第11話:子供達と祖父の話と信州旅行

文字数 1,600文字

 やがて1996年。この年、夢子が小学校に入り、お兄ちゃんと一緒に楽しそうに小学校に登校した。しかし、お兄ちゃんの幸一は、少し照れ臭くて、妹が声をかけてきても返事をしない時もあった。よそよそしい態度に夢子は、お兄ちゃん、私の事、嫌いなのと言い泣き出した。

 それを見て家に帰って来て、嫌いじゃなくて小学校の男友達が、妹と仲良くして登校してくるのを見て、うらやましいと思われるのが嫌なだけさと答えた。すると、わかったわ、夢子、うちの中で、お兄ちゃんと話する事にするわと理解した。しかし、幸一は、妹の夢子が、慣れない小学校でいじめられてないか、授業についていけるだろうかと、内心、心配していた。

 その心配も夏休みになる頃には、解消された、それは、夢子が、活発な女の子で女の子通しでもリーダー的な存在になった。近くで、泣いてる子を見ると、どうしたのと声をかけたりして、1年生の同じクラスの子達に頼られる様になった。そのため休祭日、薄井家を訪ねてくる女の子が増えた。これには、兄は、面倒くさいなと思う反面、可愛い子が来ると良いなと期待した。

 そして胸をときめかせる様になった。そしてステレオで音楽を聞かせてとか数人の女子が集まると要求が多くなり応対せざるを得ない。この年の夏休み、沖縄のおじいちゃんが、8月10日に来て14日に帰る予定で帰京した。すると、孫たちの前で、沖縄と東京とどっちの方が暑いと思うかと質問した。小学校4年の幸一が、南にある沖縄の方が暑いのではないかと回答。

 夢子がわからないと回答。それを聞いて祖父が、幸一、良い所に気が付いたね、その通り一般的に赤道と言って地球の真ん中までは、南に行く程、暑い。しかし、人間は、気温だけで暑い寒いと感じる訳ではなく、湿度・蒸し暑さで、湿度が高いと暑いと感じる。その点では、沖縄は、東京みたいに高い建物も多くないし大きな工場もなく海から近く涼しい海風が吹く。

 すると意外に蒸し暑さが少ない。そういう点で考えると東京の方が暑く感じるって訳さと答えた。なるほど、混んだ電車よりもすいた電車の方が快適だものねと幸一が納得。幸一は、賢くなったね、1つの事をいろんな角度からみられるようになったとほめた。お前も、科学者になる素質があるぞと、頭を撫でた。すると、夢子が、立ち上がり、自分の縦笛を持ってきた。

 それで、学校で教えてもらった曲を吹いた。それが上手で、祖父が、思わず拍手して抱きしめた。夢子、すごいね、たいしたもんだねと言った。すると納得した様に一生懸命に覚えたのよと答えた。何でも、懸命に努力すれば、上達し、勉強も楽しくなると話した。すると、夢子が、あたし、記憶力良いのよと自慢げに言うと、母に同意を求め、母が、そうねと頭を撫でた。

 最後に、祖父が、君たちの脳は、今一番成長する時期なんだ。その時、自分が本当に好きなものを見つけて興味を持つことが大切だ。そして好きなものを一生懸命に勉強して、だれにも負けない様になれば、その道の専門家になって、ほかの人に教えられるようになる。私は、そうして、今、沖縄大学で、多くの学生に講義をして教えている。

 君たちも何か一番好きなものを見つけて、その道の専門家になって欲しいものだと笑いながら言った。それを聞いていた幸一は、祖父も大学教授、父は、医薬品の研究者で誇らしく思い、自分も負けないと決心した。今年の夏休みは、8月12日早朝4時に家を出て、富一がハイエースを運転して高原ドライブに出かけた。

 中央高速に乗って韮崎インターで降りファミレスで一休み、その後、清里高原に着き、吐竜の滝に行った。朝早いので車も少ない。川の中に素足で入ると冷たくて最初は気持ちよい。そのうち冷たく感じた。冷たい水しぶきが、顔にかかり、実に気持ちの良いものだ。そこで、15分程、楽しみ、車に乗り込み、15分ほど走ると「まきば公園」に着いた。
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