第1話 夢?

文字数 3,116文字

「おい。大丈夫か?寝てんのかー?」
突然の声がかかり6人は目が覚めた。
「あれ?確か俺たち、、」
「え?ここってどこ?」
「う~ん…?」
「ってみんなは…」
「?」「あれ?」
「おめぇら一体何をブツブツ言っとるんじゃ?」
「そうだね、あんちゃん。それにこの子らうちらの地区じゃ見かけん子らじゃ」
と男の子と小さな女の子が話す

「ってあれ?ここはどこだ?今はいつなんだ?」
と健が言った。
「ねぇ、今は20〇〇年だよね?」と李奈が男の子に聞いた。
すると男の子は不思議そうな顔をして答えた。
「何を言っとる。今は1945年8月じゃ。寝ぼけてるのかのう、、」
「1945年!?」
(やっぱりだ。前に授業で習ったことがある。昭和20年だよな)
(まさか、あの光を見たのが関係があったのかな?)
(おいおい…まじかよ。遊園地に行けねぇじゃん!)
(そんな、、まじかよー。)
(みんなに心配かけたくないのにわたし達のせいで、お父さん、お母さん、ごめんなさい。)
(うぅ…怖いよぉ。先生、お父さん、お母さん…)
「おーい。お前達さっき倒れてたけど大丈夫か?」
「え、ああ大丈夫だ。俺は西山健って言うんだ。よろしく」
「わたしは倉田李奈です」
「俺は秋山勇太。よろしくな」
「俺は河村翔太。助けてくれてありがとう」
「わたしは嶋田千明、よろしくおねがいします」
「わたしは藤本さくらです。よろしくね」
と6人は自分の名前を話した。
「みんな変わった名前が多いんだなー。俺は中田正一だ。よろしくな。こいつは妹の花だ」
「花です。みなさんよろしく…」
と二人も自己紹介をした。
「正一くんよろしくな」
「ねぇ正一くん。わたし達今行く場所がないんだ。どこか雨宿りするとこないかな?」
と李奈は言った

「うーん。かあちゃんに頼んでみるよ。ついてきな」
と6人は正一の家に行く。
「かあちゃん。ただいまー」
「かあちゃん。ただいま」
「おかえり。あれ?あなたたちは…」
と母親が言った。
「あ、はい。実は…」
と健と李奈が説明する
「かあちゃん、可哀想だからさ…家にいさせてやらねぇか?」
と正一が言った。
「うーん。そうねぇ…あんまり食べるものに余裕はないけど寝床ならあるから泊まることなら大丈夫だからうちはえぇよ」
と母親は笑いながら言った。
「ありがとうございます!」
こうして6人は正一の母親のご厚意で泊めてもらうことになった。
「さて、ご飯の支度しようかね。」
と正一の母親は台所へ
そして夕食

汁が多めの粟のおかゆが出てきた
「ごめんねぇ。これしかなくて、、」
「ま、こんなもんだから」
「嫌なら食べなくていいんだよ。正一」
「いや、食べるよ、いっただきま~す」

「いただきます」
6人も食す。もちろんこんなものは初めて食べる。
(うげ…まずっ!)
(これは…食べ物なの!?)
(うげぇ…)
(うっぷ…激マジィ)
(うぅ…まずい…)
(なにこれ……おいしくないよぅ)
6人の反応は当然である。今の時代は進化し食事は美味しいものが多く出ている
しかしこの時代の人たちは今を生きる事、つまり食べるものですら困っているのだ
そのことは社会の授業、そして事前に学習のときに見た映像で知っている
まさかそれを身を持って知ることになるなんて誰が想像したのだろうか
「美味いか?」正一が聞いてきた。
6人は心の中ではマズイと思っている。しかしそんなこと言えるわけがない
全員「おいしい」と答えた。
「そうかい、それは良かった。」
と正一の母親は笑っている
そして夜 
母親と花は一緒に別の部屋で
そして正一も部屋で寝ていた。

「なあ、みんな。起きてるか?」
健が声を書けた
「起きてるよ」「どうしたの?」とみんなが声を出した。
「カレンダー見えちまったんだけどさ。この家の。今日8月3日だよな。」
「そうだな、それがどうしたんだよ。」
と翔太が言った。
「原爆が落とされる日って…あ!8月6日じゃない。」
「そうだよ。これってもしかしたら俺らも巻き込まれたりしないよな」
するとさくらが
「そういえば学校の授業で防空壕に入れば大丈夫って聞いたことがあるけど…」
と話した。
「とにかくみんなで生きて父さん、母さんに会おう。絶対に」
「健。班長らしくなってきたね。」と李奈が言った
「うるせえ、寝るぞ。」
「うん。おやすみ。」
6人は疲れが出たのか眠ってしまった。
翌朝 目が覚めた6人は散歩に出て、元の世界に戻るために手がかりを探すことにした。
「ねぇ、わたし達原爆ドームを見てたらこの時代に来たのよね」
「あぁ。そうだな」
「ってことはさ。もしかして原爆ドームをもう一度見てあの光を見つけたら戻れたりしないかな?」
と健と李奈が話しながら歩く
しかし翔太と千明が口を挟んだ
「けど原爆ドームになる前の建物がわからないぞ。原爆ドームって前まではなんの建物だったんだよ」
「それに、運良くその建物を見つけられたとしてその時代に帰れるかわからないよ…」
と不安そうな声を出す翔太と千明。
「なに言ってんだ。必ず帰えるんだよ、自分達の本当の時代に」
「そうだよ。」と健と李奈が翔太と千明に力強く言った。
「あ、あのさ、みんな」
さくらが話しだした
「どうしたの?さくらちゃん。」
「わたし達原爆ドームを見てたらあの光が現れたんだよね?」
「あ、あぁ。」「う、うん」
「もしかして原爆ドームが出来てからじゃないとわたし達は帰れないかもしれない」
ここで勇太が
「まさか、原爆ドームを見ない限り意味ないってことか?」と話す
「ううん。そこまでは言ってないよ。けどねもしかしたらって思ってさ」
さくらがそう話した。
「そういえばさくらの考えってよく当たるんだよね。」
「ここは藤本の考えに乗ってみるか」
「だな。もしかしたらってことがあるしな」
「ああ」
「うん」
「みんな、ありがとう」
 
20〇〇年の広島
「何!?西山くん達の班がいない?6人ともかね?」
「はい、申し訳ありません。教頭先生、この周辺は探したんですが見つからなくて」
本来自分たちがいる未来では6人がいないとパニックになっていた。
「とにかく落ち着きついて。キミは他の生徒達と次の目的地へ向かいなさい。私は西山くん達のご両親と学校に連絡を入れたあと警察に連絡します」
「わかりました。それならわたしも」
「あなたはこの子達の担任です。この子達を離れ離れにさせてはいけない。教師というのは子供達に教育を教えるだけじゃなく子供達の不安を取り除くのも仕事の1つなんですよ」
「教頭先生…」
「ここは私に任せて。私はあとで目的地に行きますから」
「すみません。教頭先生よろしくおねがいします」
 
1945年の時代
この日は8月5日
原爆が落ちる前日
アメリカ兵が広島に原爆を落とす用意を始めていた
「なぁこれを何故落とさないといけないんだろうな。」
「さぁな。それが俺らの使命なんだ。上には逆らえない。俺らも好きでこんなことしたいわけじゃないのにな。」
「ああ、そうだな。」

1945年の広島
「正一くん。わたし達のことどうして助けてくれたの?」
李奈が正一に聞いた。
それは6人とも気になっていたはずだ
正一は少し照れながら答えた
「おめぇらが悪いやつには見えなかったからじゃ。」
「正一!お前いいやつだな!」と翔太が正一の背中を叩く
「やったな!翔太!」
「もー、ふたりとも!」千明が二人を宥める
そして健たちは正一と花に本当のことを話すことにした
「正一、花ちゃん。聞いてほしいことがあるんだ。実は明日、、8月6日に、、」
と健は話した。
最初は信じられないって顔はされたが話終わると二人は
「そうか、、実は最近空襲警報もあったからもしかしてと思ったんじゃ。」
「あんちゃん。健や梨奈は悪いことは言ってないみたいじゃから信じてあげたらどうじゃ?」
「そうじゃな。8月6日じゃな。」
と信じてくれた。
良かった。。














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登場人物紹介

未来からタイムスリップした6人の子供達


西山健(にしやまたける) 班長

倉田李奈(くらたりな)副班長

秋山勇太(あきやまゆうた)

河村翔太(かわむらしょうた)

嶋田千明(しまだちあき)

藤本さくら(ふじもとさくら)


昭和20年の人々

正一(しょういち)小6

花(はな)小4

 

正一、花の母



正一の父と正一の兄


敵艦長、敵兵士数名。


未来の人たち

健、李奈、勇太、翔太、千明、さくらの両親

担任の先生、教頭先生。


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