24 集合知(1)
文字数 1,858文字
ちなみに、ジェームズ・スロウィッキー『「みんなの意見」は案外正しい』(小高尚子訳、角川文庫、2009)とか、スコット・ペイジ『「多様な意見」はなぜ正しいのか』(水谷淳訳、2009、日経BP社)がね、集合知ブームに火を点けたんだ。
ぼくも一応は読んだよ
(集合知の正しさを示すエピソードとして)【20世紀はじめ、英国の家畜見本市で雄牛の体重を当てるコンテストがひらかれた。参加者はそれぞれチケットを購入し、まるまると肥えた雄牛の姿を見物しながら、チケットに体重の推測値を記入する。いちばん正解に近い推測値を記した人物が、商品を獲得するわけである。このコンテストに参加した有効なチケット総数は787枚だった。
さて、驚くべき結果は、商品獲得者の推測値の正しさではない。チケットに記された787個の推測値を統計的に処理すると、その「平均値」が正解をみごとに当ててしまったという、信じがたい事実だった。正解は1198ポンドだったのだが、なんと平均値は1197ポンドだったのである・・・・・・】[西垣:P22]
他に、たとえば、【(アメリカのテレビ番組「百万長者になりたい人は?」)に出演する回答者は四択問題に答えつづけ、15問に連続して正解を与えれば100万ドルもらえる。むろん、問題はだんだん難しくなる。さて、回答者が答に詰まったとき、スタジオの視聴者にアンケートをとるか、もしくは、その問題に詳しそうな友人(つまり専門家)に電話で助言をもとめるか、どちらでも選択することができる。
普通に考えれば、該当する問題分野に通じた「専門家」からの助言のほうが、たまたまスタジオに居合わせた素人集団のアンケート結果などより、ずっと頼りになりそうな気がするだろう。だが、正答率を比較すると、専門家による助言のそれが65パーセントだったのにたいし、なんと視聴者のアンケート結果の正答率は91パーセントに達したというのである】[西垣:P23]
ところで、スコット・ペイジのほうは、なんでそうなっちゃうのかを真面目に考えた。
まず、前者、雄牛の体重問題を「多様な予測モデル」、
後者、四択クイズ問題を「情報寄せ集めモデル」と呼んで集合知が作用するパターンを区分した