第1話

文字数 3,234文字

みなさん、妄想は好きですか?
私は大好きです。

学生の頃は退屈な授業中、飲食バイトでのお客さんが来ない暇なシフトの時間…
とにかくボーッとできる時間には、必ず妄想をしていました。社会人になった今でも、通勤時、普段は音楽かラジオを聞いているのですが、たまにイヤフォンを取り出すのが面倒だな〜ってときがあります(私はとても怠惰です)。そんなときには、一人、満員電車の中でひっそりと妄想にふけっているものです。

ではどんな妄想をするのか。
あの大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』では、ガッキー演じる主人公・森山みくりさんが、何かと「有名番組に出演している」妄想をしていました。情熱大陸だったり、なんでも鑑定団だったり…。「誰もが見たことある超有名番組」に出演する妄想です。

この手の妄想、私もめちゃめちゃします!
「私こんな妄想してるんだよね〜」なんて話を自らするのは関根勤さんくらいで、普通はしないと思います。だから、この「有名番組に出る」という妄想がどれくらいメジャー(?)な妄想なのか実際のところ分かりません。が、わりかしみんなやってるんじゃないか?と、私はニラんでいます。だって、あなたも一度くらいは、王様のブランチの「買い物の達人」に出てみたいと思ったことあるでしょう?

そんなわけで、私は今日も、「しゃべくり007」に出演してホリケンとどんな絡みをしようかニヤニヤ考えながら、通勤したりお昼ご飯を食べたりお風呂に入ったりしているわけです。

さて、ここでこの文章のタイトルを思い出していただきたい。
「妄想現実主義者」
妄想…は分かるけど、現実主義者って何だろう…?と思ったことでしょう。
妄想してる奴が現実主義者なわけありません!

…ありませんが、私は少しめんどくさい妄想族なので、妄想するためにはすごく設定を作り込まないと気がすまないんです。タダで妄想はできない。「現実的に可能な」「可能性は0ではない」設定まで持っていかないと、妄想にのめり込めないんです。この辺りが「現実主義者」を自称する所以であります。

具体的に説明しましょう。
私が最近ハマっている妄想は「オールナイトニッポン」でパーソナリティーを務める、という内容です。ビタースウィートサンバに合わせて自分のフリートークをして、スタッフをいじりつつ(適度な内輪感でやってます)、コーナーでは「うちの職人はほんとすごいな〜」と唸ってしまうレベルのネタメールを読み、ツッコむ。パーソナリティー的にはサイコーに気持ちいいラジオ番組です。
しかし、天下のオールナイトニッポン。私みたいなしがない社会人がパーソナリティーを務められるわけありません。そもそもオファーが来ません。血迷ったニッポン放送さんが「パンピー(一般人)のオールナイトニッポン」を企画してくれれば可能性はなくはない…のか?や、でもその企画が通ったとして、星の数ほどいる一般人の中で私が選ばれるとは思えない。自分の周りだけでも、私より面白くて話が上手い人ばかりですし。
そうなると、私は何か有名人になる必要が出てきます。この「有名人」というのも、色々あるわけですが…

今回は「女優」ルートを見てみましょう。
女優ルートは、私が街中でスカウトされるところから始まります。あ、断っておきますが、私は決して自分の容姿に自信があるわけではありません。中肉中背の普通の人間です。でもすごく痩せたら…わんちゃんスカウトされるんじゃないか?私はすごく痩せたことがないので、スリムな自分=未知数。つまり、無限の可能性を秘めてるんです!この辺はなんだかんだガバガバなんですけど。
とにかく、スリムな私は、無限の可能性を秘めているのでスカウトされました。
しかし妄想は一筋縄には進みません。警戒心が強い私は、そのスカウトが信用できるものなのか?そもそも今の安定した職を捨てて芸能人になるなんて幾ら何でもリスクが高すぎないか?などと考え込んでしまいます。疑心暗鬼になった私。なかなか芸能界へ一歩踏み出せないでいる私…。そこで出会うのが、今のマネージャーです。

……マ、マネージャー……???

そうですマネージャーです。マネージャーの必死の説得により決心がついた私は、だいぶ遅咲きの芸能界デビューを果たすのです。
女優になった私。マネージャーの期待に応えようと必死で演技に打ち込みます。そしてマネージャーも超敏腕なのでいい仕事をたくさんとってきてくれます。そうして、なんやかんやあって、「朝ドラのヒロインの娘の友達役」として仕事がもらえるほどになります。すごいです。この辺は妄想なので雑です。大事なのは、私がオールナイトニッポンのパーソナリティーを務めるまでの可能性が「ゼロではない」設定を作り込むこと………。
ですが、こうして文字にしてみると、「一般人のオールナイトニッポン」企画が通り、うっかり私がパーソナリティーになる方が可能性が高い気がしてきました。まあいいでしょう。正直なところ、「女優になる妄想」を楽しんでいる節もありますし。
そんなこんなで、私は少しずつバラエティー番組にも出演するようになります。先ほども挙げた「しゃべくり007」などですね。しゃべくりに出た私は、「ゲストの秘密公開!」的なコーナーにて、ラジオが好きということがバレてしまいます。実際私はラジオが好きなので…。で、「ラジオ好き」という情報がニッポン放送のお偉いさんの耳に届き、とうとう私の元に「オールナイトニッポン0」の単発パーソナリティーのオファーが来ます。やっとです!やっとパーソナリティーになれました!いや〜ここまで長かった……
が、まだ終わらない。単発の「オールナイトニッポン0」が好評だったことを受け、次の改編から「〇〇(私の名前)のオールナイトニッポン0」がレギュラー入りを果たす。ここで初めて、私の妄想は先述した「ビタースウィートサンバに合わせたフリートーク云々〜」のフェーズに入ることが出来ます。
クソ長いな。

バカバカしくなってきましたが、妄想している当本人(私)は、この辺で一番盛り上がっています。どんなフリートークを話そうかな〜どんなコーナー作ろうかな〜と更なる妄想を繰り広げるのですが、、、ここでまた、例の「現実主義者」が顔を覗かせる。

「こんなフリートークで果たして…リスナーは喜ぶかな?もう少し簡潔に面白く話さないとダメじゃない?」
「このコーナーは正直パーソナリティーしか楽しんでないね?」
「ていうかぁ、パーソナリティー業にうつつ抜かしてると変なイメージが付くっていうか…もう女優業はいいの?」

……あれ、あれあれあれあれ?さっきまで一緒に頑張って来た(妄想内)マネージャーが、今度は真っ当な意見で私の妄想を潰しにかかってるな。なんで?妄想内にもかかわらず、マネージャーの言葉に私は悩みます。で、悩んだ末、下の結論。

「や…確かにマネージャーの言う通りだよね。一旦、この仕事から離れようかな。バラエティー出演も、控えます…。私、タレントじゃなくて女優としてやっていきたい!」

こうして、オールナイトニッポンは終了するのでした…

肝心のコーナーとかフリートークの妄想は全然出来てない。そっちの方が本当にやりたい妄想なのに〜

いつもこんな感じで、肝心の番組出演の妄想がぼんやりしたまま終わってしまいます。これを私は「妄想の中の現実主義者が終わらせる」=私は妄想現実主義者なんだ!と思い、この度文章にしてみたのですが…








徹頭徹尾ただの妄想じゃんね。いい加減にしなさい!







(追記)
今回は女優ルートでの妄想を紹介しましたが、他にも「文化人ルート」というのもあります。阿呆らしすぎて書く気も起きませんが…「女優じゃなくて文化人として有名になったら」設定なだけで、大まかな筋は女優ルートと変わりません。てか、妄想だからって、いくらなんでも女優さんや文化人の方々を舐めすぎてるなと反省しました。文章に起こして気づくことってたくさんありますね。
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