第14話 勉強教えてくれよ

文字数 2,107文字

4月で学校にだいぶ慣れた冬月さん。


修学旅行の副班長として、集まりにも毎回ちゃんと参加した他に図書委員としてもサボらず仕事をこなしている様子。


5月になり高総体が始まったが、帰宅部の俺には全く関係のない話…


4月中は毎日一緒に帰っていた冬月さんだったが、学校生活に慣れてきたのか、最近は俺に一緒に帰ってほしいと頼んでくることも減った。


行きは俺と愛と一緒に毎日登校してるけど、委員会等で帰りが遅くなる時は、部活帰りの愛と一緒に帰って来ることもあれば、何もない時は同じ方向の子と帰ってきてるみたいだ。

俺は一人で帰ってくることが増えた。


今日も一人で帰ってきてUチューブを部屋で寝っ転がりながら、一人で見ていると、家のインターフォンが鳴った…

(宅配便とかかな?お父さんもお母さんも荷物何か渡独ならひと言くらい連絡入れといてくれればいいのに…)


なんて思いながら階段を下りて、インターフォンの画面を見ると…


(冬月さん?!)

とりあえず玄関に向かいドアを開けた。
冬月さん、どうしたの?
なぁ。勉強教えてくれよ。もうすぐテストだろ?
いいけど、俺より愛の方が頭のいいよ?


連絡先知ってるんだから、普通に連絡してくれればいいのに(笑)

愛さんも最近やっとなれたけど、龍一だと気ぃつかわねーからさ(笑)


夕飯食べたか?

何で俺だけ気を使わなくていい設定なんですか(汗)


夕飯食べてない…お腹すいたらカップラーメンでも食べようかと思ってたよ。


冬月さんは食べた?


カップラーメンくらいでよければ、あるけど?

カップラーメンなんか食ってたら太んだろ。


私の家で勉強すっから来い。夕飯は作ってやるから。

え?いいの?
勉強教えてもらうお礼だ。
じゃあ、親にメール入れとくね。友達と勉強して来るから夕飯いらないってさ。
そして隣のアパートの冬月さんの部屋に俺は再び入った…
お米はもう炊飯器に炊いてあるから、おかずを作るだけだから、テキトーに座って待ってろ。


食べてから勉強した方いいだろ?

正直、お腹は空いてるから、その方が助かるかな(笑)
冬月さんは台所に立つと手際よく料理を作ってすぐに出してくれた。


前はカレーをご馳走になったことがある。


凄く美味しかった。


今日はハンバーグだった。

凄い美味しかったよ。ご馳走様でした。


勉強始める前に洗い物する?前回手伝えなかったから、今回は手伝うよ。

大丈夫。後でやるから、勉強開始で頼む。
冬月さんはノートと教科書を開いて準備万端、


まず今日は英語からやりたいとのことで、英語から勉強していく。


冬月さんは英語に関しては全体的によろしくない…


日本語もちょっとままならないところがあるので、英語になると余計酷くなるのだろうか…

冬月さん…英語はさ、まず教科書云々カンヌンの前にさ、単語覚えようか…
(多分、記憶と共に単語とかそういうのも一緒に忘れてしまっているだけだと思う…これをまずはやってもらおう…)
俺は冬月さんに自分の鞄の中から、単語の書かれた書店で売っている英語の単語帳を渡した。
いいのか?私が借りてたら龍一が勉強出来なくなるんじゃねーか?
大丈夫だよ。それ一回なくして同じの買ったら、見つかったんだよ(笑)
そうか。じゃあ借りる。
英語はまず単語を覚えるところからっていうのは後で一人でも出来ると思うので、数学にうつる。


数学も悲惨だった…公式とか全て忘れてしまっているので、一から説明するのが大変だった…

小学生とか中学生位からの勉強をした…


冬月さんはでも、元はやはり頭もいいのだろうすぐに理解して、やっと現在のところまでたどり着いた…

時計を見ると22時になってしまっていた…
長い時間ありがとう。明日もいいか?
いいよ。どうせ俺は帰宅部の暇人だしな(笑)
龍一は恋をしたことあるか?
(え?何いきなり?なぜ平凡な俺にそんな質問をするんだ…)
そりゃあ一応俺も人間だしさ。ないわけではないよ(汗)


冬月さんは?昔の記憶内だろうけどさ、たとえば去年とかは?

私?昔のことは覚えてねーからわかんねーけど、高1の時も好きなやついねーな(笑)


みんな私のこと白石 千春として見てくっから、ミーハーなやつばっかなの丸わかりなんだよな。


どういう気持ちなんだ?恋ってやつは?

そうだね〜その人のことを考えてばっかりとか、話せるだけで嬉しいとか、他の人と話してると落ち込んだりとか、喜怒哀楽が自分でわかりやすくなるとか?言い表せないかな。


なんか恋に興味持ったの?

愛さんと酒井さんが話してたんだよ。


酒井さんはキザやろうに恋してるらしい。


私よく班長会議一緒だから、色々聞かれるけど、キザやろうのこと全然知らない(笑)


愛さんに龍一のことも聞かれたぞ?


龍一は変なことしてこないかとか、襲ってこようとしてこないかとか、キモいこと言ってこないかとか。

(なんかそれ俺のイメージ変態な感じ…?)
愛の中で俺のイメージなんなんだよ…


冬月さんはなんて答えたの?

キモいけど、あいつはヘタレだから大丈夫って答えた(笑)
もうちょっとさ、良いこと言おうよ…


じゃあまた、朝にね。夕飯ご馳走様でした。

そう言って冬月さんの部屋を出ると、隣の家の玄関に俺が入るまで冬月さんが手を振っていた
※冬月 千春(白石 千春)高校2年生


自宅にて

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登場人物紹介

上田 龍一(うえだ りゅういち)

城西高等学校2年生

成績、スポーツ、容姿全てが平均的男子。同級生で同じ高校で同じクラスの坂木 愛(さかき あい)に恋をしている。

冬月 千春(ふゆつき ちはる)龍一のクラスへの転校生。

両親離婚前は白石 千春(しらいし ちはる)

元アイドル。そして記憶を失くしている。

坂木 愛(さかき あい)城西高等学校2年生。龍一と同じクラス。


目立つタイプではなく、あんまり人の輪に入ることが得意ではないが、容姿が良いため男子から密かに人気がある。

酒井 真美(さかい まみ)。龍一のクラスメイトで、愛の親友。

佐藤 明(さとう あきら)。龍一のクラスメイトで親友。

神谷 俊(かみや しゅん)。龍一と同じクラスで学年一のモテ男。性格もイケメン。

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