第1話

文字数 1,156文字

 先日、山形県庄内に関西人が仕事で来た。彼はこてこての関西弁を話す。
 「関西弁」とは、関西地域に属する大阪と京都の2府、兵庫、滋賀、奈良、和歌山の4県で使われる方言を指す。私は三重県の生まれで関西弁には馴染みがあるが、三重県の方言は「伊勢弁」と呼ばれている。
 関西弁はリズミカルで抑揚が大きく、会話のテンポが速い。その上「笑い」を重視する傾向があり、日常的な会話でも話が面白い。これは関西(特に大阪)が昔から商人の街として栄え、コミュニケーションが重要視されていたためと考えられている。関西では「真面目」よりも「面白い」ことが重要視されているようだ*。(*Home>日本文化>日本語>関西弁の基礎知識!定番の言葉・関西人と仲良くなれる豆知識をご紹介 から引用した)
 そんな彼が夜、私が行きつけの地元の居酒屋で(いわ)く、
 「来る時、飛行機で『当機は間もなく

庄内空港に着陸します』て、何、ふざけてんのや、て思たゎ。山形県もしょうもない名前、使いよるんやなぁ。」と。
 「ところが、これが山形県では真面目に付けた愛称なんですよ。」
 私は標準語で話す。標準語は抑揚が少なく流れるようなイントネーションだ。関西弁のような(から)みが少なく、関西弁とはなかなかテンポが噛み合わない。

 山形県には地方空港が2つあり、これも山形県の自慢の一つだ。東根市にある「おいしい山形空港」と、酒田市および鶴岡市にまたがる「おいしい庄内空港」である。どちらも突飛な印象を感じるが、これは、食だけでなく、祭りや温泉など、山形県の「おいしい(好ましい)」をアピールするために、2014年に2港同じタイミングで名付けられた愛称だ。そのため、ロゴマークも空港の名称と色が違うだけで、デザインはほぼおそろいだ**。(**乗り物ニュース>飛行機>「縁結び空港」「砂丘コナン空港」「おいしい空港」… 空港の妙な愛称が次々に生まれる理由:2018年10月20日 を参考にした)

 「それ、ほんまか?」「山形県もおもろがってつけたんなら救いやけど、真面目につけたんならあかんなぁ。」
 要は、ユーモアのセンスで分かって付けた愛称なら面白くていいが、これがいいと真面目に付けた愛称ならつまらない。ということなのだ。
 私の知る範囲では、関西人から見ると、東北人は暗くて反応が鈍くて糞真面目で何を考えているのか分からないらしい。東西の文化の違いを痛感した。
 関西人に「んだんだパワー」を見せつけてやれっ!!
 んだんだんだんだ!!

 「せやけど、米と酒はうまいのぉ~。」
 こてこての関西人の居酒屋めしでの感想だった。

 写真は庄内で美味しいものの代表である米

と、酒。

 酒はどの銘柄も美味しいが、私は淡麗で辛口の酒が好きだ。たくさん飲めるからのぉ~。
 んだ!
(2023年7月)
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