文字数 673文字

 王暗殺の首謀者は、一部の神官が麻薬業者と起こしたものだと判明した。神官長カリオも王妃同様に利用されたに過ぎなかった。父親の汚名を晴らすために神官になったものの結局は父親同様に利用されるはめになったのだ。叔母マイの口添えで、神官長の地位はそのままだったが、神官たちの権力は制限されることになった。政教分離である。

「今回のことで、自分の無知を痛感した。私を人形作りの弟子にしてください。」
 コペンはマイに頼んだ。
「だめじゃ。」

「人形というのは、だたの器だ。使う者によって、益にも害にもなる。今回は悪を追い払ってくれた。しかし、怨みを込めれば、呪いの人形となる。武術も同じじゃ。悪とは実態があるわけではない。人の心が作り出すものだ。世の中を、人を観察することじゃ。それに、おぬしはおぬしをここまで育ててくれた者たちに何も返しとりゃせん。人は技術を与えてくれた者に己の経験をもって恩返しをしなければならん。もし、怪我で武術ができなくなってもその知識を伝える事はできる。それに、筋肉の動きを知りつくせば人形に魂を宿すこともできるようになる。あぬしが、もう十分と思ったその時には、工房へ来い。わしか仲間が力になるだろう。」
 そう、言い残してマイは我が家へと戻っていった。

 やがて、王は亡くなった。幼い第一王子だけでは国政は動かせない。彼が大きくなるまで第二王子が摂政を務めることになった。やがて、第一王子が成人すると、コペンは政界を退き、マイの待つ工房を訪ねた。マイはすでに他界していた。しかし、工房の者たちは王子を快く迎え入れてくれた。
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