第84話 地獄とは?極楽とは?

文字数 1,450文字

この世で生きていられるのはあと何年だろうか。もうそんな先ではない。
人間は死んだらどこに行くのだろうか。
死後に地獄や極楽があるとするなら、できれば極楽を選びたい。

仏教では地獄は「奈落」であり、生前の行いにより導かれる死後の世界と言われています。
悪行を犯したりすると地獄に落ちるという。そこには血の池、針山、火炙り等があると言う。
生前の行いを仏教の5つの戒律を基準に審査される。それを犯した者は地獄行きだと言う。


不殺生戒(ふせっしょうかい):あらゆる生き物を殺さない
不偸盗戒(ふちゅうとうかい):窃盗、詐欺や不正行為を行わない
不邪淫戒(ふじゃいんかい ):妻以外との淫らな行為をしない、享楽に溺れない
不妄語戒(ふもうごかい ):嘘をつかない、悪意のある発言、過激な発言をしない
不飲酒戒(ふおんじゅかい ):中毒性のあるもの、酒を摂取しない

不殺生戒は、あらゆる生き物という事なのです。肉やお酒でも地獄行きとなる。
鳥や牛といった生き物の肉を食べることも禁じられています。
これでは、ほとんどの人が地獄に落ちるしかない。
諦めるしかないか。極楽なんて誰もいけない。

いや諦めることはない。極楽へ行く裏技がありそうです。
寿命が終わりそうな時には、一生の過ちを心から懺悔して、「南無阿弥陀仏」を唱える。
そこでお釈迦様が救いの手を差し伸べてくれる。それで極楽浄土に行けるようです。
どこかの新興宗教のようなものなのでしょうか、ちょっと信じがたいですね。
そうやって疑う私は、地獄行きが決定しそうです。

私は地獄でもいいです。
一度死ねば二度と死なないのだから、何があっても恐ろしくない。
針の池でも火あぶりの刑でも恐ろしくない。夢の中の出来事と同じような気がする。
死なないんだから、もしかしたら火あぶりの刑がマゾ的な快感になるかもしれない。

できれば極楽へ行くほうがよさそうですが、幸せな毎日ばかりじゃ面白くない。
努力もしないのに平穏な日が永遠に続くのでは、私は苦痛に感じてしまう。
日々の努力が生きがいなのに、何もしないで幸せでは「生きている」価値がない。
ああ、だんだん混乱してきました。死後は「生きていない」ことなんだ。
地獄も極楽も死後の世界。ますますわからなくなってきた。
死後の世界でも幸せになりたいなんて、私は精神的な病気になったのかもしれない。

死後の世界は誰にもわからない。だから不安で恐いと思う。
・・・・・地獄に死はあるのか?
・・・・・極楽に生きがいはあるのか?
・・・・・「ナミアミダブツ」を唱えれば、本当に極楽行きの切符が手に入るのか?

暇がありすぎると、つまらないことを考えてしまいます。
そんなくだらない事を考えている時は「幸せだなあ」と思います。
これから先も何もする事がない時は「地獄と極楽」の事を想像します。
自分の未来の事だから大事なことだと思う。
仏教でもキリスト教でも、世界のあらゆる宗教が死後の世界は大きなテーマになっている。
暇をつぶすには最高のテーマのように思えます。
また悩みが増えそうです。苦しみが増えそうです。訳が分からなくなりそうです。

私には、この現実の世界が「地獄」であり「極楽」でもあるように思える。
死後も、境遇は変わると思うが、同じような世界だと思っている。
人は魂が形になったもの。その魂が姿かたちを変えて生老病死の世界に現存する。
新しい世界に生まれ直し、喜怒哀楽の人生をを過ごし、また寿命を迎え一生を終える。
それが永遠に繰り返されるような気がする。地球が終わるまで・・・・
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