第4話(4)

エピソード文字数 1,756文字

「……すげぇな、ビベロニベロベロリン王国……。あっという間に時間が過ぎたぜぃ……」

 試合場に案内してくださるお姉さんの後ろを歩きながら、俺は呻く。
 地球の皆、待ち合わせにはヨダレ味のサイダーをもっていこう☆ うわぁー……となってる間に時がガンガン進んで、苦なく待ち人に会えるよっ♪

「皆様、こちらになります。この魔法陣に乗りますと、『戦場空間』と同様の力が広がっているフィールドにワープ致しますよ」

 ベロが描かれた荘厳な扉を通って12畳はある部屋に入ると、おお。中央に、大きなベロの魔法陣があった。
 うん。ドアも内部も高級感溢れる作りなのに、舌が台無しにしてます。

(従兄くん、レミアさん、フュルさん、行きましょう。一回戦から中継されているから、指示通りに動いて頂戴ね)
(はいよ)(にゅむっ)(合点ぜよ)

 俺達は小声で言葉を交わし、魔法陣にIN。そうすると周りがぐにゃっと歪み、湾曲がなくなると平地に立っていた。

「最強決定戦の戦場は無限大で、環境は毎回ランダムに決定するの。今回は遮蔽物が一切ない、完全に実力勝負の平地フィールドね」
「全次元最強決定戦だけあって、規模がデカいなぁ。無限って――ねえ、上空にいる人ってどこのどなた?」

 遥か上に6台カメラが浮いていて、その傍にはマイクを持ったスーツ姿の青年がいる。浮遊魔法(それとも魔術? 僕には違いが分かりません)っぽいのでふわふわしてる方、誰かな?

《おっとご注目サンキューベリーマッチDA! オレはこの試合の審判と実況を務める、舌村(したむら)ベロリンガル七世だYO!》

 髪をポマードでベタベタに固めた青年さんが、金色のマイクに叫んだ。
 そっか。彼は、舌村ベロリンガル七世だったのか。

《試合をこのカメラ達でお茶の間に届け、オレがヒートに実況しちゃZE! そこんとこシクヨロだHO!》
「ほーい」

 ここで一句、『うざいです ああうざいです うざいです』。コイツ、ホントうざいな。

《うおっとぉ、ここでもう1チームもご登場DA! いよいよ、手に汗握る初戦が開幕しちゃいそうだZE!》

 15メートルほど先に、ガイコツ、ゾンビ、ドラキュラ、フランケンシュタイン、お面を被り腹巻を巻いたオジサンが現れた。

 おい相手チーム。ここまできたらお化け系で統一してよ。

《お茶の間の皆さんも、御存じだよNAっ? 彼らは最強決定戦個人の部の優勝者で、それぞれが惑星を支配しているんだFOー!》
「あのねゆーせー君っ。あのガイコツさんは、ガイコツ部門ー。ゾンビさんは、ゾンビ部門で全次元最強(ぜんじげんさいきょー)なんだよーっ」

 ほ、ほほぅ。ガイコツ、ゾンビ部門っスか。

「決定戦には、そんな部門まであるのかよ……。ちなみに、あのオジサマは何部門?」
「仮面部門だよー。仮面を被った一族さん専用(せんよー)の部門だねっ」
「ふーん。じゃあさ、もしも仮面を被ったゾンビがいたら、ソイツは何部門に出たらいいの?」
「にゅむ!? にゅむー……?」

 魔王様は側頭部を押さえ、可愛く困惑している。
 くそっ。この姿を見ていると、いつもギャップ萌えに目覚めそうになるZE……!

「にゅむむ……。どーなるんだろー?」
「従兄くんレミアさん。そういう場合は、本人が好きな方に出られるわ」

 レミアが可愛らしく唸っていたら、変人1号――じゃあなかった。シズナが、助け船を出した。

「初めて登録をする時に、所属する部門を選べるの。ただしそれは永久に変える事はできなくて、仮面部門にしたら一生仮面部門にしか参加できないわ」
「そうなんだ。強いヤツがいたんであっちにする、をさせないようにしてるんだね」
《おおお~っとぉっ、魔王使いチームは余裕綽々DA! バトゥルの準備をしなくていーのKYAっ?》

 決定戦の仕組みに感心してたら、ベロリンガルが話しかけてきた。
 イカンイカン。バトゥルの準備をしないとNA。

(師匠師匠、『アレ』をやるぜよ。遠慮せずやりきってや)
(ん、そうさせて頂く。よろしくね、みんな)

 小さく両手を合わせ、3人に謝罪。そうやってからわたくしこと優星は、出発前シズナに教わった『アレ』を始めますです。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み