第1話 幼女
文字数 1,092文字
「まったく、ややこしいことになったわね」
まだまだ駆け出しのソウルセ/シェイバー、ショウとシュウから一連の経緯の報告を聞き終え、彼らの上司・芽里 は眉間のしわを揉みながら、ふぅ、と息を吐いた。
彼らが過去に戻る願いを叶えた相手が、まさかの(ある意味)“殺人未遂”。その後のまた別の対象者とのやり取りを経てどうにかリカバーしたものの、危うくルール違反を犯すところだったわけだ。
「「すみません」」
うなだれつつも見事なユニゾンで言う部下たちに、内心ではあれは仕方ない、と自分でも思ってはいるものの、厳しい表情を作ったままで声をかける。
「とにかく、起きてしまったことはしかたないわ。選出の段階も実施申請提出時も、NGは出ていなかったんだから。あなたたちだけのせいとは言えない」
だが、2人がほっと胸をなでおろす間もなく、ただし!! と声を上げ、芽里は目の前の重厚な机を思い切り叩いた。思いのほか手が痛くてちょっとだけ涙が出そうになったけど、それは顔に出さない。いや、出せない。
「「はい!」」
見た目6、7歳の幼女なのに、うちの上司、超怖い!! 背筋を伸ばして硬直する2人に、芽里はゆっくりと告げた。
「とはいえ、何もしないわけにもいかない」
「と言うと?」
「誰かしら、何かしら、責任を取らないと」
「はあ」
「だからね、あなたたちには始末書を書いてもらいます」
「始末書!?」
「って何ですか?」
「…今回のことが起こった原因、経緯を報告して、今後の防止策をまとめるの。今後二度とこのようなことが無いよう気を付けます、って反省の言葉を添えて」
「ええ? 二度とこのようなことが無いように、って、そりゃ無理ですよ。だって、あんなことされるなんて思わなかったし」
「また同じようなことされたら、やっぱり、またこんなことになるのでは…」
「無理とか言わない! そもそもね、あなたたちの対応が甘すぎなの。心を読んでいるってもろバレしちゃって、読むなと言われりゃハイソーデスカ、って何なの? ガキの使いじゃないんだから! 読んでる素振り見せずに、黙って読んでりゃいいじゃないの」
「あ!」
「あ~!」
「な、なによ?」
「芽里さん、あったまいい!」
「な、何言ってるの!? ちょっと考えればわかることじゃない! もぉ、いいからとりあえずやってみて。期限は2日。提出前にちゃんと見せるのよ、いい?」
照れているのかいないのか、心なしか紅潮した頬を膨らませながら念押しする芽里に、わかりました、と(できる限り)しおらしい表情を作って返事をし、2人は上司の部屋を辞した。
まだまだ駆け出しのソウルセ/シェイバー、ショウとシュウから一連の経緯の報告を聞き終え、彼らの上司・
彼らが過去に戻る願いを叶えた相手が、まさかの(ある意味)“殺人未遂”。その後のまた別の対象者とのやり取りを経てどうにかリカバーしたものの、危うくルール違反を犯すところだったわけだ。
「「すみません」」
うなだれつつも見事なユニゾンで言う部下たちに、内心ではあれは仕方ない、と自分でも思ってはいるものの、厳しい表情を作ったままで声をかける。
「とにかく、起きてしまったことはしかたないわ。選出の段階も実施申請提出時も、NGは出ていなかったんだから。あなたたちだけのせいとは言えない」
だが、2人がほっと胸をなでおろす間もなく、ただし!! と声を上げ、芽里は目の前の重厚な机を思い切り叩いた。思いのほか手が痛くてちょっとだけ涙が出そうになったけど、それは顔に出さない。いや、出せない。
「「はい!」」
見た目6、7歳の幼女なのに、うちの上司、超怖い!! 背筋を伸ばして硬直する2人に、芽里はゆっくりと告げた。
「とはいえ、何もしないわけにもいかない」
「と言うと?」
「誰かしら、何かしら、責任を取らないと」
「はあ」
「だからね、あなたたちには始末書を書いてもらいます」
「始末書!?」
「って何ですか?」
「…今回のことが起こった原因、経緯を報告して、今後の防止策をまとめるの。今後二度とこのようなことが無いよう気を付けます、って反省の言葉を添えて」
「ええ? 二度とこのようなことが無いように、って、そりゃ無理ですよ。だって、あんなことされるなんて思わなかったし」
「また同じようなことされたら、やっぱり、またこんなことになるのでは…」
「無理とか言わない! そもそもね、あなたたちの対応が甘すぎなの。心を読んでいるってもろバレしちゃって、読むなと言われりゃハイソーデスカ、って何なの? ガキの使いじゃないんだから! 読んでる素振り見せずに、黙って読んでりゃいいじゃないの」
「あ!」
「あ~!」
「な、なによ?」
「芽里さん、あったまいい!」
「な、何言ってるの!? ちょっと考えればわかることじゃない! もぉ、いいからとりあえずやってみて。期限は2日。提出前にちゃんと見せるのよ、いい?」
照れているのかいないのか、心なしか紅潮した頬を膨らませながら念押しする芽里に、わかりました、と(できる限り)しおらしい表情を作って返事をし、2人は上司の部屋を辞した。