冒険者、お勧めされる。

文字数 831文字

「はぁ? 何言ってるんだ? 国なんて買える訳無いだろ?」
 いきなりの発言に俺は顔をしかめた。
「ところがあるんだよ、よく貴族が領土を売りに出す話は聞いた事あるだろ?」
「チラッと聞いた事はあるな。」
「大体領地の開拓に失敗したりとか、元々貧乏だったのに見栄を張っていたら苦しくなったりとか色々な理由があるんだが、同じ様な事が国にもあってたまに売りに出される事があるんだ。」
「そんな事があるのか・・・・・・。でも、国民もいる訳だから・・・・・・。」
「そうそう、まぁ大問題になる。ただ、国民がみんな出て行って王族だけ残っていれば特に問題はない。それで家が最近買い取ったのがこれだ。」
 そう言ってエルダは1枚の紙を見せてくれた。
 紙には何枚か写真が張られており『旧ファズリー国領』と書かれてある。
「辺境にある小さな国なんだが運営に失敗して売りに出されたんだ。価格は星金貨1枚だ。」
「1枚っ!?」
 俺は思わず驚きの声をあげた。
「領土もそんなに広くないし、家もちゃんとある。資源もあるし開拓すればかなりの優良物件になるぞ。」
「マジか・・・・・・、でも、資源があるのになんで売りに出されたんだ?」
「俺から言わせてもらうと『資源に気がついていなかった』からだろうな。センスが無かったし、金も無かったんだよ。」
「その王族て、今は何をしてるんだ?」
「ひっそりと暮らしているよ。今は侯爵家としてこの国に住んでいる。トラブルとかは無いから安心しろ。」
 話を聞いていると魅力を感じる・・・・・・。
「わかった、この国を買おう。」
「そうか! じゃあ、とりあえず明日、実際に行こう。そこで正式に契約を交わそう。」
 コイツの良い所は猶予を与えてくれる所だ。
 悪どい所は口先で勧めて無理矢理契約を結ばせる、という。
 エルダはちゃんと考える時間をくれるので信頼している。
 それにエルダは見る目があるので俺に勧めてくる、という事は俺にあっているんだろう。

 
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