第12話 慰め
文字数 1,353文字
「どうしたんだいジェシカ、眠れないの? ホットミルクでもいれようか」
いつも通り優しくいたわるような微笑をジェシカに向けるジュリアン神父。だが次の瞬間、その微笑は凍りついた。
部屋に入ってきたジェシカは突然、着ているものをすべて脱ぎ捨てジュリアン神父に抱きついたのだ。
「……ねえ、私を慰めてちょうだい。光が欲しいの、あの目がくらむような、あたまの芯がしびれるような、何もかも忘れさせてくれる光が」
思いがけないジェシカの言動に、ジュリアン神父は面食らった。
「ジェシカ、そんな、どうして……、」
ジュリアン神父はおののき震える手でジェシカから逃れようともがいた。しかしその手は首に回されたやわらかな腕に、すんなりと伸びた白い脚に、どうしても触れてしまう。栗色の長い髪の毛から漂う少女らしい甘い香りが、ジュリアン神父の鼻孔をくすぐった。ヘーゼルカラーの大きな瞳は熱をおびてうるみ、ジュリアン神父を悩ましげに見あげている。うっすらひらいた唇は上気してあかく濡れ、思わず引きこまれそうになる。やわらかく押し付けられたその身体からは、あたたかい乳房の感触が伝わってくる。
もとよりジェシカは美しい娘だった、神々しいまでに。まるで聖母マリア様のように。ジュリアン神父はどうすることもできず、まるでクモの巣にかかった獲物のごとく、ジェシカの内側によりいっそう絡めとられていくばかりだった。
ああ、いけない、いけない、いけない、おお神よ私を救いたまえ、神よ、神よ……!
カトリック教会の神父であるジュリアンにとって、性行為はご法度である。ましてや17歳の少女が相手となれば、ことはさらに重大だ。
にもかかわらず、ジュリアン神父はジェシカの放つ世にも芳しき誘惑の香りに、ついに屈してしまう。しかしそれは彼だけの罪だろうか。否、決してそうとはいえないだろう。聖職につき己が身も心も神に捧げているとはいえ、ジュリアンは26歳とまだ若い青年である。加えてジェシカの類まれなる美しさ、ほとんど無意識に発するその蠱惑的な魅力は、とても抗いがたく非常なものなのだ。
そもそも女性の美とはそれ自体が宗教のように崇められてきたもので、歴史上に名を残す人物でも、美しい女性に翻弄され道を踏みはずした者は何人もいるだろう。聖職者とて例外ではない。
ジュリアン神父はジェシカの圧倒的な存在感の前に、畏れの念を抱きながらひれ伏し言いなりとなった。一点の穢れも知らぬようなその純白の肌は触れるとまるで吸いつくように、ジュリアン神父のごつごつと無骨な手をやわらかく受け入れた。すんなりとした首筋からなだらかに盛り上がっていくかたちのよいふたつの乳房は、それ自体がまるで発光するかのようにほの白く浮かび上がって見える。ジュリアン神父は本能にしたがい、はじめて間近で見る女性のうつくしい裸体にしびれるほどの感銘をうけながら、震える舌をゆっくりと這わせていった。
ジェシカは固く目を閉じ、暗闇の中で神経を研ぎ澄まし久しぶりの悦楽をぞんぶんに味わった。ジェシカのなかに大きな波が沸きおこり、それは渦を巻き高まりどんどん激しさを増していく。やがて怒涛の渦がピークを迎えると、ジェシカの身体は高い波に運ばれまぶしく神々しい光の彼方へと、連れ去られていくのであった。
いつも通り優しくいたわるような微笑をジェシカに向けるジュリアン神父。だが次の瞬間、その微笑は凍りついた。
部屋に入ってきたジェシカは突然、着ているものをすべて脱ぎ捨てジュリアン神父に抱きついたのだ。
「……ねえ、私を慰めてちょうだい。光が欲しいの、あの目がくらむような、あたまの芯がしびれるような、何もかも忘れさせてくれる光が」
思いがけないジェシカの言動に、ジュリアン神父は面食らった。
「ジェシカ、そんな、どうして……、」
ジュリアン神父はおののき震える手でジェシカから逃れようともがいた。しかしその手は首に回されたやわらかな腕に、すんなりと伸びた白い脚に、どうしても触れてしまう。栗色の長い髪の毛から漂う少女らしい甘い香りが、ジュリアン神父の鼻孔をくすぐった。ヘーゼルカラーの大きな瞳は熱をおびてうるみ、ジュリアン神父を悩ましげに見あげている。うっすらひらいた唇は上気してあかく濡れ、思わず引きこまれそうになる。やわらかく押し付けられたその身体からは、あたたかい乳房の感触が伝わってくる。
もとよりジェシカは美しい娘だった、神々しいまでに。まるで聖母マリア様のように。ジュリアン神父はどうすることもできず、まるでクモの巣にかかった獲物のごとく、ジェシカの内側によりいっそう絡めとられていくばかりだった。
ああ、いけない、いけない、いけない、おお神よ私を救いたまえ、神よ、神よ……!
カトリック教会の神父であるジュリアンにとって、性行為はご法度である。ましてや17歳の少女が相手となれば、ことはさらに重大だ。
にもかかわらず、ジュリアン神父はジェシカの放つ世にも芳しき誘惑の香りに、ついに屈してしまう。しかしそれは彼だけの罪だろうか。否、決してそうとはいえないだろう。聖職につき己が身も心も神に捧げているとはいえ、ジュリアンは26歳とまだ若い青年である。加えてジェシカの類まれなる美しさ、ほとんど無意識に発するその蠱惑的な魅力は、とても抗いがたく非常なものなのだ。
そもそも女性の美とはそれ自体が宗教のように崇められてきたもので、歴史上に名を残す人物でも、美しい女性に翻弄され道を踏みはずした者は何人もいるだろう。聖職者とて例外ではない。
ジュリアン神父はジェシカの圧倒的な存在感の前に、畏れの念を抱きながらひれ伏し言いなりとなった。一点の穢れも知らぬようなその純白の肌は触れるとまるで吸いつくように、ジュリアン神父のごつごつと無骨な手をやわらかく受け入れた。すんなりとした首筋からなだらかに盛り上がっていくかたちのよいふたつの乳房は、それ自体がまるで発光するかのようにほの白く浮かび上がって見える。ジュリアン神父は本能にしたがい、はじめて間近で見る女性のうつくしい裸体にしびれるほどの感銘をうけながら、震える舌をゆっくりと這わせていった。
ジェシカは固く目を閉じ、暗闇の中で神経を研ぎ澄まし久しぶりの悦楽をぞんぶんに味わった。ジェシカのなかに大きな波が沸きおこり、それは渦を巻き高まりどんどん激しさを増していく。やがて怒涛の渦がピークを迎えると、ジェシカの身体は高い波に運ばれまぶしく神々しい光の彼方へと、連れ去られていくのであった。