第21話 地球儀
文字数 492文字
視線を巡らせると、机の脇には見たこともないような球体が置かれている。
藤音はおそるおそる手を伸ばし、球にふれてみた。よもや触ったくらいでは爆発するまい。
「この、丸い物は何なのでしょうか」
「それは地球儀だよ」
「地球儀?」
藤音はまたもや首をかしげた。こちらも初めて耳にする名だ。
隼人が藤音のかたわらに来て、その地球儀とかいう球体をからりと回す。
「これは、わたしたちの住んでいる世界を表したものなんだ」
「は?」
隼人の言うことが藤音にはさっぱり理解できない。
「丸いのですか? なぜ? わたくしたちの足もとの地面は平らではありませんか」
「なぜと訊かれると説明するのは難しいのだけど、とにかくわたしたちの住む世界はこういう形をしているらしいんだ。で……」
さらに球体を少しだけ回して指さす。
「この小さな島がわたしたちの住んでいる倭国 」
大きな球の中、海に浮かんだちっぽけな島は豆粒のようだ。
「こんなに小さな……」
「で、海を隔てた半島が羅紗 国。さらにその背後の大国が陵 」
藤音は隼人の指し示す国々を眼で追った。自分たちの住む国は何と小さく、海の向こうには何と大きな国が広がっているのだろう。
藤音はおそるおそる手を伸ばし、球にふれてみた。よもや触ったくらいでは爆発するまい。
「この、丸い物は何なのでしょうか」
「それは地球儀だよ」
「地球儀?」
藤音はまたもや首をかしげた。こちらも初めて耳にする名だ。
隼人が藤音のかたわらに来て、その地球儀とかいう球体をからりと回す。
「これは、わたしたちの住んでいる世界を表したものなんだ」
「は?」
隼人の言うことが藤音にはさっぱり理解できない。
「丸いのですか? なぜ? わたくしたちの足もとの地面は平らではありませんか」
「なぜと訊かれると説明するのは難しいのだけど、とにかくわたしたちの住む世界はこういう形をしているらしいんだ。で……」
さらに球体を少しだけ回して指さす。
「この小さな島がわたしたちの住んでいる
大きな球の中、海に浮かんだちっぽけな島は豆粒のようだ。
「こんなに小さな……」
「で、海を隔てた半島が
藤音は隼人の指し示す国々を眼で追った。自分たちの住む国は何と小さく、海の向こうには何と大きな国が広がっているのだろう。