第2話(6)

エピソード文字数 1,545文字

『このままでは2日後に、地球が滅んでしまうんですの』――。それを聞いた刹那、未曽有の酷さの立ち眩みに襲われた。

「こ、この星が滅ぶ……? どっ、どうしてそうなるんだっ?」
「ミラルが唯一倒せなかった、『アイツ』――。この街に封印された『記録読者(リーダー)』・ガレの封印が、八月十七日の午後七時に解けてしまうからなんですわ」

 彼女は顔を強張らせ、卓上カレンダーにある赤丸を一瞥した。

「あのガレなら、自由になれば絶対にそうする。人類は蹂躙され、最後に惑星は破壊されるんですのよ」
「……この星を、壊す……。これはかなりマズイわね」
「ああ。そうだね……」

 いくらプリースト神のバリアーがあっても、星がなければ生きていけない。こいつは、かつてないレベルでピンチだ。

「れっ、麗平さんっ、再封印する方法はないのっ? てか、記録読者のガレってなんだっ? なぜ、異世界人と戦ったソイツがこんなトコで眠ってるんだっ?」
「色紙クン。順を追って、説明しますわ」

 こちらだけではなく、自身を落ち着ける意味もあるのだろう。麗平さんは大きく息を吐き、それから「まず。地球にいる理由ですけど」と口を開いた。

「あれは、今から約千年前のコトですわ。ラミラミミーに国家転覆を目論むヤツがいて、大昔に封印されたガレを世に解き放ちましたの」
「「「…………」」」

 俺らは静かに、耳を傾ける。

「ソイツは記録読者を操り転覆させようと考えていたんだけど、ガレは人間の手に負えるモノではなく……。ヤツはその輩を殺し、再び生き物を壊して遊ぶようになりました」
「壊して――殺して、遊ぶ? ソイツは快楽殺人鬼なの?」
「ううん。ガレは元々ゲームが大好きな、無邪気なラミラミミーの守り神ですの。彼は何かの拍子に戦闘をゲームと思うようになり、『生死をかけた対決』という遊びをするようになったのですわ」
「あぁ、なるほど。そういうことか……」

 真面目な話をすると、無邪気ってのは良い方向も悪い方向にも染まりやすい。ソイツの場合は、ダークサイドに行っちゃったんだな……。

「ウチらセブンナイツの使命は、国と国民を守るコト。だから七人は剣を取り、ガレと戦いました」
「「「…………」」」
「でも敵は、腐っても守り神。所詮人間であるセブンナイツは苦戦を強いられ、三人が命を落としました」

 相手が、相手だもんな。そうなるのは自明の理だ。

「だけど仲間の一人が、三人の遺体と自分の肉体をエネルギーに変えて…………自爆。どうにか重傷を負わせましたわ」
「……そう、なのか……。それで、その後はどうなったの?」
「大怪我を負ったガレは、適当な世界にワープする。身を隠して、傷を癒そうとしましたの」

 負傷して、適当な世界にワープか。それで……。

「色紙クンの、想像通りですわ。アイツが転移したのが、この街――正確には、この街が出来た場所なんですの」

 非常に物騒な輩が逃走先に選んだのが、ココ。嫌な偶然だな……っ。

「無論、残ったセブンナイツも即座に転移。すぐに地球で戦闘を始めるのだけれど、全員ボロボロで勝てそうにない」
「そこで。貴方達は、封印に切り替えたのね?」
「ええ。その通りですわ」

 シズナからの問いに、麗平さんは首を前に倒して答えた。

「聖剣を持っていたミラルと『大剣のシン』が、仲間の魂と武器を糧にして封印の儀式を実行した。その際ガレが抵抗してミラルとシンは呪いを浴びてしまったものの、封に成功したのですわ」
「にゅむむぅっ、呪いっ!? どんなのがかかっちゃったのっ?」

 レミアが戸惑い、心底心配そうに顔を覗き込む。
 これは俺も、早く知りたい。この人は大丈夫なんだよな……?
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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