第14話 トスカニーニ
文字数 4,560文字
トスカニーニは、ドイツのフルトヴェングラーと並ぶ20世紀最大の指揮者です。
ワルターを加え、19世紀生まれの「3大指揮者」と呼ばれています。
フルトヴェングラーの芸風とは常に比較されていますが、音の背後にあるドラマなどを重んじたフルトヴェングラーとは正反対の芸風で、スコア(楽譜)こそがすべてでした。
トスカニーニは「音」にすべてを託します。よって演奏中、パッションは炎のように燃え立ち、リズムは地の底にまで突き刺さります。楽員一人たりとも気を抜くことは許されず、全身全霊を込めた音楽を創造していくスタイルです。この、音のダイナミズムこそがトスカニーニの芸風でした。よって、テンポは速めで、楽譜のffなどの記号も殊更強調されます。ただ楽譜どおりに演奏するスタイルと一線を画しているのは、音楽に対する熱意、芸術家としての格の違いでしょう。スコアには忠実ながらも、最高のエネルギーに満ちた「音」を聴かせてくれるのがトスカニーニです。その点こそがトスカニーニイズムです。
http://nyatora.web.fc2.com/shikisha2.htmlブルーノ・ワルターは、トスカニーニ、フルトヴェングラーと同じ19世紀生まれの指揮者で、この3人は19世紀生まれの3大指揮者と言われています。しかし、ワルターが2人と決定的に違い、我々にとって身近な存在である点は、1960年代まで長生きしたために、コロンビア交響楽団(世紀の大指揮者、ワルターの録音のためだけに結成されました)との一連の名演を、ステレオ録音で存分に鑑賞できるという点です。トスカニーニにはわずかにステレオ録音が残っていますが、フルトヴェングラーにはありません。ワルターの演奏は、1930年前後のウィーン・フィルとの一部の古い録音を除き、ステレオ録音で聴くことができるのです。
何という幸せでしょう。しかも、現在では、そのほとんどが高音質化されています。神とワルターに感謝する他ありません。
http://www.hananoe.jp/classical/takuminomori/takuminomori047.html
なお、義理の息子であるウラディミール・ホロヴィッツがトスカニーニと初協演する際、ヴァイオリニストのアドルフ・ブッシュから与えられた忠告は、絶対に遅刻しないこと、怒鳴り声が響いても驚かないこと、反論しないこと、の3つだったという。
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同じように古い音源でヴィルヘルム・フルトヴェングラーの指揮に接した人が、悪条件の音質までも含むその怒濤の演奏世界にのみこまれていくのとは異なり、トスカニーニの指揮は聴き手を酩酊させるよりも覚醒させる。作品の明確な表現や造形感といったものに対し、意識的になるよう促す。だからよけい音質がハンデに思える。しかし、トスカニーニの音源にどんな瑕があるにせよ、そこから圧倒的な統制力や解釈の妙味やこぼれ出る歌心を感じ取ることが全く出来ないとしたら、それは聴き手の理解不足によるものである。
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親しみやすさにあふれるこの作品は、旋律が歌に編曲されたり、BGMとしてよく用いられたりと、クラシック音楽有数の人気曲となっている。オーケストラの演奏会で最も頻繁に演奏されるレパートリーの一つでもあり、日本においてはベートーヴェンの交響曲第5番『運命』、シューベルトの交響曲第7(8)番『未完成』と並んで「3大交響曲」と呼ばれることもある。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/交響曲第9番_(ドヴォルザーク)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アルトゥーロ・トスカニーニ
モーツァルトを崇敬していたリヒャルト・シュトラウスは、1878年1月26日にルートヴィヒ・トゥイレに宛てた手紙においてジュピター交響曲を「私が聴いた音楽の中で最も偉大なものである。終曲のフーガを聞いたとき、私は天国にいるかの思いがした」と称賛している。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/交響曲第41番_(モーツァルト)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アルトゥーロ・トスカニーニ
何も言う必要はない不滅の名盤。これがあの悲劇的な引退の数ヶ月前の演奏とは、とても信じられない。
メンデルスゾーンの十字型指揮がトスカニーニに受け継がれ、ヴァーグナーの流動的指揮がフルトヴェングラーに受け継がれた、と考えるならば、トスカニーニのメンデルスゾーンが名演なのも理解できるか。
http://classic.music.coocan.jp/sym/mendelssohn/mendelssohn4.htm
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アルトゥーロ・トスカニーニ
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