12 勇者たちと長い夜 ラクスの場合

文字数 734文字

「シグ、王子……もう、こんな、こと、は……おやめ、ください……」

 ラグーン王国の王子シグと、彼に力を貸す魔族の少年ジエルは、捕らえたエルフ族の戦士ラクスを味わっていた。

「エルフの戦士さまが、こんなふうになるのですね」

「まったくだ。人は見かけにはよらないものだな」

 ラクスはジエルの術に当てられ、すっかりとほてらされたうえ、窮屈な革製の服を着せられていた。

 されるがままの状態になったエルフの少年を、王子と悪魔はさまざまな道具を使って追い立てた。

「この耳の形、いいですねえ。僕よりもずっとフラットでかわいい」

「いいザマだな、ラクス? 逆賊にくみした報いを受けよ!」

「――!」

「ははは! 堂に入ってきたじゃないか! クセになってきているのだろう? とんだ戦士さまがいたものだな!」

「――っ!」

 こんなふうにラクスは、好き放題にされていた。

「なかなか作り変えがいのあるオモチャですね、王子?」

「まったくだ、ジエル。ぞんぶんにかわいがってやろうではないか」

 二人はくつくつと笑った。

「ゼオの様子でも見にいきませんか? 重臣たちもそろそろ腑抜けになっているころでしょう」

「それはいいな。こいつの散歩がてら、のぞいてみるか」

 ジエルがラクスの準備を整え、シグとそろって寝室を出た。

「はあ、はあっ……」

「ほら、しっかり歩けよ、ラクス?」

「う~ん、眼福ですねえ。気取ったエルフをこんなふうにできて、最高の気分ですよ」

「ゼオはもっとひどいことになっているかもな」

「いいのではありませんか? しょせんはオオカミ、畜生にすぎませんし」

「それもそうだな、ははっ!」

「ふふっ、ふふふっ」

 こうしてシグとジエルは、ラクスを引き連れながら、ゆっくり、ゆっくりと、ゼオがいる会議室のほうへと向かった。
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