキュルギィィィヤァァァオオオーー
どこからともなく神獣フラミーが現れる。
「私に乗って空を飛びたいの?」・・・神獣フラミー
「それもありますけど、洞窟の出口が。風の回廊と呼ばれる洞窟の出口が無くなっていて困っています。風の回廊の終わりにあった、人知れず埃 が被 っていた金色の女神像の所に無事をご報告したいのです」・・・レオノーレ
「何かご存じでしょうか?」・・・レオノーレ
「恐らく、私が悪の人格に支配されていた時に生じた幻想だと思う」・・・神獣フラミー
「風の回廊の洞窟が幻想だった?」・・・オズワルト
「ごめん。ごめん。正確には存在 はしたが、全ての人には見えていなかったかもしれない」・・・神獣フラミー
「どういうことですか?」・・・レオノーレ
「私のもうひとつの人格が作り出したことだから私も詳しくは分からないけど、見込みのある人に試練を与えていたのだと思う」・・・神獣フラミー
「確かに。ある程度は理解できる。ミランダ先生が全ての学生にアルスター山の山頂に咲く『アカシアハーブ』を採るように言っていたが、この難易度 だと、他の学生は死んでしまう可能性がある上に達成は不可能だと思う。辻褄があう」・・・アレス
「どこからどこまでが幻想だったのですか?」・・・レオノーレ
「アルスター山の全体だと思う」・・・神獣フラミー
「………っ」・・・レオノーレ
「アルスター山の麓 の村も村人も幻想だったのでしょうか?」・・・レオノーレ
「恐らく」・・・神獣フラミー
「得心がいった。今思えば、最後に俺達が道を尋ねた人は言っていた。天翔ける道は何人 も通さない路 だと言っていたが、その後の道順を知っていたこと自体が矛盾している。初めはモンスターがいなかった時に行ったことがあると思っていた。だがそれだと天翔ける道は何人 も通さない路 だと、どうして言える」・・・オズワルト
「確かに」・・・アレス
「それに、アルスター山の麓 には村があったなんて聞いたことがない。その上、草原には獰猛な肉食動物が、山にはモンスターが跋扈 していては、住民は生活もままならないはずだ」・・・オズワルト
「なるほど理屈に合う」・・・アレス
「では本来のアルスター山の姿とはどういったものなのでしょうか?」・・・レオノーレ
「先程ぐるりと空を旋回してアルスター山を見下ろした感じだとモンスターもいない無人の山だったよ。」・・・神獣フラミー
「ははは。俺達は思わぬ苦労をしたようだ。」・・・オズワルト
「だけど、こうやって神獣様と仲良くなれただけでもお釣りがきます。」・・・レオノーレ
「最後に俺が質問していいか?どうして俺達だけに試練を与えたのだろうか?」・・・アレス
「その質問は肝心だな」・・・オズワルト
「私も気になります」・・・レオノーレ
「神は仰 った。【試練は乗り越えられる人にしか与えられない】。君たちは【その資質を秘めていた】からだと思う」・・・神獣フラミー
「質問はこれくらいでいいだろう。肝心なことも分かったし。」・・・オズワルト
「そうだな」・・・アレス
◇
◇
「では、私たちを乗せて空を飛んで貰ってもいいでしょうか?」・・・レオノーレ
「もちろん」・・・神獣フラミー
俺達3人は神獣フラミーの背中に乗る。
「うわ~、乗り心地良い。ふかふかで、ふわふわだ」・・・レオノーレ
「乗り心地良いな」・・・オズワルト
「気持ちいい」・・・アレス
「それでは空を飛ぶよ。しっかり掴まっていてね。落ちないように。」・・・神獣フラミー
「行って欲しい目的地は、南にあるウォルテア大森林だ。」・・・アレス
「森には降りられないよ」・・・神獣フラミー
「その手前の草原で降ろして欲しい」・・・アレス
「了解」・・・神獣フラミー
バサバサバサバサバサバサバサバサーーーーーーーー
神獣フラミーは大きな翼を広げて上空に昇 る。俺達は気持ちが高揚 する。
「景色が綺麗」・・・レオノーレ
「人がまるでゴミのようだ(笑)」・・・アレス
「雰囲気を考えろ。今そんなことは言うなよ」・・・オズワルト
「そうですよ」・・・レオノーレ
「申し訳ない(汗)。どうしても一度言ってみたかったんだ」・・・アレス
「アレスの言うことは放っておいて、近くで見たら大きかった草食動物達が凄く小さく見える。感動する」・・・オズワルト
「ええ。私も」・・・レオノーレ
「それじゃ飛びますね。しっかり掴まっておいて」・・・神獣
ぐーーーーーーーーーーーーーーーーん
「向かい風が凄い」・・・オズワルト
「私は風の加護がありますので多少マシです」・・・レオノーレ
「だけど、凄く気持ちいい。生きている感じがする」・・・アレス
「今の見ました?雲の間を通り抜けましたよ!」・・・レオノーレ
「ああ。神秘的な光景だ」・・・アレス
「こんな景色見たことがなかった」・・・オズワルト
「えへへ。私達だけですよ~」・・・レオノーレ
「そろそろ着きます。」・・・神獣フラミー
「もうなのか」・・・オズワルト
「こんなすぐに?」・・・レオノーレ
「あっという間だな」・・・アレス
「それでは下降します」・・・神獣フラミー
バサバサバサバサバサバサバサバサーーーーーーーー
神獣フラミーは大きな翼を広げて地面に降りる。
「皆さん、着きました」・・・神獣フラミー
「ありがとうございました。貴重な体験になりました。」・・・レオノーレ
「凄く楽しかった。ありがとう」・・・オズワルト
「助かる」・・・アレス
「また、いつでも呼んでね。じゃ~ね~」・・・神獣フラミー
バサバサバサバサバサバサバサバサーーーーーーーー
神獣フラミーはどこかへと飛んで行った。
■
こうして俺達はあっという間にウォルテア大森林の出口にまでたどり着くことができた。
「もちろん・・・」・・・オズワルト
「神獣様に乗って帰りましょう」・・・レオノーレ
「だな」・・・アレス
「その前に寄っていきたい所があります。いいでしょうか?」・・・レオノーレ
「どこだ?」・・・オズワルト
「風の回廊の終わりにあった、人知れず
「何をしに?」・・・オズワルト
「無事のご報告を。永い間、人知れず
「ああ。絶対行かないといけない」・・・アレス
◇
俺達は風の回廊の終わりにあった、人知れず
俺達は洞窟のあった場所に差し掛かる。すると、
「洞窟がない」・・・レオノーレ
「本当にこの場所だったのか?」・・・オズワルト
「確かここにあったはずだ」・・・アレス
洞窟のあった場所を見れば、洞窟の出口が無くなっていた。
「
「神獣様に聞いてみましょう」・・・レオノーレ
「そうだな」・・・オズワルト
「ではアレスさん、風の太鼓を鳴らしてみて下さい」・・・レオノーレ
トントントントントントントントン
俺は風の太鼓を鳴らしてみる。すると、
キュルキュルギィィィヤァァァオオオーー
どこからともなく神獣フラミーが現れる。
「私に乗って空を飛びたいの?」・・・神獣フラミー
「それもありますけど、洞窟の出口が。風の回廊と呼ばれる洞窟の出口が無くなっていて困っています。風の回廊の終わりにあった、人知れず
「何かご存じでしょうか?」・・・レオノーレ
「恐らく、私が悪の人格に支配されていた時に生じた幻想だと思う」・・・神獣フラミー
「風の回廊の洞窟が幻想だった?」・・・オズワルト
「ごめん。ごめん。正確には
「どういうことですか?」・・・レオノーレ
「私のもうひとつの人格が作り出したことだから私も詳しくは分からないけど、見込みのある人に試練を与えていたのだと思う」・・・神獣フラミー
「確かに。ある程度は理解できる。ミランダ先生が全ての学生にアルスター山の山頂に咲く『アカシアハーブ』を採るように言っていたが、この
「どこからどこまでが幻想だったのですか?」・・・レオノーレ
「アルスター山の全体だと思う」・・・神獣フラミー
「………っ」・・・レオノーレ
「アルスター山の
「恐らく」・・・神獣フラミー
「得心がいった。今思えば、最後に俺達が道を尋ねた人は言っていた。天翔ける道は
「確かに」・・・アレス
「それに、アルスター山の
「なるほど理屈に合う」・・・アレス
「では本来のアルスター山の姿とはどういったものなのでしょうか?」・・・レオノーレ
「先程ぐるりと空を旋回してアルスター山を見下ろした感じだとモンスターもいない無人の山だったよ。」・・・神獣フラミー
「ははは。俺達は思わぬ苦労をしたようだ。」・・・オズワルト
「だけど、こうやって神獣様と仲良くなれただけでもお釣りがきます。」・・・レオノーレ
「最後に俺が質問していいか?どうして俺達だけに試練を与えたのだろうか?」・・・アレス
「その質問は肝心だな」・・・オズワルト
「私も気になります」・・・レオノーレ
「神は
「質問はこれくらいでいいだろう。肝心なことも分かったし。」・・・オズワルト
「そうだな」・・・アレス
◇
◇
「では、私たちを乗せて空を飛んで貰ってもいいでしょうか?」・・・レオノーレ
「もちろん」・・・神獣フラミー
俺達3人は神獣フラミーの背中に乗る。
「うわ~、乗り心地良い。ふかふかで、ふわふわだ」・・・レオノーレ
「乗り心地良いな」・・・オズワルト
「気持ちいい」・・・アレス
「それでは空を飛ぶよ。しっかり掴まっていてね。落ちないように。」・・・神獣フラミー
「行って欲しい目的地は、南にあるウォルテア大森林だ。」・・・アレス
「森には降りられないよ」・・・神獣フラミー
「その手前の草原で降ろして欲しい」・・・アレス
「了解」・・・神獣フラミー
バサバサバサバサバサバサバサバサーーーーーーーー
神獣フラミーは大きな翼を広げて上空に
「景色が綺麗」・・・レオノーレ
「人がまるでゴミのようだ(笑)」・・・アレス
「雰囲気を考えろ。今そんなことは言うなよ」・・・オズワルト
「そうですよ」・・・レオノーレ
「申し訳ない(汗)。どうしても一度言ってみたかったんだ」・・・アレス
「アレスの言うことは放っておいて、近くで見たら大きかった草食動物達が凄く小さく見える。感動する」・・・オズワルト
「ええ。私も」・・・レオノーレ
「それじゃ飛びますね。しっかり掴まっておいて」・・・神獣
ぐーーーーーーーーーーーーーーーーん
「向かい風が凄い」・・・オズワルト
「私は風の加護がありますので多少マシです」・・・レオノーレ
「だけど、凄く気持ちいい。生きている感じがする」・・・アレス
「今の見ました?雲の間を通り抜けましたよ!」・・・レオノーレ
「ああ。神秘的な光景だ」・・・アレス
「こんな景色見たことがなかった」・・・オズワルト
「えへへ。私達だけですよ~」・・・レオノーレ
「そろそろ着きます。」・・・神獣フラミー
「もうなのか」・・・オズワルト
「こんなすぐに?」・・・レオノーレ
「あっという間だな」・・・アレス
「それでは下降します」・・・神獣フラミー
バサバサバサバサバサバサバサバサーーーーーーーー
神獣フラミーは大きな翼を広げて地面に降りる。
「皆さん、着きました」・・・神獣フラミー
「ありがとうございました。貴重な体験になりました。」・・・レオノーレ
「凄く楽しかった。ありがとう」・・・オズワルト
「助かる」・・・アレス
「また、いつでも呼んでね。じゃ~ね~」・・・神獣フラミー
バサバサバサバサバサバサバサバサーーーーーーーー
神獣フラミーはどこかへと飛んで行った。
■
こうして俺達はあっという間にウォルテア大森林の出口にまでたどり着くことができた。