再会-2-
文字数 2,743文字
「
「アホっ」
目をむいた
「アレだけはやめとけや!とんでもないロクデナシやで」
「おい、
ドスを利かせる
「お前はええヤツやけど、女関係だけは、ゆるゆるのガバガバやん」
「言い方!……ふぅ~ん、そーかそーか。そういや
ニヤニヤしながら、
「大阪弁の女の子って、すっげぇかわいいよね。ねぇねぇ、オレとおつきあいしちゃわない?」
「な!」
跳ね上がった
「オレ婿入りしてもいいしぃ。
「ウチは
「何言うてんねんな!」
語気も荒く、
「おとうちゃんとおかあちゃんの娘はねーちゃんやろ。俺はちゃうし、商売の才能もあれへん。教職取って、こっちで就職する」
「先生なんか、大阪でだってできるやん。なんで
「ねーちゃんこそ、せっかく商学部入ったのに」
「そこしか受かれへんかっただけや!」
ふたりの
ボキッ!
指を鳴らす、それにしては迫力ある音だった。
ボキっ、ボキボキ!
その場にいる全員の目が、その音を立てた
両手の指を鳴らし終わった
「クロ、
「や、あの……」
極寒の瞳で見据える
「いやいやいや、死んじゃいますって。ほんと、ごめんなさい」
「問答無用っ」
勢いよくマットを蹴ると、
「いやぁぁぁぁ!ごめんなさいぃぃぃっ」
慌てて背を向けて、
「うっわ」
ついと差し出された
「覚悟!」
飛びかかった
「ぐ、ぐえぇ……。く、苦しっ、やめ、ギブゥ~。……あ、でも」
「結構ムネあんだね。柔らけぇ~。マジで昇天しそ、がはぁぁぁぁっ!」
ドスリ!
「
「嫌です」
「なんで?」
「
そう言いながら
「
「でも」
「でもじゃない」
そのまま
「……わかった。あなたが嫌だと思うことはしないわ。ごめんなさい」
「ん」
くぐもった
「なんや新婚さんみたいやねぇ。
「近いて。……もっと前からの知り合いだって」
「ふぅん。幼なじみみたいなもん?」
「まあ、そう、かも」
「じゃあ、ウチらと同じやな」
「俺らは、……
さりげなく一歩距離を取った
「うぁ~、ひでぇ。胃袋つぶれた。夕飯食えねぇかも」
「タラシに正義の
ニマニマと笑う
「冗談に決まってんだろ」
「へーぇ?ナンパにも五分の魂を込める主義じゃなかったっけ」
「虫じゃねぇ」
「ってことは全部ウソってことかー。サイテー」
「ちが、オマエなぁ!」
「サイテーだよねぇ、コウ姉」
じゃれる
「どしたのコウ姉。
「え、なにが?」
不思議そうに首を傾けて、
「いえ、なんでもないデス」
「ならいいけど。……ソウ、ちょっとこっちに来て」
心底興味がなさそうな
「……地味にツライ……」
「本命にはそんな感じなんだ。しょげちゃって、おっかしぃ~」
三日月目で笑う
「うっせぇな。オレだって、こんなん初めてだよ」
(こんなに相手にしてもらえないヒト、初めてだよなあ。……こんなに)
こんなに、身を焦がすほどの思いに駆られるのも。
「タバコでも吸いに行く?」
「いや、いい」
「最近吸わないね、そういえば」
「なんか、吸いたくなんねぇんだよ」
シェアハウスをするようになってから、
ここでは時間を持て余すことも、腹を探り合うために一呼吸入れる必要もない。
だって、隠すことなんて無理なんだから。
わかっていて、それでも受け入れてくれる仲間たちだから。
「いいことじゃない?ゼリー飲料も吸わなくなったし、口唇期をやっと卒業したってとこだね」
高校のときは決して見せなかった辛辣さで、青い目が
「いや、吸うのは好きよ?男の子だもん」
「うーわ、下劣。でも、ここの食事を逃すのはもったいないしね」
「なー」
「
よっぽどの用事がない限り、
その
それを
「オマエこそ、
「だって、混ぜ込みにしてくれたり、お稲荷さんとか作ってくれるからさ。……僕の分だけ」
「ふーぅん。そういうのなら食えるんだ」
「ま、ね。……指を絡ませてるね、玉石ふたりは。……アーユスで何話してるんだろ」
(言いたくねぇってか)
あからさまに話題をそらされたことには気づかないふりをして。
「
「気がつかなかったのかもよ?いちゃついてたこと」
「コウが?」
「ないか」
「ねぇな」