冒険者、奴隷を買う

文字数 690文字

「とりあえずはミラーゼの無事を親に伝えておいた方がいいだろうな。」
「そうだね、安心させた方が良いだろうし、俺の伝で伝えておくよ。」
「色々悪いな、でも針のムシロの状態だろうになるだろうから、こっちに来てくれるのが一番いいだろうな。」
「でも、父は愛国心が強い方ですから首を縦に振るのは相当難しい事だと思いますよ。」
 確かにその通りだ、今の所此処には何も武器になる物が無い。
 ただ、国を開拓して行く為には人手が必要だ。
 人を雇うには金が必要になるが、正直余りムダ金は遣いたくない、というのが本音だ。
 ……結構八方ふさがりだな、今の状態。
「人手が必要だったら予算をかけずに人を集める方法はあるよ。」
「まじかっ!?」
 エルダの発言に俺は身を乗り出した。
「『奴隷』を雇えばいいんだよ。」
「奴隷、かぁ……。」
 確かに、と思うのと同時に正直乗り気ではない。
 俺の知り合いの冒険者の中には借金の片として奴隷堕ちした奴を何人か見ていてそいつらが過酷な労働状況にいた事を知っている。
「まぁ、別に強制的に労働させる訳じゃないんだ。買い取ってしまえば扱うのはこっちだから、人として扱うのも良い訳だし。」
「なるほど……。」
「私の屋敷にも奴隷がいましたが真面目に働いてくれてましたし、父は才能のある人には勉強を教えたりもしてましたから。」
 そうか、買えばこっちの自由だもんな。
「よし、奴隷を買おう。」
「それだったら、俺の知り合いの奴隷業者に頼んでおくよ。」
「そんなのにも知り合いがいるのか。」
「意外と顔は広いんだよ、こう見えても。」
 こうして奴隷を買う事にした。
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