【episode2-恵まれし姉弟】

文字数 422文字



春が来て、弟は晴れて国立大学附属高校の一年生となった。



私は、二学年上級の三年生だ。



2人とも、受験前にほんのわずかな期間塾に通っただけで無事に国立高校へ合格した。



まずまずの親孝行だと思う。



私が、この高校を目指そうと思った理由は、家から1番近い高校だったから。



当時から電車が苦手だった私の得策だった。



単願で臨むと言った私に、「中学で浪人はまずい。頼むから滑り止めを受けてくれ。」担任が懇願したため、県立と私立に願書を出したが、他の学校に進学する気なんてこれっぽっちもなかった。



「国立に合格しなかったら浪人すればいいや。」くらいの気持ちだったので、塾では問題集を解く代わりに、必死になって参考書と向き合っている同級生にお茶を出していた。



そんな状態でも国立に受かったのだから意外と運が良いのかもしれない。



そして、運の良さは弟も持ち合わせているようだ。



小さな時から私の後を追ってくるような子だった弟は、高校まで私を追いかけて合格してしまうのだからーーー。





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