懲戒解雇かな

エピソード文字数 1,262文字

警察というのは、単純に正義側の立場であり、犯罪者という悪を取り締まるという点で、非常にわかりやすい善悪のポジションだと思う。
実際には汚職やらパワハラ、セクハラの温床であり、労働環境もブラック企業を超えている。
もちろん、悪い意味で。
ただ、そういった組織だからこそ、まっとうに生きている自分のような人間が必要だし、
大事だと言い聞かせてきた。
その真面目人間の自分が、あろうことか犯罪を犯してしまうは。

「さすがに、警察官が窃盗したらまずいよなぁ。懲戒免職で済めばいいけど、やっぱり逮捕されるのかな。」

誰に言うでもなく、そう呟き、ハンドルに額を押し付け、顔を隠す。
今後の行動について再度思案していると、
店の外で、スタッフと話をしているコンビニの店長とおぼしき人の怒鳴り声が聞こえてきた。

「もう頭にきた!毎回毎回うちの駐車場のコンセントから電気を無断利用して充電しやがって!盗電は立派な窃盗罪だぞ!ただでさえ、買い物もしないくせに駐車場だけ利用したりするふざけたヤツも多いのに。うちもボランティアでやってるんじゃねぇぞ!」
60代半ばだろうか。
まだまだ元気そうではあるが、白髪も多く、初老の店長と思われるスタッフが若いスタッフに怒鳴り散らしている。

横にいたスタッフは苦笑いというか、愛想笑いをしてやり過ごそうとしているが、店長の怒りのボルテージは収まりそうにない。
むしろ、まともに相手にしなかったことが、より店長の怒りを増幅したようだ。
「おまえにも原因があるんだぞ。定期的に見回りをして、買い物客じゃないパーキング利用者がいたら声かけしろって言っただろ。携帯の充電だって、1分2分じゃ終わらないんだからな。お前は何時間気づかなかったんだ!携帯がささってたら気づくだろ、普通!」
一理あるとは思うが、完全にとばっちりである。
急に我が身に火の粉が降りかかってきたスタッフはしきりに謝り始める破目になった。
俺は心の中で謝りながら、今更ながら、後悔していた。

スタッフを見ると、明らかに外国人だ。
外国人という表現が差別的かもしれないが、少なくとも純正の日本人ではないのは見るからに明らかだ。
昨夜コンビニで買い物をした時には気にも留めなかった。
それが当然というくらい、昨今のコンビニの店員は外国人が多い。

俺自身は接客等含めて、それで不満や不愉快を感じたことはない。

外国人の犯罪発生率は非常に高いのだが、それも、日本という社会が外国人に対してまだまだ閉鎖的で、社会的不遇や偏見が多いことが原因の一つだと考えている。
つまりは、外国人だけが悪いのではなく、そういう環境を作っている日本も悪いのだという認識だ。

だからというわけではないが、一生懸命働いている外国人を見ると安心するし、応援したくなる。

スタッフは俺のせいで怒られているわけだが、はたして、どこまで理解しているのだろう。
日本語がどのくらいしゃべれるのかはわからないが、少なくとも店長が激怒していることは理解しているだろうが。
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