エピローグ(1)

エピソード文字数 1,959文字

「御届け物でーす」

 あのあとウチで解決おめでとうパーティーを開いていたら、チャイムがピンポン。ガチャリと玄関ドアを開けると、宅配のお兄さんが小包を渡して去っていった。

「にゅむー、宅配便さんだねー。遅くまでごくろーさまですー」

 一緒に来てくれていたレミアが、走り出したバイクに頭を下げる。
 あらまぁ。この子ったら律儀。

「おにーさんのおかげで、お荷物が届いたねっ。誰から誰からっ?」
「俺から、俺へになってる。なんなんだこれ?」

 こんなの出した覚えはないぞ。つーかそれ以前に、当日配達サービスを利用した経験すらない。

「しかも中身は、『大事なモノ』ってなってる……。なにこれ……?」
「イタズラ、かなぁ? でもでも、送料(そーりょー)さんが勿体ないよねー」

 悪戯で、ここまでやるとは思えない。多分悪意はないから、開けてみよう。

「とはいえ、何かあったら怖いからなぁ。『金硬防壁』を展開して、『サウザンドライド』を小包に載せておこう」

 下を手、上を鞍でガードしておけば、もし爆発しても家は壊れない。橙式ちゃんには見せられない使い方だ。

「レミアも一応、オーラを纏ってて。……準備OK?」
「にゅむん」

 日本語に訳すと、OKと仰っている。では開けよう。

「小包、オープン」


 てってれー ゆうせいは きんけんラーを てにいれた。


「うぉぉぉぉぉぉ!? 金剣が入ってるぅ!?

 俺は目を丸くして、それはもう猛然とダッシュ。パーティー会場となっているダイニングに飛び込んだ。

「みんなっ、金剣が送られてきた!! 金剣だよ金剣っ!!
「あらおめでとう。この間スーパーで応募した、商品券1万円が当たったのね」
「バカ金券じゃなくて金剣だ! 見りゃわかるだろ!!
「ぅくんっ! 仕事の後の怒られは、格別ね……!」

 そうだね格別だね。分かったからもう黙っててね。

「麗平さんっ、奪われたラーが戻ってきたんだよっ! これ、ホンモノでしょっ?」
「う、うん、ウチの愛器ですわね。レプリカではありませんわ」

 彼女は手に取って断言し、その直後に身体が光る。『ボディー発光=力戻った』なので、間違いないですはい。

「麗平様、僥倖でございますねっ。一体、どなたが送ってくださったのでしょう?」
「この流れからすると、セブンナイツを呼んだ方だろうね。その人は、陰で動いてくれてたんだよ」

 きっと、日本刀を投げてくれたのもその御方。ずっと援護をしてくれていたんだ。

「そんな人が、居たのね。これはつまりシンさんを倒して取り返したのだから、麗平さん――ミラルさんを、守っているのかしら?」
「活美ちゃん活美ちゃんっ。昔ボディーガードさんとか、いなかったー?」
「見習いの時にそういう人がいたけど、その人は聖なる道具を持っていませんの。したがって記憶や力を持ち越せないから、確実に違いますわ」

 記憶や力がないのなら、助けられない。知り合いでは、ないか。

「一体全体、誰なんでしょう。その人の正体が、非常に気になりますわね」
「俺もそうだけど、手がかりが少しもないからなぁ。特定は不可で明らかに良い人なんで、深く考えずにパーティーを再開しましょうよ」

 カッコいいことを言うと、必要な時が訪れたら出てくる。バカなことを言うと、恥ずかしがり屋なのかもしれない。
 とにかく解明できないから、今はパーッと騒ごう。

「そうですわね。賑やかにして、リョウスケとタナキの分まで『生』を楽しみましょう」
「そうそうっ。そうしましょうや!」

 俺達は全員定位置に戻ってダイニングテーブルを囲み、ワイワイガヤガヤ。ジュースを飲んだり勝利の決め手となったシーザーサラダ(レミアの手作り)を食べたりして、平和を満喫する。

「にゅむむー、今日のご飯は特においしーねー。にゅむむん、にゅむりんっ」
「皆様は、必死になって動かれていました。元々黒真様のお料理は美味なのですが、達成感が更に引き立てていますね」
「従兄くん、あーん。ローストチキンをどうぞ」
「……シズナよ。一羽丸ごと口に運んできても、食えません」
「あっ、ごめんなさい。従兄くん、あーん」
「いい加減にしろ! 一羽丸ごと腕に運んできても、食えないんだよ!」
「ひぁあんっ!」

 このように楽しい(?)一時を過ごし、シズナマジックが7回も発動したパーティーは午後十時過ぎに終了。俺達は麗平さんを見送るため、玄関に出た。

「今日は――千年前から、ご苦労様でした。ゆっくり休んでね」
「うん、そうさせて貰いますわ。でもその前に、一つお話がありますの」

 彼女はこう言うと、俺の前に立ち位置を変える。にゅむむん? どーしたにゅむ?
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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