33 見よ、サルがゴミのようだ。
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モンキは、眼下に見えるサルの大群をじっと見ていた。
最初は光の反射と錯覚して、おでこに手を当てたものの、それでもモンキの曇った表情は変わらない。
アリスは、モンキの説明を聞いて小さくうなずいた。
だが、アリスにはそれでも分からないことがあった。
動物の植物化計画というのは、完成すればかなり変色する。
たとえ失敗しても、たとえある程度のところまでいけば、元の色が相当変色する。
俺も、最初は透き通った緑と、あんこの紫だったが、その紫が完全に剥がれ落ちた。
おそらく、あそこにいるサルもそういうような感じなんだろう。
デビルラフレシアがそう言ったとき、ついに竜巻がサルの大群に押し掛けた。
何匹ものサルが、左へ右へ逃げ惑うのが、上空のアリスからもはっきりと分かった。
デビルラフレシアがうなずくと、竜巻は一旦サルの大群から外れ、サルを追い越すように先回りした。
サルたちの手にも口にも、明らかにお菓子があったように見えた。
ちょっとうらやましいというのはあるけど、今の説明を聞いてものすごく悲しくなってきたよ。
お花のお城で植物化計画を実行されたラフレシアが、こうして楽園を襲っていくと考えると、なんかものすごく嫌な予感しかしないんだ。
その時、アリスは突然竜巻の進行方向が変わったように思えた。
体をひねらせて、何とか重心を保つ。
すると、正面に先程のサルの大群が飛び込んできた。
竜巻が急降下し、アリスとモンキはサルの大群が駆け抜ける大地へと降りていった。
モンキは、大群に体を向け、両手を大きく広げた。
100m先に、その大群はあった。
アリスたちがそう話した時、突然視界からサルたちの姿が消えた。
一瞬気付くのが遅れたときには、大群がUターンして、再びお菓子のお城へと走り出したのだった。
そう言うと、アリスはデビルラフレシアに向かって走り出し、その葉の上に飛び込んだ。
モンキが力なく戻ると、また竜巻は激しく回り始めた。