縄張り管理局

文字数 396文字

K市街ではある迷惑事を抱えていた。
野良犬、野良猫たちが縄張り争いをしているのだ。
市民も勝手にやってくれればいいと思うものの、昼間から公園を牛耳って暴れている。
怖くて子どもを遊ばせられない。

K市役所の公園課も最初は甘く見ていたが、
住民の声が日に日に高まって手に負えなくなったので、縄張り管理局に依頼した。
派遣された局員K氏は早速現場を視察し、紛争解決にとりかかった。
K氏はトレーナー資格を所有していたので、
あれよあれよという間に犬猫たちは大人しくなり、それぞれの縄張りを理解したようだ。
K氏が役所に完了報告をすると、地元ニュースでちょっとしたヒーロー扱いに。
あくる日には、公園に平和が戻った。

K氏は今日も帰宅する。
嫁はテレビの前のソファで煎餅をお供にごろり。
娘は身に覚えのない憾み嫉みを言ってくる。
挙句に、脱いだシャツに向かって飼い犬が吠えまくる始末。
「はぁ、俺の縄張りは一体どこにあるんだ…」
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