出逢い
文字数 715文字
鉄格子の嵌った狭い窓から、今日も冷たい夜空が見えていた。
石壁で囲まれた部屋、頼りない小さなランプの灯り、何処からともなく聞こえてくる鞭や怒号、朝な夕な労働を強いられる日々。
エステルはいつから居るのかわからなくなるほどの長い間、そんな日々をこの要塞で過ごしてきた。物心つく頃にはこの要塞に連れてこられ、この小さな窓から見える空が唯一の外の世界となってしまった。
「外はどうなっているのかな……」
もう何度渇望したかわからない外の世界への想いを口にするも、それは叶うことはないと知っていた。
エステルは右足首と壁を繋ぐ足枷にそっと手を伸ばす。
少女の心と体を縛るにはそれは十分すぎるほど大きく、また、酷く冷たかった。
〈このままここで死んじゃうのかな……〉
そんな考えが頭をよぎった瞬間、牢の近くの看守の一人が騒ぎ出した。
「……なんだ!!……下の階か……だと!!」
看守の叫び声は途切れ途切れではあるが、エステルにも何かが起きていることは伝わった。
牢の前を何人かの看守や衛兵が走っていく。
直後、彼らが走り去った方角から凄まじい爆発音が轟き、衝撃が牢を揺らし、その衝撃によりエステルは悲鳴とともに壁に吹き飛ばされた。
次いで粉塵が辺りに充満していく。
「うっ……」
「誰か居るの?あ、ねぇ、大丈夫?」
エステルが頭を上げた時、白い煙の中から一人の少女が現れ、エステルに寄り添った。
「良かった。大丈夫?怪我はない?」
少女はエステルに声をかけながら、足枷の鍵を外した。
「なんで助けてくれるの?」
エステルは不思議そうな顔で尋ねる。
「私もここに閉じ込められていたの。あなたと同じ魔法族よ」
直後再び爆発音がフロア中に響いた。
―――次回更新お待ちください―――
石壁で囲まれた部屋、頼りない小さなランプの灯り、何処からともなく聞こえてくる鞭や怒号、朝な夕な労働を強いられる日々。
エステルはいつから居るのかわからなくなるほどの長い間、そんな日々をこの要塞で過ごしてきた。物心つく頃にはこの要塞に連れてこられ、この小さな窓から見える空が唯一の外の世界となってしまった。
「外はどうなっているのかな……」
もう何度渇望したかわからない外の世界への想いを口にするも、それは叶うことはないと知っていた。
エステルは右足首と壁を繋ぐ足枷にそっと手を伸ばす。
少女の心と体を縛るにはそれは十分すぎるほど大きく、また、酷く冷たかった。
〈このままここで死んじゃうのかな……〉
そんな考えが頭をよぎった瞬間、牢の近くの看守の一人が騒ぎ出した。
「……なんだ!!……下の階か……だと!!」
看守の叫び声は途切れ途切れではあるが、エステルにも何かが起きていることは伝わった。
牢の前を何人かの看守や衛兵が走っていく。
直後、彼らが走り去った方角から凄まじい爆発音が轟き、衝撃が牢を揺らし、その衝撃によりエステルは悲鳴とともに壁に吹き飛ばされた。
次いで粉塵が辺りに充満していく。
「うっ……」
「誰か居るの?あ、ねぇ、大丈夫?」
エステルが頭を上げた時、白い煙の中から一人の少女が現れ、エステルに寄り添った。
「良かった。大丈夫?怪我はない?」
少女はエステルに声をかけながら、足枷の鍵を外した。
「なんで助けてくれるの?」
エステルは不思議そうな顔で尋ねる。
「私もここに閉じ込められていたの。あなたと同じ魔法族よ」
直後再び爆発音がフロア中に響いた。
―――次回更新お待ちください―――