1 ✿ 魔法使いからデートのお誘い

文字数 1,233文字

ブレイクが、出先から旅館へ帰ると、部屋の窓から月明かりがこぼれていた。
月は苦手だ。自分を見ている気がする

ブレイクはカーテンを閉め、部屋に灯りをつけた。


ちゃぶ台に十数枚の写真をならべる。

いまだに、名前と顔が一致しないんだよなー。


日本人の顔は、全部能面に見える…。今回多すぎだろ

手帳とスマフォで確認しながら、写真の下に赤ペンで名前を書きこんでいく。


彼の「殺しのリスト」だ。

伊刈いかり 岩男いわお……鬼頭きとうほまれ…・・・ん? これ、なんて読むんだ?

依頼された殺人リストに挙げられた、名前の1つに眉をひそめる。


スマホで調べてみると。

へぇ。維新十傑いしんじゅっけつの一人と同じ名前ねぇ。


いや、こっちは名字か。日本では名字を左に書くんだっけ

ブレイクは、ターゲットの写真に名前を書き込んだ。
          

ジョンが帯刀家に滞在するようになって、五日が経った。


 4月14日、日曜日。

なんて、すてきな日曜日なんだろう。あぁ、幸せ

朝から、咲良は自室にこもり、ドールハウスに手を入れていた。


今日は部活が休みなのだ。

ほんっと好きなんだよね。かわいい小物とか、街をつくったり。


やっぱり、おじいちゃんの影響かな

祖父のせんは、ミニチュアとSLのコレクターだ。


泉はミニチュアをつくるのも得意で、咲良のドールハウスに似合う樹や芝生、花畑をつくってくれる。

風車広場はもうすこし緑化した方がいい気がするわ


桜の樹を増やしたいな。四月だし、100均に桜の造花が売っているはず…

桜や、紅葉の木の模型など、作り方は祖父の泉が教えてくれた。


 コンコンッ


 咲良の部屋がノックされた。

どうぞ。――あれ、ジョン。私服?

今日は、お休みをいただいたので。


その、お邪魔でした?

ジョンは、ドールハウスの棚へじぃっと見入った。
私の趣味なの

咲良さんはミニチュア好きなんですね。


一番大きなお家は、レストランになっているんですか。


この料理は、食玩ですか?

そうなの! 食玩って、外人さんにも知られているの?

うちの母はネットで日本からまとめ買いしていましたよ。


咲良さんのように、ドールハウスに並べて、日本製はすばらしい! と、ことすら絶賛していました。


ミニチュア好きにはたまらないそうで

そうなんだ
普段、こういうのは、どこに売っているんです?
おもちゃ屋とか、スーパーのお菓子コーナーだよ
スーパー!? この近くのですか?

うん。近くのスーパーにもあるし、よく行くショッピングモールにもあるよ。


私も今日お休みだから、ドールハウスに必要なものを集めようと思っていたの。


食玩も買いに行くけど、いっしょに来る?

ぜひご一緒させてください。


ちょうど都内を回ろうと思っていたんです。


それで、咲良さんもいっしょにどうかなと、お誘いに…

そうだったんだ。すぐに準備するから、リビングで待ってて
ジョンが部屋を出ると、咲良はてきぱきと支度をし、リビングに向かった。
お待たせ。行こう
はい。今日はよろしくおねがいします
こちらこそ、よろしくね
 つづく 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

帯刀 咲良  (たてわき・さら)


 高校2年生、剣術道場の娘。

ジョン・リンデン


イギリス人

インターポールの捜査官。

天羽 理々(あもう・りり)


高校2年生、咲良の親友

合気道部

ラルフ・ローゼンクランツ


ドイツ人

インターポールの捜査官。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色