第35話 side.亜希

文字数 1,077文字

湊は、総合病院で手術を受けている。
そうとう深い血管が切れたらしく、大量出血のため、手術は難航中のようだ。
あの後、警察の取り調べによって、事件の流れが分かったらしく、私は、警察である湊のお父さんを通じてそれを教えてもらった。

・「消火器めろん」は無職の五十代男性で、ネットの荒らしなどをよくやっていた。

・そして、あるネットのサイトで、つぶやきを頻繁にするあのゆめかわ女子に目が留まった。なので、よくDMで連絡をとっていた。内容は、私をおとしめることだった。

・だが、ゆめかわ女子が好きすぎて、日々彼女に対するストーカーを繰り返していた。

・そのうち、ほかの男にゆめかわ女子をとられるのが怖くなって、ゆめかわ女子を殺すつもりで面会をこころみた。すっかり騙されたゆめかわ女子は路地に来て、殺されかけた。

・そこで私が突入して、もっとおかしくなった「消火器めろん」が、今度は私を殺そうとする。そのとき、私が「来て」と頼んだ湊と萌ちゃん、警察がやってきて、湊は刺されそうになった私を助けて、かわりに自分が刺されてしまった。

・その後、「消火器めろん」は逮捕された。

私は、萌ちゃんやゆめかわ女子と一緒に待合室で手術が終わるのを待っていた。
亜希ちゃん……大丈夫?
……ごめんなさい……ほんとにごめんなさい……
いつもはうざいゆめかわ女子までもが、

泣いて私を心配してくれていた。

……私のせいだ。
あのとき刺されているのが私だったらよかった。
そもそも、不安だからって湊に連絡して、きてもらったのがいけなかったんだ。
……私、気づいたんだ。
湊は、今朝、教室にいなかった。

噂が原因で目が合わなかったんだと思って勝手に私が誤解していただけ。

駆けつけてくれたとき、湊はパジャマ姿だった。

それは、家で寝ていたからだ。具合が悪かったんだ。

だけど、湊ともう、会えなくなったら。

それは怖くて、考えるだけでひざががくがく震える。


湊が……私をかばってくれたとき。

少なからず、私の中には「喜び」という感情が現れていた。

そんな自分が憎かった。

ごめん……なさい
ゆめかわ女子も泣きながら言う。
変な噂流したり、邪魔したりしてごめんなさい。そのせいで湊くんが……こんなことになって……。あなたが、そんないい人だと思わなかった。

あの男から助けてくれたとき、私は馬鹿だって、やっと気づいたの。

ごめん、なさい…
(医師)手術が終わりました!
湊は……無事なの!?
それが、今も意識不明で……。起きられるかはわかりません……
面会は……できる?
まあ、目覚めていませんが……いいでしょう
私は決意を固めた。

今すぐにでも、会いにいかなくちゃ!!

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登場人物紹介

桜庭 亜紀(さくらば あき)です。私立ボルネーチ学園に通う高校二年生です。周りからはよくツンデレと言われますが、自分ではどこが?って感じです。幼なじみの湊には、よく分からない感情を抱いてます。初恋はまだです。そのほかは、読み進めて私のことを知ってくださいっ‼(喋るのが嫌いなだけ)

佐々木 湊(ささき みなと)です。私立ボルネーチ学園に通う高校二年生です。亜紀は絶対にツンデレですが、自分は多分違います。そもそも、ツンデレの意味が分かりません。それはおいておいて、幼なじみの亜紀は、何やらかすか分からないので目が離せません。読者の皆さんも、亜紀を温かい目で見守ってあげてください。

上条 萌(かみじょう もえ)でーす。亜紀ちゃんや湊くんと同じ学校に通ってる、高二の萌袖大好き女子でぇす。亜紀ちゃんも湊くんも、ツンデレ同士お似合いよねー。早く付き合っちゃえばいいのに、ツンデレも大変ねぇ。ちなみに私には彼氏いまーす。けど、彼氏よりは亜紀ちゃんの方が大切だな。そうそう、湊くんと亜紀ちゃん、友達が少ないんだけど、私はそんな数少ない友達の一人だから大事にしてね☆早く二人の恋が実ることを祈ってまーす。

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