第38話 何でもかんでも役所に言えばいいとは思わんけど。
文字数 4,280文字
先日の水路ゴミの件。
つまり、同じ銘柄のコーヒー缶が延々と流れてくる件と、生活ゴミを常習的に水路に捨てているヤツがいる件について、ついに堪忍袋の緒が切れ、市役所の目安箱的なメールボックスに投書した。
たまに見かける程度なら、と拾っていたのだが、ゴミの量やサイズが、ここしばらくでどんどんエスカレートしていって、もはや犬の散歩のついでには拾いきれなくなったというのもある。
メールをした日は、忘れもしない。袋にすら入っていない、バラの紙おむつ数十個が水門に引っかかっていた時であった。
まあ、ゴミのことなど市内中どこも問題だらけであろうし、メールはしてみたものの、もともと大した期待はしていなかった。
実は、三年ほど前だが、妻もたまりかねて市役所に電話したことがある。
その時は、真夏の渇水期。ほとんど水が流れなくなった水路に、今と同じような生活ゴミの袋が流れてきて、水路幅が広くなり、流速が落ちる俺の自宅前で滞留していた。
その頃は、俺も水路までは手が回らず、苦々しく思ってはいたものの、何も手を打ててはいなかった時期である。
妻は、まず市役所の中の、該当部署と思われる河川課に電話した。しかし、木で鼻をくくったような対応であったらしい。「その水路は、河川堰堤土地改良組合の管轄下なので、そちらに電話してくれ」で、そっちに電話すると「ゴミは役所の管轄なので、そっちに言ってくれ」というような調子。結局、いくつかたらい回しにあい、もとの該当部署と思われる河川課に戻ってきたそうだ。そのことを言って食い下がると、ようやくめんどくさそうに「じゃあ、見に行きます」となったらしい。
で、職員が来るには来たものの「犯人を特定できないので対処できない」「流域が広すぎる」「個人情報は教えられない」「水路は管轄外」などなど言い訳だけを言い残して帰っていったとのこと。
そして、訪問から一時間ほどの後、上流から大量の水が流れてきて、水洗便所よろしくゴミを押し流しておしまい。という結果だったようだ。
つまり、原因はまったく追究されず、翌日にはもう新しいゴミが流れ着いていたのである。
そういうことだったらしいので、俺も正直、対応はその程度であろうと思っていた。
だが、それでも何もしないよりはマシと、藁をもつかむ思いでメールした、というわけだ。
メールを送って二、三日は何の音沙汰もなく、対応する気などないのかと思っていたところ、ある日の昼休み、携帯が鳴った。
見るとそれは、知った番号。市役所の環境課の電話番号である。
環境課は、ビオトープでの自然観察会などで何度かお世話になった課だ。その縁で顔見知りになった方もいるので、また観察会の依頼か何かかと出てみた。
電話の声は、やはり以前、環境課でお世話になった女性であったが、用件は俺がした苦情メールのことであった。驚いたことに、市役所には「廃棄物対策課」なるものが新設され、その女性は課長に就任しておられたのである。
顔見知りであるから、電話でも話はしやすい。
メールの中身をある程度補完して話し、詳細は後日、現場でということとなったのである。
それから五日後。
俺は廃棄物対策課の方達と、ゴミがいつも引っかかっている水門にいた。
来てくれた職員は二名。うち一人は先月まで警察の生活安全課で廃棄物の取り締まりをしておられたという、バリバリのベテランだ。
すでに警察にも話がいっており、現場立ち合いもしてくれるという。
びっくりしたのはもう一人の職員で、ここ数十年会っていない、小学校の同級生であった。
生憎、昨夜来の雨で水門が全開になり、その日は、ゴミは引っかかっていなかったが、スマホに撮影したゴミの状況があったので、それを見せた。
そして、捨てているのはさほど上流の住人ではないと思われること、何なら一定区間で網をかければ、誰が捨てているかすぐ特定できることなどを話した。
また、下流に移動して、同じ銘柄のコーヒー缶が数百個も堆積している有様も見てもらった。
ポイ捨てゴミでの惨状は珍しくもないが、同じ銘柄のコーヒーがこれだけ堆積しているのは、他でも見たことが無いようで、二人とも呆れかえっていた。
市の廃棄物対策課が約束してくれたのは二つ。
1.水路沿いの自治会すべてに、水路へのポイ捨てゴミに関する注意喚起の回覧をしてくれること。
2.犯人が特定出来るよう、警察と連携して動いてみること。特定できたら、厳重注意もしくは逮捕してくれること。
である。
さて。それからすでに一週間が経とうとしているが、水門のゴミは、翌日からピタリと無くなった。もちろん、単発のペットボトルや、子供が落としてしまったであろうサッカーボールなどは流れ着いていたが、これまでのように、生活ゴミや生ゴミ、小便袋などが入ったビニール袋や使い捨ておむつ、同じ銘柄のコーヒー缶が次々と流れ着くことは無くなったのである。
思った以上の結果であり、行政の恩恵をこれほど感じたことはない。
完全にゴミがゼロにはならなくてもよいし、なるはずはない。ただ、日常的に生活ルールを破るような人間が、何も考えずにぬくぬくと生活し、下流の住人がその被害を被るというのが、許せなかったのだ。
それが劇的に改善したのは、本当にありがたいことだ。
ただ、この結果。
いつでも、どこの自治体でも、誰がどんな苦情を言い出しても、同じように対応がなされるかは分からない。
俺の場合は、まず課長と面識があった。
職員の一人が同級生でもあった。
ビオトープ管理士として、これまで市の環境行政に協力もしてきた。
こんなことで、市が対応を変えるとは思いたくないが、多少は違いがあったように思う。それと、少なくとも、俺の対応の方が変わったことは間違いない。
つまり、頭ごなしに、喧嘩腰に苦情を言わず、和やかに話が出来たのだ。
また、妻のようにただ漠然と、ゴミが流れてくるから何とかしろ、ではなかった。
自主的にゴミを拾い、分別し、内容物から犯人の利用しているスーパーやコンビニを特定していた。そしてゴミの状態や頻度からして、わざわざ水路まで捨てに来ているのではなく、水路に窓や入口が面した住居であろうということ、ゴミが毎日引っかかる水門と、そこに至る水門の間の住人が犯人であろうことまで推理し、事細かにメールに書いた。更に、窃盗事件の財布が水路に捨てられていたことも書き、治安上も、至急対応すべきと書いたのだ。
メールを入れるまでの、こうした下準備。どこまですれば十分か、というのは分からない。
人によっては、これらすべて行政がやるべきことであり、市民がわずかでも煩わされるのはおかしい、というかも知れない。
だが、苦情の原因を作っているポイ捨て犯も市民なら、その市職員本人も立場を離れれば市民の一人。ならば、市民である自分も、出来る限りのことはやっても良いのではなかろうか。
市職員の身になって考えてみた場合、ただ「家の前にゴミがある」程度の雲をつかむような苦情について、いちいち証拠を探し、状況を検分して、沿線すべてで聞き込みをかけ、犯人を特定して注意する、などやっていられるわけがない。
その結果、妻の時のように、苦情を聞きに来てガス抜きしたら終わり、もしくはそのゴミを回収して終わり、ということになり、根本的解決にはならないのだろう。
SNSには、日々ゴミ拾いをしておられるアカウントが多数ある。
中には、同じ人間が同じ場所に、定期的に捨てたと思われるゴミに、怒りを募らせている発言も読んだことがあるが、やはりそういう場合には、自治体に相談してみるべきだと思う。
大抵の自治体には、廃棄物に関する課が存在するのだ。
こうした、心あるアカウント主が拾ってあげていても、ポイ捨て犯は気づきもしないし、当然悪いことをしたとも思ってはいないから、その習慣をやめることなど決してない。
だが、警察や行政に注意を受ければ、自分の行為が社会不適合だと気づくかもしれない。
それでもポイ捨て習慣を完全にやめるほど、そいつが反省するかといえば、その可能性は薄いとは思う。しかし、それまでやってきたようなポイ捨て行動は、できなくなるはずだ。
うまくすると、ポイ捨ての前に、少しくらいは考えるようになってくれるかもしれない。
行政にしても、不法投棄の苦情が増えれば、今後の市政に多少なりとも影響を与えるかも知れない。だから、自治体にそうした情報を、言わないよりは、言った方が絶対にいいはずだ。
SNSで発信するのもいいが、それだけで終わってはいけないと思う。
SNSで発信すると、何かやったような気になる。もちろん、世界へ発信するのだから、多少は啓蒙にもなるのであろう。だが、人は見たいものを見、聞きたいものを聞く。ポイ捨てするような人間は、ゴミ拾いアカウントなど決してフォローしない。つまり、そのポイ捨て犯に届く可能性は限りなくゼロに近いのだ。だから、SNSで発言するよりもまずは、自分の住む自治体へ言うべきであろう。
ポイ捨て人間は、全体のごく少数なのだ。一人がやめれば、その地区のポイ捨てゴミがほとんどなくなるほどに。だから、行政が動けば、状況が改善される可能性は高いはずだ。
もしかすると、どうやってポイ捨てを無くすかよりも、どうやって行政を動かすか、の方を考えてみた方が、効率が良いのかも知れない。
もちろん、ただゴミが多いと文句を言うだけでは、おそらく行政も動いてはくれまい。そのことは、俺の妻が証明している。
ではどうするのか、といえば簡単。
自分もゴミを拾うべきなのだ。そして、分別する。分別すれば、常習犯に対してのある程度の情報は掴めてくる。その上で、警察なり、行政なりに報告する。地区の廃棄物事情も分析して、問題点を抽出しておけばなおいい。そしてその上で、行政には、「苦情」でなく「支援要請」をしてみてはどうだろう。
活動をしている自分に力を貸してくれ、と言うわけだ。
これを断る自治体は、そうはないだろう。
だが、そこまでやって、ダメならまあ、仕方がない。ただ、拾ったゴミの分だけは、確実に町は綺麗になっている。拾う姿を見た人は、頭の片隅に、ポイ捨ては悪いことである、と刻む。そのうち、自宅の周りくらいは掃除しようとし始める。
それは、種をまく行為にならないだろうか?
まいた種が、芽を出すには、今しばらく掛かろうが、それはそれでよし、としてみるも、良いのではないか、と俺は思うのだ。
つまり、同じ銘柄のコーヒー缶が延々と流れてくる件と、生活ゴミを常習的に水路に捨てているヤツがいる件について、ついに堪忍袋の緒が切れ、市役所の目安箱的なメールボックスに投書した。
たまに見かける程度なら、と拾っていたのだが、ゴミの量やサイズが、ここしばらくでどんどんエスカレートしていって、もはや犬の散歩のついでには拾いきれなくなったというのもある。
メールをした日は、忘れもしない。袋にすら入っていない、バラの紙おむつ数十個が水門に引っかかっていた時であった。
まあ、ゴミのことなど市内中どこも問題だらけであろうし、メールはしてみたものの、もともと大した期待はしていなかった。
実は、三年ほど前だが、妻もたまりかねて市役所に電話したことがある。
その時は、真夏の渇水期。ほとんど水が流れなくなった水路に、今と同じような生活ゴミの袋が流れてきて、水路幅が広くなり、流速が落ちる俺の自宅前で滞留していた。
その頃は、俺も水路までは手が回らず、苦々しく思ってはいたものの、何も手を打ててはいなかった時期である。
妻は、まず市役所の中の、該当部署と思われる河川課に電話した。しかし、木で鼻をくくったような対応であったらしい。「その水路は、河川堰堤土地改良組合の管轄下なので、そちらに電話してくれ」で、そっちに電話すると「ゴミは役所の管轄なので、そっちに言ってくれ」というような調子。結局、いくつかたらい回しにあい、もとの該当部署と思われる河川課に戻ってきたそうだ。そのことを言って食い下がると、ようやくめんどくさそうに「じゃあ、見に行きます」となったらしい。
で、職員が来るには来たものの「犯人を特定できないので対処できない」「流域が広すぎる」「個人情報は教えられない」「水路は管轄外」などなど言い訳だけを言い残して帰っていったとのこと。
そして、訪問から一時間ほどの後、上流から大量の水が流れてきて、水洗便所よろしくゴミを押し流しておしまい。という結果だったようだ。
つまり、原因はまったく追究されず、翌日にはもう新しいゴミが流れ着いていたのである。
そういうことだったらしいので、俺も正直、対応はその程度であろうと思っていた。
だが、それでも何もしないよりはマシと、藁をもつかむ思いでメールした、というわけだ。
メールを送って二、三日は何の音沙汰もなく、対応する気などないのかと思っていたところ、ある日の昼休み、携帯が鳴った。
見るとそれは、知った番号。市役所の環境課の電話番号である。
環境課は、ビオトープでの自然観察会などで何度かお世話になった課だ。その縁で顔見知りになった方もいるので、また観察会の依頼か何かかと出てみた。
電話の声は、やはり以前、環境課でお世話になった女性であったが、用件は俺がした苦情メールのことであった。驚いたことに、市役所には「廃棄物対策課」なるものが新設され、その女性は課長に就任しておられたのである。
顔見知りであるから、電話でも話はしやすい。
メールの中身をある程度補完して話し、詳細は後日、現場でということとなったのである。
それから五日後。
俺は廃棄物対策課の方達と、ゴミがいつも引っかかっている水門にいた。
来てくれた職員は二名。うち一人は先月まで警察の生活安全課で廃棄物の取り締まりをしておられたという、バリバリのベテランだ。
すでに警察にも話がいっており、現場立ち合いもしてくれるという。
びっくりしたのはもう一人の職員で、ここ数十年会っていない、小学校の同級生であった。
生憎、昨夜来の雨で水門が全開になり、その日は、ゴミは引っかかっていなかったが、スマホに撮影したゴミの状況があったので、それを見せた。
そして、捨てているのはさほど上流の住人ではないと思われること、何なら一定区間で網をかければ、誰が捨てているかすぐ特定できることなどを話した。
また、下流に移動して、同じ銘柄のコーヒー缶が数百個も堆積している有様も見てもらった。
ポイ捨てゴミでの惨状は珍しくもないが、同じ銘柄のコーヒーがこれだけ堆積しているのは、他でも見たことが無いようで、二人とも呆れかえっていた。
市の廃棄物対策課が約束してくれたのは二つ。
1.水路沿いの自治会すべてに、水路へのポイ捨てゴミに関する注意喚起の回覧をしてくれること。
2.犯人が特定出来るよう、警察と連携して動いてみること。特定できたら、厳重注意もしくは逮捕してくれること。
である。
さて。それからすでに一週間が経とうとしているが、水門のゴミは、翌日からピタリと無くなった。もちろん、単発のペットボトルや、子供が落としてしまったであろうサッカーボールなどは流れ着いていたが、これまでのように、生活ゴミや生ゴミ、小便袋などが入ったビニール袋や使い捨ておむつ、同じ銘柄のコーヒー缶が次々と流れ着くことは無くなったのである。
思った以上の結果であり、行政の恩恵をこれほど感じたことはない。
完全にゴミがゼロにはならなくてもよいし、なるはずはない。ただ、日常的に生活ルールを破るような人間が、何も考えずにぬくぬくと生活し、下流の住人がその被害を被るというのが、許せなかったのだ。
それが劇的に改善したのは、本当にありがたいことだ。
ただ、この結果。
いつでも、どこの自治体でも、誰がどんな苦情を言い出しても、同じように対応がなされるかは分からない。
俺の場合は、まず課長と面識があった。
職員の一人が同級生でもあった。
ビオトープ管理士として、これまで市の環境行政に協力もしてきた。
こんなことで、市が対応を変えるとは思いたくないが、多少は違いがあったように思う。それと、少なくとも、俺の対応の方が変わったことは間違いない。
つまり、頭ごなしに、喧嘩腰に苦情を言わず、和やかに話が出来たのだ。
また、妻のようにただ漠然と、ゴミが流れてくるから何とかしろ、ではなかった。
自主的にゴミを拾い、分別し、内容物から犯人の利用しているスーパーやコンビニを特定していた。そしてゴミの状態や頻度からして、わざわざ水路まで捨てに来ているのではなく、水路に窓や入口が面した住居であろうということ、ゴミが毎日引っかかる水門と、そこに至る水門の間の住人が犯人であろうことまで推理し、事細かにメールに書いた。更に、窃盗事件の財布が水路に捨てられていたことも書き、治安上も、至急対応すべきと書いたのだ。
メールを入れるまでの、こうした下準備。どこまですれば十分か、というのは分からない。
人によっては、これらすべて行政がやるべきことであり、市民がわずかでも煩わされるのはおかしい、というかも知れない。
だが、苦情の原因を作っているポイ捨て犯も市民なら、その市職員本人も立場を離れれば市民の一人。ならば、市民である自分も、出来る限りのことはやっても良いのではなかろうか。
市職員の身になって考えてみた場合、ただ「家の前にゴミがある」程度の雲をつかむような苦情について、いちいち証拠を探し、状況を検分して、沿線すべてで聞き込みをかけ、犯人を特定して注意する、などやっていられるわけがない。
その結果、妻の時のように、苦情を聞きに来てガス抜きしたら終わり、もしくはそのゴミを回収して終わり、ということになり、根本的解決にはならないのだろう。
SNSには、日々ゴミ拾いをしておられるアカウントが多数ある。
中には、同じ人間が同じ場所に、定期的に捨てたと思われるゴミに、怒りを募らせている発言も読んだことがあるが、やはりそういう場合には、自治体に相談してみるべきだと思う。
大抵の自治体には、廃棄物に関する課が存在するのだ。
こうした、心あるアカウント主が拾ってあげていても、ポイ捨て犯は気づきもしないし、当然悪いことをしたとも思ってはいないから、その習慣をやめることなど決してない。
だが、警察や行政に注意を受ければ、自分の行為が社会不適合だと気づくかもしれない。
それでもポイ捨て習慣を完全にやめるほど、そいつが反省するかといえば、その可能性は薄いとは思う。しかし、それまでやってきたようなポイ捨て行動は、できなくなるはずだ。
うまくすると、ポイ捨ての前に、少しくらいは考えるようになってくれるかもしれない。
行政にしても、不法投棄の苦情が増えれば、今後の市政に多少なりとも影響を与えるかも知れない。だから、自治体にそうした情報を、言わないよりは、言った方が絶対にいいはずだ。
SNSで発信するのもいいが、それだけで終わってはいけないと思う。
SNSで発信すると、何かやったような気になる。もちろん、世界へ発信するのだから、多少は啓蒙にもなるのであろう。だが、人は見たいものを見、聞きたいものを聞く。ポイ捨てするような人間は、ゴミ拾いアカウントなど決してフォローしない。つまり、そのポイ捨て犯に届く可能性は限りなくゼロに近いのだ。だから、SNSで発言するよりもまずは、自分の住む自治体へ言うべきであろう。
ポイ捨て人間は、全体のごく少数なのだ。一人がやめれば、その地区のポイ捨てゴミがほとんどなくなるほどに。だから、行政が動けば、状況が改善される可能性は高いはずだ。
もしかすると、どうやってポイ捨てを無くすかよりも、どうやって行政を動かすか、の方を考えてみた方が、効率が良いのかも知れない。
もちろん、ただゴミが多いと文句を言うだけでは、おそらく行政も動いてはくれまい。そのことは、俺の妻が証明している。
ではどうするのか、といえば簡単。
自分もゴミを拾うべきなのだ。そして、分別する。分別すれば、常習犯に対してのある程度の情報は掴めてくる。その上で、警察なり、行政なりに報告する。地区の廃棄物事情も分析して、問題点を抽出しておけばなおいい。そしてその上で、行政には、「苦情」でなく「支援要請」をしてみてはどうだろう。
活動をしている自分に力を貸してくれ、と言うわけだ。
これを断る自治体は、そうはないだろう。
だが、そこまでやって、ダメならまあ、仕方がない。ただ、拾ったゴミの分だけは、確実に町は綺麗になっている。拾う姿を見た人は、頭の片隅に、ポイ捨ては悪いことである、と刻む。そのうち、自宅の周りくらいは掃除しようとし始める。
それは、種をまく行為にならないだろうか?
まいた種が、芽を出すには、今しばらく掛かろうが、それはそれでよし、としてみるも、良いのではないか、と俺は思うのだ。