ストリクトリー・パーソナル【第九話】
文字数 1,492文字
☆
「流石、〈苺屋キッチン〉ですよぉ〜! このマシュマロ・マキアートおいしいですぅ〜!」
「だろ?」
「マキアートにマシュマロがのせてあって、頬がとろけて落ちそうですよぉ」
わたしは風花ちゃんとの戦闘後、視聴覚室に入ってきた風紀委員会と生徒会の面々への挨拶もそこそこに、空美坂にある苺屋キッチンへ来て、苺屋かぷりこ嬢のオススメ、マシュマロ・マキアートを注文し、飲み始めたところだったのでした。
かぷりこさんは言う。
「カフェラテはミルクとエスプレッソの比率が8:2。抹茶ラテにしてもそうだな。カプチーノは7:3。ところが、マキアートは大胆にも、ミルクとエスプレッソの比率が1:3なんだよな。ここで言うミルクってのはフォームドミルクのことで、温めた上で、泡立てたミルクのことを指す」
「よくわかりませんが、それぞれおいしそうですぅ〜」
「いや、そこはわかっておけよな」
「てへぺりんこ」
「はぁ。まあいいや。苺のせロールケーキも食え」
「ヒャッハー! 最高ですぅ!」
「金を払うのはメダカだけどな」
「ぐっはぁうぅッッッ! そうでしたぁ! 自分でお金を払うんだったぁぁぁぁ!」
「なにか、話したいことがあって、あたしのところに来たんじゃないか、メダカ」
わたしは咳払いをして、調子を戻す。
「そうなんですよね」
わたしのテーブルの向かいに、かぷりこさんは腰を下ろす。
「聞いてやらないこともないぜ?」
「恩に着ます、かぷりこさん」
「お。恩を着るは、きりますではなくきます、だって知ってるんだな、メダカ」
「もぅ、わたしはウェブ作家なんですよぉ〜?」
「あはは、そうだったな、悪ィ悪ィ」
「ぷんすか」
わたしはついさきほどあった視聴覚室での戦闘のことを、かぷりこさんに話した。
「で、思うのですよ。あれは〈誰を狙った襲撃〉だったのか、と」
「今日あったことを話してもらった直後で悪いんだが、実は昨日あったことも、聞いているぜ」
「昨日あった……こと?」
首をかしげるわたし。
「メダカ、おまえのあたまはそんなにポンコツなのか? 昨日! 保険医のサトミ襲撃事件のことだよ」
「え? 一体誰に」
「コノコ……朽葉コノコに、だよ」
「コノコ姉さんが知っている?」
「そりゃあいつ、今はいろいろ飛び回っているからなぁ。はぁ。同居人のメダカがこんなんじゃ、コノコも報われないよな」
「報われない?」
「いや、こっちの話だよ。気にすんな」
「ネバーマインド!」
「早世したロック・スター、カート・コバーンのバンドのアルバムタイトルはいいから」
「はぁい。わかりましたよぉ」
「はぁ、ほんと、おまえはよく生きていられるよな。そんなんじゃ命がいくつあっても足りないぜ。いや、だからこそ、おまえを守ってやっているのかもしれないが、な」
「えーっと。サトミ先生の件ですが、衝撃が強すぎてわたし、あたまからすっぱ抜けていましたよぉ。ごめんなさい、サトミ先生」
「おいおい、今度は泣くなよ。顛末もコノコから聞いてるさ。で、だ」
「はい」
かぷりこさんは言う。
「サトミの固有結界を守ろうとしたのは鏑木盛夏。緋縅氷雨はサトミを斬ろうとしていた。黒蜥蜴のあは盛夏の側について、サトミの命を守ろうとした。これはどういうことか。まずはそこからだろ?」
「あ! そうですよ! どういうことなのでしょう」
「苺のロールケーキとマシュマロ・マキアート、どうする?」
「お代わりをください!」
「追加注文ありがとな! じゃ、考えて待ってな。今、このかぷりこさんが持って来てやるから」
「はぁ〜い!」
夕暮れ時。
ティーパーティ前ですが、たらふく食べちゃいますよぉ!
別腹でどうにかなるはずですぅ!
ヒャッハー!
「流石、〈苺屋キッチン〉ですよぉ〜! このマシュマロ・マキアートおいしいですぅ〜!」
「だろ?」
「マキアートにマシュマロがのせてあって、頬がとろけて落ちそうですよぉ」
わたしは風花ちゃんとの戦闘後、視聴覚室に入ってきた風紀委員会と生徒会の面々への挨拶もそこそこに、空美坂にある苺屋キッチンへ来て、苺屋かぷりこ嬢のオススメ、マシュマロ・マキアートを注文し、飲み始めたところだったのでした。
かぷりこさんは言う。
「カフェラテはミルクとエスプレッソの比率が8:2。抹茶ラテにしてもそうだな。カプチーノは7:3。ところが、マキアートは大胆にも、ミルクとエスプレッソの比率が1:3なんだよな。ここで言うミルクってのはフォームドミルクのことで、温めた上で、泡立てたミルクのことを指す」
「よくわかりませんが、それぞれおいしそうですぅ〜」
「いや、そこはわかっておけよな」
「てへぺりんこ」
「はぁ。まあいいや。苺のせロールケーキも食え」
「ヒャッハー! 最高ですぅ!」
「金を払うのはメダカだけどな」
「ぐっはぁうぅッッッ! そうでしたぁ! 自分でお金を払うんだったぁぁぁぁ!」
「なにか、話したいことがあって、あたしのところに来たんじゃないか、メダカ」
わたしは咳払いをして、調子を戻す。
「そうなんですよね」
わたしのテーブルの向かいに、かぷりこさんは腰を下ろす。
「聞いてやらないこともないぜ?」
「恩に着ます、かぷりこさん」
「お。恩を着るは、きりますではなくきます、だって知ってるんだな、メダカ」
「もぅ、わたしはウェブ作家なんですよぉ〜?」
「あはは、そうだったな、悪ィ悪ィ」
「ぷんすか」
わたしはついさきほどあった視聴覚室での戦闘のことを、かぷりこさんに話した。
「で、思うのですよ。あれは〈誰を狙った襲撃〉だったのか、と」
「今日あったことを話してもらった直後で悪いんだが、実は昨日あったことも、聞いているぜ」
「昨日あった……こと?」
首をかしげるわたし。
「メダカ、おまえのあたまはそんなにポンコツなのか? 昨日! 保険医のサトミ襲撃事件のことだよ」
「え? 一体誰に」
「コノコ……朽葉コノコに、だよ」
「コノコ姉さんが知っている?」
「そりゃあいつ、今はいろいろ飛び回っているからなぁ。はぁ。同居人のメダカがこんなんじゃ、コノコも報われないよな」
「報われない?」
「いや、こっちの話だよ。気にすんな」
「ネバーマインド!」
「早世したロック・スター、カート・コバーンのバンドのアルバムタイトルはいいから」
「はぁい。わかりましたよぉ」
「はぁ、ほんと、おまえはよく生きていられるよな。そんなんじゃ命がいくつあっても足りないぜ。いや、だからこそ、おまえを守ってやっているのかもしれないが、な」
「えーっと。サトミ先生の件ですが、衝撃が強すぎてわたし、あたまからすっぱ抜けていましたよぉ。ごめんなさい、サトミ先生」
「おいおい、今度は泣くなよ。顛末もコノコから聞いてるさ。で、だ」
「はい」
かぷりこさんは言う。
「サトミの固有結界を守ろうとしたのは鏑木盛夏。緋縅氷雨はサトミを斬ろうとしていた。黒蜥蜴のあは盛夏の側について、サトミの命を守ろうとした。これはどういうことか。まずはそこからだろ?」
「あ! そうですよ! どういうことなのでしょう」
「苺のロールケーキとマシュマロ・マキアート、どうする?」
「お代わりをください!」
「追加注文ありがとな! じゃ、考えて待ってな。今、このかぷりこさんが持って来てやるから」
「はぁ〜い!」
夕暮れ時。
ティーパーティ前ですが、たらふく食べちゃいますよぉ!
別腹でどうにかなるはずですぅ!
ヒャッハー!