第15話 テスト勉強と誕生日

文字数 2,033文字

総体も終わりを迎え、うちの高校からは県大会に出るのは陸上部の数名くらい…


冬月さんには毎日勉強を教えているが、毎日夕飯はご馳走になってしまっている…


飲み込みが早いのか、頭がよほど本来はいいのか、全教科赤点にはならないであろうラインまでは冬月さんは到達していた。

一応、明日からのテスト補習になるとかはなさそうな感じだし、とりあえず間に合ってよかった。
助かった。補習なければ、委員会の仕事も班長会議も問題なく出れる。
冬月さんってめんどいとか言う割にはそういうとこは真面目だよね(笑)
わりいのか?
いえ…別に…


あ!期末テスト終わったらいよいよ修学旅行だね。


お互いにテスト頑張ろうね。

そうだな。修学旅行で京都の清水寺ってとこ行くだろ?


敷地内に縁結びの神社があるらしいぞ。

(なんだって?!愛との恋路をお参りしなければならない!)
俺は前のめりになって冬月さんに聞いた。
それは集団行動のときなのかな?


それとも自由行動なのかな?


かってに行っていいのかな?

そんながっついてくんなよキモいな(汗)


恋愛に興味ありまくりなのか?(笑)好きなやつでもいんのか?(笑)


清水寺は集団行動のときだよ。


少しは清水寺でも集団行動も班も関係なしに動ける時間あるらしいけど?

(まずい…冬月さんに愛のことが好きなことが例えバレたとしても、冬月さんは言いふらしたりとか、本人に言ってしまうとかそういうことはしないとは思うけど…)
あ、ごめん…


俺、その、そういう年頃なだけだよ(笑)

一人で縁結びの神社行くのか?


男一人だとキモくね?(笑)

(確かに…でも明にお願いした所で男二人で縁結びの神社もきっとキモいんだろうな…(笑))
だよね…(笑)明誘っても男二人で縁結びの神社とかやっぱキモいよね?
一人だろうが二人だろうが男で縁結びとか女々しいよな(笑)


愛さんとかには頼まないのか?幼馴染なんだろ?

(頼めるなら頼んでるよ…さすがに本人と一緒にはなんか頼みづらいだろ…)
俺が少し困っているのを察したのか冬月さんが言った。
しょうがねーな。縁結びの神社のお参り手伝ってやるよ。


愛さんに見られるのが恥ずかしいのか何なのか知らねーけど、私の前ならお守りでもおみくじでも恥ずかしくねーだろ?(笑)


乙女じゃねーかよ(笑)

(そ、その通りです…)
いいの?助かるよ。そうそう、縁結びの神社のお守りとか欲しいじゃんか(笑)


冬月さんも縁結びのお守りとかほしい?(笑)

いーよ。普段龍一には色々世話になってっからさ。 


はぁ?いるわけねーだろ。私はどっちかつったら、男苦手な方なんだよ(汗)


どうせ私は一緒に会話できる人も決まってるし、友達少ししかいねーから、万が一喋れない人と集団行動するくらいなら、龍一といる方が私も気が楽だ。

寂しい気もするけど、出来れば冬月さんにはいろんな人と仲良くなってほしい…


今年は同じクラスだから、何かあれば俺なんかでよければ力になってあげられることもあるけど、来年になったら同じクラスとは限らない…


来年も仮に同じクラスだとしても、その先進学先や就職先が同じとはいかないだろう…


愛や酒井さんとはちょっとずつ仲良くなってはいるし、クラスの違う女子にも冷たいぶっきらぼうな態度は取らなくなったけど、まだまだコミュニケーション不足なのが否めない…


だから、恋愛は冬月さんは求めてないだろうけど、縁結びの神社行ったら、冬月さんにもお守りを買って渡してあげようと思ったんだ…


いい友達と縁があるようにと思って。

そっか。まぁ俺には気を使わなくていいよ。


冬月さんは学校で前に比べて、少しやわらかくなったからね。


最初なんて尖りまくってて、接しづらかったからさ(笑)

まぁ、とりあえず、テストだな。補習になると色々支障出るし(汗)


今日もう明日もあるし、帰るよな?


ケーキ一緒に食べないか?小さいやつだけどな。

そろそろ帰ろうかと思ったけど、ケーキ?いいのご馳走になって?


何でケーキ?

今日さ、私誕生日なんだよ(笑)


白石 千春のプロフィールの誕生日だよ。


龍一だから言ったけど、他のやつに言うと白石 千春と誕生日が一緒だとバレそうだから、だれにも言ってねーから、

え?!そうだったの?!

頭の中で白石 千春のプロフィールを思い出す…


(あ!今日だ…)
気づかなくて、何もプレゼントも用意してなくてごめん…
いーんだよ。


せめてちょっとケーキ食べようかなくらいに思ったんだけど、コンビニで買ったら2つ入ってんのな(汗)


1つ無駄になるとこだったから、龍一が食べてくれれば無駄に鳴らねーし、ちょうどいいんだよ。

コンビニの二切れ入ったケーキをその後二人で、話をしながら食べた。


冬月さんはそんなコンビニのケーキでも嬉しそうに食べていた…


太るのを気にして甘いものは極力抑えているらしい…


全然太ってないのに、気にするのは記憶はなくてもアイドル時代の職業病みたいなものなのだろうか?

そしていよいよテストを迎えると、点数こそそんなに良くなかったものの、俺も冬月さんも赤点を取らずに済んだのだった。
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登場人物紹介

上田 龍一(うえだ りゅういち)

城西高等学校2年生

成績、スポーツ、容姿全てが平均的男子。同級生で同じ高校で同じクラスの坂木 愛(さかき あい)に恋をしている。

冬月 千春(ふゆつき ちはる)龍一のクラスへの転校生。

両親離婚前は白石 千春(しらいし ちはる)

元アイドル。そして記憶を失くしている。

坂木 愛(さかき あい)城西高等学校2年生。龍一と同じクラス。


目立つタイプではなく、あんまり人の輪に入ることが得意ではないが、容姿が良いため男子から密かに人気がある。

酒井 真美(さかい まみ)。龍一のクラスメイトで、愛の親友。

佐藤 明(さとう あきら)。龍一のクラスメイトで親友。

神谷 俊(かみや しゅん)。龍一と同じクラスで学年一のモテ男。性格もイケメン。

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