エピローグ(2)

エピソード文字数 2,826文字

「「「「????????????????????」」」」

 俺達は、揃って目をパチクリパチクリさせてます。
 ェ? ェッ? ナンナノ?

「先生が居るってことは、ワープ失敗ってことぜよ。どうなっちゅうが?」
「世界の移動は私達にとって、初歩の初歩。ミスをするなんて有り得ないわよ……?」
「しかし現に、ミスってる。どうなってるんだ……?」

 失敗しないモノを、失敗した。原因はなんだ?

「…………ねえ、レミア。陣が砕け散る前後に、何かなかった?」
「にゅむっ。『れーい』って言った瞬間に、どこかから『契約違反です』ってお声が聞こえてきたよー」

 け い や く い は ん ?
 それってまさか……。

「まさか俺達、契約解除できてない?」

 8月1日に、ネトゲー神様リリウが言ってた。契約した魔王はその魔王使いと同じ次元にいないといけないから、解除しないと帰れないよ! って。

「けど師匠。さっき、きちんと解いたぜよ?」
「私も見届けたわ。契約は、ちゃんと白紙になっているはずよ?」
「…………よくよく考えたら俺、『こうやれば解除できます』ってのを聞いてないんだ。つまり、あれではできないんだよ」

 単に解除を宣言するだけじゃ、ダメなんだね……。手の甲が光らなかったのは、空気を読んだんじゃなかったんだね…………。

「で、でもね従兄くん。伝説の魔法使いだったから熟知しているのだけど、そういう儀式は大雑把でもいいように作られていて――」
「申し訳ない。レミア命令する、そこのリモコンを取れ!」
「はい優星様。どうぞ」

 魔王様の瞳が操られたようになり、エアコンのリモコンを取ってきてくれた。

「ね、的を射てるんだよ。あの神様って異常だったから、儀式も異常なんでしょうな」

 大方一言一句間違わずに、定められた呪文を言わないといけないんだろう。……にゅむー、もぅヤダァ……。

「し、師匠。その神先生は、呼べんが?」
「ノウ……。アイツ、一年後に様子を見に来るって言ってた……」

 え、それはどういう意味かって? 解除は来年まで出来ないって意味だよ!

「…………なんかゴメンね、レミア。故郷に戻るのは当分バツっス」
「にゅむむむっ、いーよっ。もっと家事さんとかをやれるし、もっともっとゆーせー君と一緒にいられるもーんっ」

 レミアちゃんは、相好を崩す。
 うそん。この子、動じるどころか喜んでるぅ。

「まさかまさかの、レミア先生同居継続ぜよっ。これはシズナ先生、ワシらぁも現状維持をするしかないにゃぁ」
「そうね。神様、有難うございます」

 うぁぁぁあ。コイツらも滞在する気だ。

「ま、待てっ。レミアは仕方ないが、アンタ達は帰れるだろ――」
「がっはっはっはっは! オレ様の登場だ!!

 突然『戦場空間』が展開され、蝙蝠の羽が生えた大男が上がり込んできた。
 З? この、壁を突き破ってきたオレ様は誰?

「……あ、あのぅー。貴方はどちら様で、何しに来たんスか?」
「オレ様は『大翼族(おおつばさぞく)』の戦士で、『チェンジ・マナ』を頂きに来た! 貴様に恨みはないが、命を貰うぞ!」

 はあ? 俺を殺すだって?

「大翼族さん、正気? ここにいるのは、魔王を倒したヤツを倒した男だぞ?」
「ぁぁ? 出任せ言うんじゃねーよ!」
「いやいや、事実なんだってばっ。シズナ、そうだよね?」
「ええ、その通りよ。この人は、全次元最強決定戦のチームぶも――ぁ」

 ぁ? シズナちゃん、どした?

「チーム部門って…………スポンサーと局の都合で、今年からCSの放送のみになったんだったわ。しかも、とある本に結果が載るまでは――今年の場合は来年まで録った動画や結果をネットで公開してはいけないから、口での噂が広まるまでは狙われちゃう……」
「オメー最後の最後でそれはねーだろ!! 2日前もあったけど、逆ご都合主義じゃねーかマジふざけんな!!
「師匠師匠。逆ご都合主義ではないがよね」


 な、に?


「ベロリンガル先生が……えーと……一回戦か、二回戦か、三回戦の時やね。『チャンネルは608にしてるかNA~?』って言いよったがよ」
「にゅむむっ。地上波(ちじょーは)さんのチャンネル数はどの次元も大体おんなじで、608もないんだよー」
「そんな伏線回収しなくていいんだよぉ!! アホぉバカぁっ!!

 もーやだ。あの日に戻りたい。

「シズナっ、あの戦いは何だったんだよ! 安堵感を返せボケぇ!!
「ぁふんっ。そういう怒り方も、好き……!」

 あーもうっ、身体を抱いてくねくねしてやがる! 誰かコイツを病院にぶち込んで!!

「貴様ら…………ワケのわからねーコト言いやがって! 死ねやぁぁぁぁぁ!!
「死ぬのはお前だぁぁぁぁ!! シズナは責任とってヤツを消せぇぇぇぇっっっ!!
「『ブラック・レイジング』」

 蝙蝠の翼男、闇に捕らわれ一秒で死亡。こうして、『戦場空間』の方は、きちんと解除された。

「従兄くんを、しっかり守ったわ。ご褒美に怒って欲しいな」
「うるせぇのです、黙るのです。……俺、これからどうなるんだよ……」
「うふふふふふ。最強の噂がしっかり広まるまで、私達が傍で護衛するしかないわね。うふふふふふ」

 それしか、ないわな。
 でもね、幸せそうにするのはよせ。前後に『うふふふふふ』を挟むの、ホントにむかっ腹が立つから。

「…………ぁ~ぁ……。契約解除の件はともかく、また苦労する日々が始まるのか……」
「師匠、安心してやっ。ワシらが居れば怖いものなしぜよ!」
「にゅむんっ。あたしの『黄金浄化』と聖金術で、どんな敵さんでも倒しちゃいますー!」

 味方は一人で一兆人分の強さがあり、魔王は聖剣、勇者は魔法の杖、魔法使いは魔剣を所持している。強さと組み合わせが滅茶苦茶すぎて、何も言う気になりませんな。
 もう、なるようになれだ。ひゃはははははははは(壊れ気味)。

「にゅむむ? ゆーせー君?」
「失礼しました」

 俺は、ケホン。空咳を用いて、壊れ気味の精神を治した。

「…………思うところはあるが、他の方法がないからな。みなさん、これからもヨロシクお願いします」
「にゅむっ。こちらこそヨロシクだよで、これからも仲良くしよーねっ」
「師匠、引き受けたきっ。同盟を結んだ薩摩と長州のように――ワシは師匠を助け師匠はワシに土佐弁を教えるという、Win‐Winの関係でいくぜよ!」
「私は今迄以上に、従兄と従妹の関係を深めたいわ。いっぱい太腿を触っていいから、いっぱい怒ってね?」

 三人に関しても何も言う気にならないので、それぞれのコメントについてはノータッチ。とにかく――

 父さん母さん。非常に安全だが精神的に疲れるという奇妙な生活が、あと一年ほど続くことになりました……。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

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