第30話:加納夫妻の死とクルーザーと遺産

文字数 1,713文字

 警察に行くと加害者と思われる40歳代の男性と警察官が話していた。石津夫妻が警察に着くと親戚か、お知り合いですかと聞くので知り合いですと言うと、この方の肉親の方は、近くおられますかと聞くので、いないと答えると仕方ない、それでは話をしますと言った。警察官が事故の話を始め運転手さんが言うには前方を注意しながら、いつもの通りに運転していた。

 やがて、下り急カーブにさしかかった時、歩道を歩いていた高齢の女性が、急に、道の方に倒れたかと思った瞬間には、前輪でひいてしまい、かなりの衝撃があった。そこで、すぐに車を止めたが頭をひいた様で顔面、血だらけで倒れていた。そこで、すぐに110番に電話したと話した。 警察官が近くを歩いていた人に聞いても、その女性が、倒れた様に見えたと証言した。

 そのため過失とは言えないと、困り顔だった。どうしますかと石津夫妻に聞くので、警察の方のご判断に、従いますと伝えた。すると運転手さんに保険には入ってるよねと聞くと、もちろんですというので保険会社に連絡して下さいと言い過失の認定ができないが保険金の支払いの手続きをして下さいと言われ、その運転が、わかりましたと答えた。

 この話を熱海芙蓉会の前会長の篠田正一さんに電話をして状況話すと、何だ、先日、旦那さんが死んだばかりなのにと言った。しかし葬式をしてやるしかないだろうと言い、私から、昔の仲間に連絡するから、石津君は、葬儀の手配をして、決まったら、連絡してくれと言われ了解した。葬儀は、4日後の2008年3月6日となり同じ葬儀場で行う事になった。

 告別式には18人が参列し、加納夫妻の急な逝去を悼んでいた。葬儀を終えた時、篠田正一さんに石津三千子さんが亡き加納和美さんに、亡くなったら家のタンスの真ん中の引出を見てくれる様に言われたことを話すと俺が立ち会うから行こうと言ってくれた。マンションの管理人に言い加納さんの部屋を空けてもらい言われたタンスの真ん中の引出を空けると遺書があった。

 それを空けてみると石津夫妻との思い出が書いてあり子供や親しい親戚がいないので今まで一番お世話になった石津夫妻に相続してもらいたいと書いてあった。預金通帳とカラマラン・クルーザーヨットの書類、タンスの中には宝飾品、ダイヤ、真珠のネックレス、サファイヤ、ルビー、エメラルド、マンションの権利書が入っていた。

 そうして篠田正一さんが俺が立会人になってやるから遺書のコピーを取っておけと言い立ち会い人と書いてハンコ押しておき1部ずつを保管すれば問題ないと言ってくれた。加納夫妻の預金通帳が4冊あり、これもコピーしておきますかというので、それのコピーはいらないと、篠田正一さんが言った。通帳を一緒に見てもらえますかと聞いた。

 それに対しと篠田正一さんが遺産の金額については、君たちの問題であり、わしには関係ないと言った。落ち着いたらコピーを持って来いと言われ、了解しましたと言い、その日の内に遺言書のコピーと原本に立会人のハンコをもらい1部ずつ保管する事にした。帰って通帳を見ると合計3800万円の預貯金が、残されていた。

その翌週、カラマラン・クルーザーヨットのヨットクラブに行き、事情を話すと、クルザーヨットの保管料金が陸上でも年間30万円かかると言ったクルーザーを持ち続けるか、それとも中古で売るか選択できると言われたので考えてから結論を出すと答えた。奥さんと話すると私たちが今後も、ここにいられるかもわからないのだから売却したらと奥さんが言った。

 そこで石津健之助が、クルーザーヨットを売りたいと言うと、店の人が、わかりましたと言い、購入希望者が出たら連絡しますと言ってくれた。亡くなった、加納夫妻のマンションをどうしますかと管理人が聞くので相場は、いくらくらいですかというので賃貸なら家賃7万円で、その他、諸費用が7万円で合計14万円。

 もし、売却なら、500万程度ですかねと言い、だた、なかなか売れませんよと言った。平成芙蓉会で買う人を聞いたが、誰もいなかった。そこで、不動産屋に聞くと、賃貸で7万円程度で募集するしかありませんねといったので、それでお願いした。
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