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文字数 448文字



髪がうるさく顔にへばりつくような
うざったい暑い日には
エアコンも何もない爽快な風の吹くような
そんな場所への逃避行を夢見がち
都会のど真ん中で踏ん張らなきゃならない時にかぎって
心のどこかで幼い時に見た夏のあの日を思い出す
田舎を忘れたわけじゃない
時々思い立ったように帰っては
見知った顔を見てホッとする時もある
だけど毎日の日常には僕の居場所がない
大それた人間でもないけど
ゆっくりと生きてくのは性に合わない
急かされてでも躓くことがあっても
もうこっちには戻れないなぁと
冷蔵庫に山積みの
仕事とチューハイを消費し続ける毎日
そもそもそんなに長生きとかしなくてもいいとも思ってる
明日は雨かとか
来週は忙しそうかとか
忙殺されてるのに不平不満を言えるほど
できた人間じゃないんだ
寝る前にひっそり聞く歌
今日の終わりを告げてくれる
弾き語られる力強い歌声のように
生きることができたら僕は幸せなのかな
また朝を迎える
情けないことに昨日と同じような
憂鬱を抱えながら
だけど何か違うものを刻もうと思う
自分が生きていると
歩いていると信じたいから
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