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文字数 489文字



通り過ぎた後でその場所にも
野暮用があったことを思い出す
最近こんなことが多いなと気づく
ほんの少し前までは
この程度メモを取らなくたって
取りこぼしするのはせいぜい
そろそろ買わなきゃと思っていた
日用品とか調味料とかだったのに
突きつけられる現実棚上げして
せめて仕事は取りこぼさないように
眠気も疲れも追い払って
こっちも落ちてきた集中力を
最大限に注ぎ込んで何とかなるような現実
今なら何となく父や母が
頼みを忘れてしまった
忘れられていったちっぽけな約束たち
幼い頃は悲しい記憶で満たされたけど
今思えばどうでもいいお願い事だったのに
忘れてしまったあの人たちへ
涙ながらに出来うる限りの
言葉を浴びせて暴れてた自分がいて
2人はただただごめんねと言ってた
大人たちにとって日常の
やることやらなきゃならないこと
たくさんある中のひとつだから
忘れてしまうこともあっただろう
現に優先度の低いもの片っ端から
忘れていく自分なら今ならわかる
そこに見たくないはずの
自分の悲しむ顔を畳み掛けて
あの人たちなりに悲しかったと思う
今はもう言葉で伝えられないけど
いつか会える日が来るとしたら
あの日のことを感謝しよう
忘れてしまわないうちに





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