第2話

文字数 731文字

「四人家族で、今度の日曜日に来るらしいよ。しかも佳奈と同じ年の女の子もいるって」

私はそのとき家の床に転がって遊んでいましたから、「はへぇ」ととりあえず返事をしました。しかしよくよく言われたことを考えて、ばっと飛び起きました。

「もう誰が来るか知ってるの⁉」
「知りゃしないけど、表札には『眞見』って書いてたね」
「ちょっと待って。そういえばさっき私の同じ年の女の子がいるって言ったね。こりゃ面白くなってきた。ちょっと実里ちゃんに電話してもいい? 教えてあげたいから」
「はい、どうぞ。夕飯までには済ませなさいよ」
「あ、ちょっと待って。写真とかない?」
「ないよ」
「わかった。じゃあ電話を———ちょっと待って。雰囲気だけでもいいんだけど」
「忙しい子だね。知りゃしないよ。これ以上詳しいことは、とにかく日曜日にならなくちゃわからないんだから、さっさと電話でもなんでも掛けておいで」
「あ、そうだ。今日の夕飯なに?」
「ハンバーグだよ」
「やりぃ」

 私はぐっとガッツポーズをして、ひとしきり喜びます。

 それから実里ちゃんに電話を掛けました。
 実里ちゃんというのは、楠田実里ちゃんのことです。一番の親友です。一番の親友なので、電話番号なんかもメモを見なくたってサッサッと打てちゃいます。まず最初に実里ちゃんのママが出て、それから実里ちゃんが電話を代わりました。

「もしもし、どうしたの?」という声に、私は飛びつくようにこう返しました。

「来た、とうとう来たよ。隣に引っ越してくるんだよ実里ちゃん!! あのね、四人家族で、女の子が二人いるんだって———あ、うん、そう。日曜日だよ。日曜日に来るらしいからさ、クラスのみんなで歓迎しようよ——そう、全員で。そのほうが喜ぶよきっと。うん、うん」……
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