4-1-1 若き院生たちの日常

文字数 7,655文字

 乳白色の丸テーブルの中央に、円形のホログラム投影盤が嵌め込まれている。盤上に浮かび上がるのは、一辺が三十センチほどの立方体のホログラム映像である。
 立方体は九×九×九の格子体(ブロック)に区切られており、その内には赤、もしくは青の駒がそれぞれほぼ同じ数だけ、まるで互いの陣営を浸食し合うように様々な場所に配置されている。今、赤い駒のひとつが淡く発光したかと思うと、四マス先、右斜め前上方の空白の格子体(ブロック)へと移動した。その途端に青陣営の駒たちの三分の一が、弾けるように消滅する。
 テーブルを挟んだふたつの肘掛け椅子に腰掛けるのは、いずれもまだ学生と覚しき年格好の、若い男女だ。女の方は青い駒たちが消滅したのを見て、耳が隠れる程度に短く整えられた栗毛の頭をがっくりとうなだれた。赤い駒の群れが優勢となった立方体を、青い瞳がぶるぶると震えながら上目遣いに見つめている。やがて観念したように瞼を閉じ、噛み締められた唇の隙間から「参りました」という言葉が絞り出された。
 ふたりを取り囲んでいた観衆が、彼女の宣言を聞いて喝采とも悲鳴ともつかない声を上げる。
 周囲が賑やかさを増す中、青年は赤銅色の肌に掛かった癖の強い黒髪を掻き上げながら、優男風の顔立ちに似合わない嘲笑を見せつけるように浮かべた。
「まだまだ修行が足りないなあ、カナリー。これで俺の十四連勝だっけ?」
「十三よ。さりげなく水増ししないで」
 カナリーと呼ばれた女は忌々しげに抗議したが、力強い口調も迫力を欠く。青年は相手にする気配も見せず、片手を振りながら席を立った。
「いずれにしろ勝ったのはこのシャレイド・ラハーンディだ。お前は俺がこのまま勝ち進んでいくところを、指を咥えて眺めているんだな」
 シャレイドと名乗った青年はそう言ってカナリーの顔を一瞬見下ろしてから、おもむろに踵を返す。カナリーに出来ることと言えば、その場を立ち去ろうとする青年の痩せぎすな背中を、悔し紛れに睨みつけるぐらいが精々であった。
 丸テーブルの上のホログラム映像はいつの間にか掻き消えて、観衆も三々五々に散らばっていく。やがて肘掛け椅子に腰掛けたままのカナリーともう一人、肩幅の広い長身の男がその場に残った。
「残念だったな、カナリー。中盤までは互角の、いい勝負だった」
 長身の男はそう言って、肘掛け椅子から動こうとしないカナリーの肩をぽんと叩いた。丁寧になでつけられたダークブラウンの髪の下に、落ち着き払った切れ長の目が覗く。年齢はカナリーと同じのはずの男は、年長者のような振る舞いに違和感がない。
「……モートンと対戦したかったのに。こんなところでシャレイドと当たっちゃうなんて」
「お前はシャレイドの棋風とは相性が悪いからな」
 カナリーがなおも腰を上げようとしないので、長身の男――モートンは先ほどまでシャレイドが腰掛けていた椅子に腰を下ろした。
「だけど回を重ねるごとに、カナリーも強くなっている。最初の頃は五十手も指さない内に詰まされていたのに、さっきの勝負は終盤までどっちが勝ってもおかしくなかった。今回はベスト8まで勝ち残ったんだし、来年の大会では雪辱だって夢じゃないさ」
「そうね。せめて卒業するまでに一度はあいつを叩きのめさないと、とてもお父様に顔向け出来ない」
 モートンと言葉を交わす内にさすがに悔しさも収まったのか、カナリーの顔からは興奮が抜けて、本来の前向きな表情を取り戻しつつあった。
「お父様って、ホスクローヴ提督がなんの関係がある?」
 首を傾げるモートンに向かって、カナリーは小さく肩を竦めた。
「言わなかったっけ? 私に立方棋(クビカ)を指南してくれたのはお父様なの。これでもイシタナでは負け知らずだったんだけどね。さすが銀河系中から才能が集まるジェスター院、井の中の蛙だったってことを絶賛体験中よ」
 モートンは四角い顎を撫でながら、羨ましそうな顔を見せた。
「連邦軍の名将が直々の手ほどきか。そいつは俺も是非お願いしたいな」
「モートンはお父様の指導なんかいらないでしょう。去年の優勝者(チャンピオン)なんだから」
 そう言うとカナリーは丸テーブルの上に両手をどんと乗せて、身を乗り出した。
「シャレイドとは決勝で当たるんでしょう? 私の敵討ち、頼んだわよ」
「俺が決勝に勝ち上がれるかどうかは、まだわからんよ。それにあいつとの対戦成績は、ほとんど五分だからなあ」
 ここで「任せろ」と言わずに真面目くさって答えるところが、モートンという男だった。カナリーは若干不満げな表情を浮かべるが、さらに発破をかけようと口を開きかけた瞬間、彼女の胃袋が大きく鳴って空腹を訴えた。
「頭を使うと腹減るよな」
 羞恥の余り顔を真っ赤にするカナリーに対して、モートンが悪意のない言葉で追い打ちをかける。
「よし、じゃあシャレイドを追っかけて、夕飯を奢らせよう。あいつ、さっきの勝負も賭けの対象にしていたから、今頃はちょっとした小金持ちに違いない」
「あいつ、またそんなことしてたの? ばれたら放校処分だってのに、よくもまあ懲りもせずに」
 カナリーはため息混じりの呆れ顔を見せたが、そのまま立ち上がろうとするモートンの横顔を見て、ふと細い眉をひそめた。
「ねえ。その賭けって、シャレイドが負けたら倍額払い戻しで、勝ったらあいつが賭け金総取りってやつだよね」
「そうだよ。あいつがよくやってるやつだ」
 そう答えて振り返るモートンに、カナリーが尋ねる。
「モートンは乗ったの? その賭け」
 カナリーがその質問を口にした途端、モートンの落ち着き払った表情が俄によそよそしくなった。「ええと、いや、そうだな」などという返事まで、急に歯切れが悪くなる。
「カナリー、そんな賭け事だなんてジェスター院生の品位を落とすような真似、この俺がするわけないじゃないか」
「……私が勝つわけないって思ってたから、賭けなかったんでしょう!」
 憤懣やるかたないといった表情で、カナリーが席を立つ。立ち上ってもモートンの顎先ほどの高さしかないのに、カナリーは細い肩を震わせながら構わずに噛みついた。
「モートンまで馬鹿にして! こうなったら、なんとしてでもシャレイドに奢らせないと気が済まない。大体私との勝負を賭けの対象にしたんなら、私だってもらう権利がある!」
「いや、その理屈はどうなんだろう」
「ごちゃごちゃ言ってる暇があったら、シャレイドがどこに行ったのかさっさと探す! ほら、行くわよ!」
 言うや否やカナリーはモートンの背中を力一杯に叩いて、大股に足を踏み出した。カナリーの身体(からだ)は細身だが、全身バネのように弾力に満ちている。シャレイドが立ち去った方向へと勢いよく歩き出す彼女の背中を、モートンの長身が慌てて追いかける。騒々しいやり取りだったにも関わらず、周囲の人々も取り立てて注目することもない。
 初代学長の名前にちなんでジェスター院と呼ばれることの多いここ、ミッダルト総合学院のカフェテリアでは、毎日のように繰り返されている、極めてありふれた光景なのだ。

 創立から二百年余り経つ銀河連邦の中で、惑星国家ミッダルトの歴史は加盟国中最古に近い。最も古いのは銀河系人類始まりの星とされるスタージアだが、ミッダルトはそのスタージアに次ぐ歴史を誇る。初期開拓時代に入植されて以来、乏しい資源の代わりに人材の開発育成に取り組んできたミッダルトは、様々な教育研究機関が揃う星として知られている。特に銀河連邦が発足してからは、多くの留学生が銀河系中からミッダルトへと集まるようになった。
 中でもジェスター院ことミッダルト総合学院は、銀河系でも一、二を争う教育研究機関として名声を轟かせている。
「我らがジェスター院の偉大なる初代学長といえばドリー・ジェスター師だが、実は彼女と俺には浅からぬ因縁がある」
 間接照明の薄明かりが灯る部屋の中、ベッドの上に横たわるシャレイドが、おもむろに芝居がかった台詞を口にした。その横ではまどろんだ目つきの女が、彼に背を向けたままに生返事を返す。彼女の上気した背中に流れかかる長い黒髪を、シャレイドは愛撫するような手つきで梳き上げていた。
「大袈裟ねえ」
 くるまったシーツから覗く剥き出しの肩越しに、女が気怠げな視線を寄越す。
外縁星系(コースト)出身のあなたが、ミッダルト人のジェスター師と関わりがあるの?」
「俺が外縁星系(コースト)に生まれついたのは、元はといえばジェスター師のせいなんだ」
 シャレイドは女の髪から手を下ろして、彼女の身体(からだ)を背後から優しく抱きしめた。耳元に息が吹きかかって、女はくすぐったそうに身をよじらせる。
「俺の爺さんも婆さんも、元々はこのミッダルト生まれだ。だけど爺さんが、ジェスター師が唱えたあの名言を真に受けちまったのさ」
「名言?」
「『銀河系は広い、人類は拡散すべし!』って、聞いたことはあるだろう。その言葉を聞いて熱に浮かされた爺さんは婆さんを連れて、外縁星系(コースト)の中でもとびきりの田舎、当時は開拓間もないジャランデールくんだりまで飛び出しちまった」
 ああ、と女が思い出したように呟いた。
「第二次開拓時代のキャッチフレーズになった言葉ね。中等院で習ったわ」
「うちじゃすっかり家訓扱いだよ。お陰で孫の俺が、ほら、こうして苦労して、いるんだ」
 そう言いながらシャレイドの手は、女の柔らかい身体(からだ)をシーツの上からまさぐっていた。彼の骨張った手が動き回るに連れて、嬌声を上げていた女の声が、やがて甘ったるい響きへと声音を変えていく。
 そのままシャレイドは空いた片手でシーツを剥ぎ取ろうとして、不意にぴたりと動きを止めた。次の瞬間、突然点灯した白色灯の明かりが室内を隅々まで照らし出す。ベッドの上で絡み合うふたりの嬌態も、白日の下に露わになった。
「時間切れだ、シャレイド」
 部屋のスライドドアを開け放して、腕組みをしたモートンが壁に身体(からだ)を預けて立っている。女は慌ててシーツを引き寄せて胸元を隠すが、モートンにとってはありふれたことなのだろう、彼女の半裸を目にしても大して動じる様子を見せなかった。
 女の横では赤銅色の肌も露わなシャレイドの上半身が、頭の後ろに手を組んでいる。上半身同様に何もまとっていないだろう、腰から下はシーツに覆われていた。無駄な贅肉を削ぎ落としたかのような引き締まった痩身の上に、悪びれもせず薄ら笑いを浮かべた顔がある。
「早かったじゃないか、モートン。もう少し手こずるかと思ったんだがなあ」
「手こずったよ。八十手までに終わらせるつもりが、百手以上粘られた」
 そう言ってモートンは頭を掻きながら、シャレイドたちが寝そべるベッドとは反対の壁際の、もうひとつのベッドに腰掛けた。脱いだ上着をシーツの上に放り出そうとすると、既に散らばった女物の衣服が先客として居座っていることに気づく。モートンは太い眉を片方だけ跳ね上げてから、それらの衣服を片手でひとまとめに掴み上げ、そのまま女に向かって放り投げた。
「悪いけど、さっさと服を着てもらえるかな。目の遣り場に困る」
 言葉ほどには困っているようには思えない口調で、モートンが告げる。女は投げつけられた衣服を慌てて掻き集めると、シーツの中で不自由に身体(からだ)を動かしながら着替え始めた。彼の振る舞いを見ていたシャレイドが、ため息と共に大きく頭を振る。
「モートン、女性に対してはもっとこう、紳士的に接するべきだ」
「カナリーに是非聞かせてやりたい台詞だな」
「あいつは女性というより、愛玩用の小動物みたいなもんだろう」
 ふたりが他愛もない会話を交わしている隙に、いつの間にか着替え終えた女がシーツの中からするりと抜け出していた。鏡面張りのスライドドアを鏡台に見立てて乱れた衣服を整えてから、「じゃあね、シャレイド。また誘ってね」と言い残して、早々に部屋を飛び出していく。
 女の後ろ姿がスライドドアに隠れたのを確かめてから、モートンはシャレイドを見返した。
「おい。今の、四回生のフランゼリカだろう?」
「なかなかいい女だぜ。これまでの中でもベスト3に入るな」
「そうじゃなくって。フランゼリカは確か、ジノと付き合っているんじゃなかったか」
「そうだったっけ?」
 とぼけた顔で嘯くシャレイドを見て、モートンは深々とため息を吐き出した。
「ジノが次の対戦相手だからって、わざと彼女に手を出したな」
「モートン、人の恋路に首を突っ込みすぎると、馬に蹴られるぞ」
 シャレイドは薄い笑みと共にそう言い放つと、ベッド脇のサイドテーブルからベープ管を拾い上げた。そのまま吸い口を咥えて、やがて鼻腔から白い煙をくゆらせるルームメイトの顔に、モートンが厳しい視線を投げかける。
「お前はなんでもやり過ぎだ。そんなことをして冷静を欠いたジノに勝ったとしても、恨みを買うだけだろう」
「勝つためには念を入れるのが、俺のやり方だ」
「その割には勝った後のことを何も考えてないじゃないか。大体そんなことをせずとも、十中八九勝てる相手だろうに」
「百パーセントじゃないからな。万一のことがあったら、お前に去年の借りを返すことが出来なくなる」
 理解不能という表情を浮かべるモートンに、シャレイドはそう言ってベープ管の先を向ける。彼の決め台詞は、だがモートンの心に響いたようにはとても見えなかった。
「たかが立方棋(クビカ)だろう。それも非公式の院内大会だってのに、何を熱くなっているんだか」
 友人の呆れ顔に対してシャレイドはただ声を立てずに笑みを漏らし、ベープ管の白煙を今度は口から吐き出した。天井にたどり着いた水蒸気の煙が薄く広がっていく様を見届けてから、モートンは一度切れ長の目を閉じて、再び開いたときには既に表情が切り替えられていた。
「これ以上は何も言わん。決勝でお前と当たりたいのは、俺も同じだからな。それよりも」
 シャレイドの盤外戦術にいくらケチをつけても始まらない。モートンはこれまでも口を酸っぱくして忠告してきたが、今まで聞き入れられたことはないのだ。そんなことに時間を費やすよりは、別の話題を持ち出すべきだろう。
 モートンはベッドに腰掛けたまま、シャレイドに向けて身を乗り出した。
「さっきの話、俺も興味があるな。続きを聞かせろよ」
「さっきの話?」
「お前の爺さん婆さんがジャランデールに移り住んだって話だよ」
「なんだ、聞いてたのか。お前も大概趣味が悪いな」
 今度はシャレイドが呆れ顔を見せる番だった。男女の睦み事の最中の会話を盗み聞きしていたということだから、彼がそんな表情を浮かべるのも無理もない。
「まあいいだろう。優等生のモートン・ヂョウが出歯亀してまで聞きたいというなら、教えてやろう」
 シャレイドのことさら意地の悪い物言いに、モートンが苦笑する。
「出歯亀は言いすぎじゃないか」
「気にするな。さて俺が吸っているこいつ、お前はただのベープ管だと思うか?」
 そう言ってシャレイドは左手に持ったベープ管を、右手で指し示した。
「そう言うからには、何かカラクリがあるんだな」
「カラクリってほど大袈裟な話じゃない。俺のベープ管の溶剤には、“AltN2B”っていう薬液が含まれている」
 聞いたことの無い名前を聞かされて、モートンは戸惑いながら尋ね返した。
「Al……なんだって?」
「AltN2B。通称“オルタネイト”、N2B細胞の機能をほかの細胞で代替するための薬だ」
「オルタネイトだって?」
 今度は聞き覚えのある名前を耳にして、モートンの目が大きく見開かれた。驚愕する友人に向かって、シャレイドが片方の口角だけを吊り上げた笑みを返す。
「俺は先天的にN2B細胞が欠損している。ということは宇宙線障害や疫病に対する防御免疫能力に乏しく、本当ならジャランデールの外に出ることは出来ないはずだったんだ」
「お前、そういう大事なことを、なんで早く言わなかったんだ」
 怒りを示すモートンに、シャレイドは宥めるように言う。
「落ち着け。そんな俺でもオルタネイトを服用していれば、星間旅行も問題ない。そしてこのオルタネイトの開発者こそ、N2B細胞研究を確立させた歴史上の偉人であり、このジェスター院の初代学長であるドリー・ジェスター師というわけさ」
 シャレイドがおどけた表情で言ってのけるので、モートンは興奮の余りベッドから浮かしかけた腰を再び下ろした。シャレイドの人を食った態度は相手の神経を逆撫ですることも多いが、稀に逆に作用することもある。当人が気にしていないのに、他人であるモートンが必要以上に憤るのは馬鹿馬鹿しい話だった。
「先天性N2B細胞欠損症だったかな、この症状は遺伝的なものなんだが、俺の婆さんもそうだった。そこで婆さんを診察したのがジェスター師だそうだ」
「へえ! ジェスター師との因縁ってのは、そのことか」
「それだけじゃない。爺さんはそもそもジェスター師門下の研究生だった。ジェスター師と一緒に婆さんを診て、思わず婆さんに手を出して、師の有り難迷惑な言葉を文字通りに受け取って、わざわざジャランデールまで来て教師をやることにしたのさ。ブライム・ラハーンディといえば、ジャランデールの教育普及に貢献したちょっとした有名人……ってことになっている」
「そういうことか。それは確かに、浅からぬ因縁とでも言いたくなるな」
 ドリー・ジェスターのN2B細胞研究によってシャレイドの祖母はオルタネイトを投与され、そこで知り合った祖父と結ばれ、星間旅行も可能となったためにミッダルトを出てジャランデールへと渡ることになった。そして今、孫のシャレイドもオルタネイトのお陰で、今度はジャランデールからミッダルトまで留学出来るようになったのだ。
「ある意味、ラハーンディ家はジェスター師に振り回されて今に至る、と言えないこともない」
 そう言うとシャレイドは腰の下を覆っていたシーツを撥ね除けて、赤銅色の裸身を起こしてベッドから降り立った。そのままモートンの目の前を、何も身につけないままに横切ってシャワールームへと向かう。彼の悠然とした背中を見送っていると、モートンは揶揄のひとつでも口にしたくなった。
「ジェスター師だって、まさかオルタネイトのせいで、後世のジェスター院がこんな不肖の弟子を迎えることになるとは思わなかっただろう」
 するとシャレイドは裸の背中越しに振り返って、皮肉めいた笑みを浮かべてみせた。
「だとしたら因果応報だ。俺がここにこうしている原因のひとつは、間違いなくドリー・ジェスターその人さ」
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