【6時限目】第2の生徒・ビッチ系バハムート登場
文字数 3,469文字
姫を二重の精神支配により掌握した五分後、僕はまず【現代魔法】の授業を開始した。
2018/04/07 12:43
【現代魔法】①魔力を持っている者が、幻界語で特定の言葉を詠唱することにより発動する異能
②幻界歴元年以後に生まれた魔法
※古代魔法は、幻界歴以前に生まれた魔法
③体系は赤、白、黒、青魔法に大きく区別される
※但し、時空間魔法など例外あり
2018/04/07 18:23
さて、これから本格的なセンター試験対策に入っていく訳ですが、まず試験のベースとなる【現代魔法】から対策していきます。
2018/04/07 18:35
なるほど。現代魔法は配点も高いですし、当然ですわね。
2018/04/07 18:38
ええ。現代魔法の試験だけでも三種類ありますし、センター試験では【現魔を制する者が試験を制する】とも言われています。
2018/04/07 18:39
【現魔/試験要項】
①基礎知識の筆記試験
②リスニング試験(詠唱文聞き取り)
③演習試験(基礎魔法の実演)
※本来、魔法の行使には免許が必要だが、試験中は特例的に無免許での行使が認められる
2018/04/07 23:05
【②リスニング試験のイメージ】
※魔法使いの試験官によるテレパシーで受験者の脳内へ直接、詠唱文言を響かせる
2018/04/11 13:19
2018/04/11 13:51
確かに、現代魔法を苦手とする受験生は、ことごとくセンター試験で足切りにあっていますわね……
2018/04/07 18:49
その通りです。
したがって、現魔は確固たる対策が必要になります。具体策としては、私が考えてきた【三箇条】をこれから遵守してください!
一つ、魔法の詠唱文を十万個覚える
一つ、魔法の効用&副作用について十万個覚える
一つ、魔法の実技鍛練を十万回行う
2018/04/07 18:50
現実逃避はその辺で。
……そうだ、十万回分の『おかず』があるとお考えになれば良いのでは?
2018/04/12 01:44
姫様、涎垂れまくりですよ。
2018/04/12 01:58
……う、五月蝿いですわよ!
と、とにかく対策は分かりましたわ。
ですが、【教える】といってもあなた自身はどうなのです? 知識はあっても魔法そのものが使えないのでは、お話にならないでしょう?
しかも、魔法の行使には【免許】も必要なのですよ?
2018/04/12 01:56
これ、免許です。
2018/04/07 21:03
2018/04/07 23:14
ま、ままま、まさかぁぁぁ!?
2018/04/07 21:04
割とスムーズに取れましたよ。
2018/04/07 21:06
す、スムーズって……な、何かの間違いでは……!?
そ、そうですわ!そもそも魔力は!?
魔法の源たる【魔力】が、あなたにはないでしょう!!
2018/04/07 21:07
あぁ、どうやって魔力を生じさせているかということですね。
もちろん元々魔力はないので、免許センターで精霊にとりついてもらう処置を受けました。
ほら、免許の条件欄を……
2018/04/07 21:08
2018/04/07 23:24
げ。ほ、ほんとですわ……
2018/04/07 21:13
さぁ、もういいでしょう。授業に戻りますよ。
それで、過去問の出来映えを分析した結果ですが、姫様は【筆記】と【リスニング】の出来が悪かったですね。
2018/04/07 21:13
ですが原因は、はっきりしています。
【筆記】は視覚から、【リスニング】は聴覚からMの妄想に走り、悶えて試験が進まなかったのは明白です。演習については、身体を動かす実践系だけに妄想する暇がなかったのでしょう。
全く大したマゾモンスターぶりです。
2018/04/07 21:16
天使たる私をモンスター呼ばわりとは……ん、んはぁっ!
2018/04/07 21:18
まぁ、筆記は先程お話ししたエクスタシー学習法で対策は可能でしょう。
しかし、問題はリスニングですね。
2018/04/07 21:20
ということは、リスニング対策は別にあるということですの?
2018/04/07 21:21
そうです。
聴覚からの情報は、試験中は刺激が強いのです。音と言えば鉛筆の音ぐらいで、声は一切聞こえませんからね。
ですから、その刺激に耐え切れず、試験の途中で姫様が【絶頂】を迎えてしまうことを危惧しているのですよ。その対策は個別に必要です。
2018/04/07 21:22
確かに前回のリスニングの時は、最初の問題で絶頂してしまい、そのまま放心状態で天井を見ていたら、試験が終了していましたわ……
2018/04/07 21:28
本当に、残念なド変態女ですね……
2018/04/07 21:30
何か仰いまして?
2018/04/07 21:31
いえ何も?
したがって姫様には言葉責め訓練で聴覚試験の耐性をつけていただきます。
これから毎日、密室で姫様を愚弄する発言を耳元で一時間囁き続けます。
2018/04/07 21:25
ま、毎日耳元で……!?
く……くつ……くつじょ……くうぅっ!!
2018/04/07 21:32
はいはい毎度の悶え乙です。
あとは、演習についてですが……
2018/04/07 21:34
僕が演習対策を話そうとした、その時……
ドゴォン!!
轟音と共に、教室の天井が崩れ落ちると眼前には巨大なドラゴンの姿があった…!
2018/04/07 21:35
2018/04/08 00:48
※諸般の事情により、モザイク姿でお届けしております
2018/04/08 00:49
ど、ドラゴンですって!?
2018/04/07 21:38
ドラゴンは辺りを見回して僕達の存在を認識すると、爆風の様な息吹と共に、口元に炎を集束させていく。
その爆風の勢いは凄まじく、姫の眼鏡も一瞬で粉々になってしまった。
2018/04/07 21:43
2018/04/15 06:21
ま、まずい!
あれはドラゴン種族の最凶の破壊術、
メガフレアですわ!
あんなものを、こんなところで放出されたら建物ごと火の海に……!!
2018/04/07 21:44
小さき者共よ……消えよ……!
2018/04/07 21:46
し、仕方ないですわ、こうなったらダークマターで相殺するしか……!!
2018/04/07 21:47
はいはい、やめやめ!!
【お遊び】はそこまでです!
バハムートさん!
2018/04/07 21:48
……………え!? もう終わり?
もうちょっと遊びたかったのにぃ~
2018/04/07 21:49
彼女は、今日から姫様のクラスメートになる【バハムートさん】です。
これからセンター試験まで、彼女とは机を共にしていただきます。
2018/04/07 21:51
は!?
……あのドラゴンはバハムート?
……机を共にする?
な、何を言っているのですか……?
2018/04/07 21:53
えーと、
彼女はレッドブック領内のドラゴン種族の【名家】のご息女です。
姫様同様、長年浪人されているそうで、私がここで講師を引き受けることが決まった際、噂を聞きつけたご両親から王様へ特進クラスに入学させたいと打診があったようです。
合流はご覧の通り、少し遅れてしまいましたが。
2018/04/07 21:55
しかし、世界を混沌に陥れる邪悪竜がクラスメートだなんて……!
天使たる私にとって、彼女は【敵】とも言える勢力なのですが……
2018/04/07 21:57
確かに異種族ではありますが、王様とバハムートさんのご両親は前回のラグナロクで共闘したりと、昔から交流があったようですよ。
それに、敵ではなく
ライバルです。受験に臨む学習効果を何より高めてくれるのは、ライバルの存在です。
彼女と競うことで、さらに加速度的に学力を高められるというメリットは、講師として見過ごせません。
受け入れていただきますよ。
2018/04/08 12:12
……で、ですが。
2018/04/08 12:17
まぁまぁ、そう固いこと言わないで、天使ちゃん。
これからは仲良くやりましょうよぉ~
2018/04/07 21:58
て、天使ちゃん……!?
き、気安く話しかけないでください、この邪悪竜!!
あまり馴れ馴れしくすると、ほ、屠りますわよ!!
2018/04/07 21:59
ええ~! な、なんかぁ、天使ちゃんノリ悪い~
2018/04/07 22:00
まぁまぁ、二人とも自己紹介はその辺でいいでしょう……授業も再開したいことですし。
あ、それと屋根も修理しなければなりませんね……
2018/04/07 22:01
それよりもとにかく、そのお姿では教室にも入れないでしょう!
変身して、中に入ってください!
2018/04/07 22:02
へ……変身ですって!?
2018/04/07 22:04
ボォォォン……! 小さな爆発音と共に彼女の周囲を煙が囲むと、中から1~2m程の小さな影が一つ、教室内に降り立った。
2018/04/07 22:05
ど~も~、初めまして~!
今日からここで生徒やります、バハムートで~す!
よろしくね~!
2018/04/07 22:07
姿を現した女性は、ドラゴンのイメージとは程遠く、胸元から太腿までほぼ下着姿同然のだらしない格好をしていた。
口元から毀れている牙、髪から垣間見える角、背中から生えているごつごつした硬そうな羽などを見るとドラゴンらしさもあるのだが……
まぁとにかく、総合的に彼女を一言で表現すると、【ビッチ】という言葉が妥当だろう。
2018/04/07 22:08
なんですの、このはしたない格好!!
あなた、ここがどこだかわかっていますの!?
2018/04/07 22:10
ええ~、
なんかぁ、さっきから怒ってばっかだけどぉ、微妙なお年頃なのかしらぁ?
2018/04/07 22:11
しっ、失礼な!!
こう見えても、私は既に1000歳を越えていますわよっ!!
2018/04/07 22:13
1000歳? ちょっとやだぁ、まだお子ちゃまじゃない~!
私なんか今年2500歳よぉ~!
2018/04/07 22:14
そ、そうか、ドラゴンは幻界でも特に長命な種族だということを忘れていましたわ……!
2018/04/07 22:15
まぁまぁ、そんな若い時からぷんぷんしてたら、シワだらけになっちゃって、男の子とのデートとかで困っちゃうわよぉ~!
2018/04/07 22:17
ぐっ! この軽薄で尻軽な態度……!!
年上だとしても全く敬えませんわ!
2018/04/07 22:18
ふっ。
敬うかどうかは一旦置いておくとして、まぁ姫様の印象も概ね間違ってはいませんよ。
姫様が難問フェチだとしたら、彼女は
難問ビッチ
というところでしょうかね。
2018/04/07 22:19
……いや、難問ビッチって何?
2018/04/07 22:22
こうして、特進クラス【二人目の生徒】として新たにバハムートが加わった。
2018/04/07 22:23
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