第9話 佐野元春~つまらない大人にはなりたくない~

文字数 2,331文字

 みなさんこんにちは。こちらは1980年代からをJ-POPで過ごしてきた甘らかん(私)が、なにが起こって2020年の今更になって宮本浩次・エレカシ沼に入ることになったのかを語るエッセイになっています。

 今回のアーティストは【佐野元春】さんです。2020年現在64歳。現役で活躍されています。最初からカッコよかったですが、60過ぎてもビジュアルからしてカッコいい。こんな白髪の似合うダンディな60過ぎがいていいのだろうか。
 姿勢はいいわ、デニム似合うわ、Tシャツにジャケット鬼似合うわ。
 オジキュン、イケオジという言葉があるけれど、間違いなく佐野元春さんの名前もあがるでしょう。是非とも【私の家政夫モトハルさん】になって美味しいものをたくさんご馳走して欲しいです(それは大胆に違う)。



 1980年デビュー。当時のEPICソニーの大ボスとでもいいますか、TM NETWORKさんも渡辺美里さんも大変尊敬していたそうです。
 ウィキペディア先生によると、デビューまでの道のりもデビューしてからも現在に至るまでも【下積み、苦労、先見の目】がだるま落とし状態になっており、ウィキ見ていて「これは京極夏彦作品並みの分厚さではなかろうか」と驚愕するのです。

 ライブはいつだったか横浜スタジアムに行かせていただきました。【SOMEDAY】【アンジェリーナ】などで沸き立っていた頃です。

 もちろん【ガラスのジェネレーション】も。

 佐野元春さんは詩人なので、「お前が好きだ~」とか「おれは全力で進むぜ~」とか直球ではない。されど伝わってくるから眼球が熱くなる。
 佐野元春さんの楽曲は強さとやさしさにあふれている。
 残業の日々のなか、ようやく訪れた露天風呂に足を突っ込んだ時に漏れる「あーっ、しみるーっ!」というような。
 そんな効能が佐野元春さんの歌にはある。



 話が飛ぶが、2020年になって暴れまわる自分と同年齢の宮本浩次さんをテレビで見ていて「すごいな、この人」と思ったとき【つまらない大人にはなりたくない】という言葉がバン!と浮かんだ。
 すぐさま【ガラスのジェネレーション】だとわかりました。あぁ、佐野元春さんだと。

 この楽曲をリアルで聞いていた20代ではその言葉の意味があまりピンときていませんでした。「法律的には大人だし。私つまらなくないよね。作家になりたいという夢もあるし。1次2次通過くらいはするし」と鼻をほじっていたような気がします。せめてチリ紙でチーンしていたら、いまよりはつまらなくない人間になれていたかもしれないのに。
 若すぎてなんだかわからなくなっていました。いま、リアル(現実)を感じてしまっています。

 スラムダンクの安西先生がおっしゃっています。「諦めたら、そこで試合終了ですよ」と。
 過去の栄光にこだわるあまり、昔は名の知れたプレイヤーだったのにと愚痴をこぼしながら挫折に向かってしまった三井寿が、もう一度立ち上がりたい「バスケがしたいです」と涙する名シーンまでもが思い出されました。
 スラムダンクは三井寿推しです。それは三井寿があそこで自分を取り戻して立ち上がったから。バスケが大好きだと認めて、もう捨てないと誓ったから。ここで逃げていたら、彼はつまらない大人になりさがっていただろう。



 大人という概念に戸籍上の年齢が関係あるのだろうか。
 何歳(いくつ)でも、前に進むことを考える。捨てていいのは腐敗が進んで自慢にならなくなった過去だけだ。他人(周囲)が見ているのは現在(いま)だから。

【つまらない大人にはなりたくない】というフレーズを思い出したとき「宮本浩次カッコよかったんだ。ただの『さぁ頑張ろうぜじゃ』なかったんだ」ということに気が付いて沼に足突っ込んでしまった。それは佐野元春さんのおかげかもしれません。佐野元春さんありがとうございます。貴方もマジで素敵です。是非とも【私の家政夫モトハルさん】になって美味しい和食に連れて(以下略)。

 すぐれたアーティスト、作品というものは、時がたってもなにかしらのきっかけで思い出すことができる。今回の【ガラスのジェネレーション】しかり。【SOMEDAY】のピアノ前奏が聞こえてきただけで目が発熱するのはだれの仕業なんだろう。



 私が「もう駄目だな」と作家への道を投げたのは40歳になったあたりで、ここからさらにつまらない大人になっていく。ただ残業がきついだけの仕事を生きがいにすり替えて心身ともに疲労したあげく、上司に嫌われてクビになった。独身一人暮らし。ワンルームのマンションへは帰って寝るだけ。テレビつけてケラケラ笑うだけ。
 つまらない大人は簡単に出来上がる。

 2020年コロナという病が世界を覆い、世界ごとつまらない大人になってしまいそうなとき。
【つまらない大人にはなりたくない】という言葉を思い出すきっかけが、ある日突然ポンという音をたててやってきた。

 私がいまこのエッセイに挑んでいるのは【つまらない大人にはなりたくない】からだ。
 生きるためにはなにかをしていないとダメになるからだ。
 諦めたら試合は終了する。体育館で真面目に練習しているバスケ部員につまらない喧嘩を吹っかける不良になり下がってしまうことだけは全力で回避したい。

 佐野元春さん、突き刺さる歌詞(ことば)を思い出させてくれてありがとうございます。いくつになってもガラスのジェネレーションです。時にはSOMEDAYで目頭熱くします。
 佐野元春さん自身も日々前進あるのみで突っ走っています。これからもずっと【つまらない大人にはなりたくない】精神でお願いいたします。

 P.S. 【NEW AGE】の透明感も好きです。

~第9話 終わる~
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