第2話 厄介すぎる召喚者

文字数 7,537文字

 気が付くと俺は広々とした空間に立っていた。
 白を基調とした部屋で、中央を縦断する形で赤い絨毯が敷いてある。
 壁や天井には趣向を凝らした彫刻が施されていた。
 床は大理石のような材質だ。

(まるでどこかの神殿か城の中のようだな……)

 俺はそんな部屋のちょうど中央辺りに佇んでいた。
 靴底から感じる絨毯の柔らかさにちょっと感心する。

 周りには様々な恰好の人間がいた。
 真っ先に目に付くのは、全身鎧を着た騎士だろうか。
 所謂プレートアーマーで、彼らはやや離れた位置から俺を包囲している。
 その手は剣や槍に触れていた。
 兜で表情は窺えないものの、かなり警戒されているようだ。

 他にも上等な服を着た偉そうな男たちや、ローブを着た人間が俺のことを眺めている。
 その眼差しには様々な感情が窺えた。
 畏怖と興味と期待が入り交じっている。
 よく分からないな。
 どういう心情なのやら。

 赤絨毯の奥では、宝石で彩られた椅子に座る立派な髭の男がいた。
 ご丁寧にも王冠を被っている。
 まさに王様といった風貌だ。
 顰め面の男は、頬杖を突いて俺を睨み付けてくる。

(一体、どんな状況だ……?)

 変な魔法陣で動けなくなったと思ったら、知らない場所にいる。
 そして奇妙な恰好をした奴らに囲まれている。

 悪ふざけにしては凝りすぎているだろう。
 そもそもこんなドッキリを受ける心当たりもない。
 さすがに意味が分からないぞ。

 一番妥当な線は拉致だろうか。
 こういった演出を好む輩がいないとも限らない。
 だとしたら、拘束具の類が着いていないのはなぜだろう。
 俺が大人しくしているという確証でもあるのかな。

「■▲●! ▼◆●▲!」

「●●◆◆! ■●▼!」

「■▲■! ■◆▲▲!」

 現状の考察を行っていると、何やら周りの人間が口論を始めた。
 何を言っているかは不明だ。
 少なくとも英語ではないのは確かであった。
 事態の推移を眺めているうちに、彼らの矛先が俺へと向く。

 どこか落胆された様子で、俺を蔑んだり馬鹿にしたニュアンスが感じられた。
 顔を真っ赤にして糾弾する者もいる。
 とにかく非難されていることは分かった。

 特に上等な服を着た連中の声がデカい。
 必死の形相で唾を飛ばして叫ぶのがそんなに楽しいのだろうか。
 生憎と何語なのか分からないので、俺には返答の一つもできないわけだが。

「何なんだこいつらは……」

 罵詈雑言の中心に立つ俺は、呆れを通り越したものを感じつつあった。
 チリチリと体内にて燻る衝動。
 まだなんとか堪えられる。
 限界は近いものの、箍が外れるほどではない。

 とは言え、この雰囲気が気に入らないのも確かだ。
 わざわざ律儀に待ってやる必要もない。
 不快になった俺は踵を返し、両開きの扉から退室しようとする。

 すると、二人の騎士が俺の前に立ちはだかってきた。

「●●! ▲●!」

「◆▲●▼!」

 二人の騎士は何事かを叫んだ。
 既に武器を抜いて臨戦態勢に入っている。
 俺が勝手に歩き出したことに文句を言っているようだ。

「これ以上は進むなってことかな」

 立ち振る舞いから意図を察することくらいはできる。
 俺の背後にいる騎士たちからも同様に、剣呑な気配が感じられた。

「いやぁ、素晴らしい待遇だね。チヤホヤされて嬉しいよ」

 俺は拍手をしながら騎士たちに微笑む。

 無数の殺気を前に指先が震えた。
 もちろん恐怖による反応などではない。
 抑え込んだ衝動がキリキリと悲鳴を上げる。

「殺り合うかい? 俺はもちろん大歓迎さ」

 対峙する二人の騎士は、ごくりと息を呑む。
 緊張に満ちた表情は戦う者のそれだ。

「――いいね。面白い」

 まさか西洋の騎士と殺し合う日が訪れるとは。
 本当にゲームの世界に迷い込んでしまったみたいだね。
 愉快で仕方ないよ。

 目の前の奴らをRPG風に表現するなら、騎士Aと騎士Bといったところか。
 あとは戦闘コマンドが表示されたら完璧だな。

「●●▼?」

「……◆■●」

 互いに目配せしながら囁く騎士たち。
 それなりに戦い慣れているようだ。
 殺気も満々で何よりである。

「ふむ、来ないのならこっちから行くよーっと」

 慎重すぎる騎士に焦れてきたので、俺はひょいとスキップ気味に前進する。
 剣を扱うのにちょうどいい間合いだった。
 そして、警告無視を主張するのにも十分な動きである。

「▼■●▲!!」

 次の瞬間、騎士Aが雄叫びを上げて斬りかかってきた。

 俺は振り下ろされる刃を躱して、するりと相手の懐に跳び込む。
 予測通りの動きなので簡単なものだった。

「◆●!?」

 驚いた様子の騎士A。
 動揺で反応が鈍い。
 全く以て隙だらけすぎる。

「さぁ、記念すべき一人目だ。景気よく殺ってみよう、っと」

 俺は騎士Aの首に手持ちのナイフを突き刺す。
 刃は鎧の隙間に上手く入り込んでいった。
 そのまま柄を力任せに捻る。

「■◆! ◆▲……●」

 指先から伝わる殺人の手応え。
 騎士Aは兜から血を垂らしながら崩れ落ちた。
 がくがくと手足が痙攣を始める。
 その背中を踏み付けながら、俺は騎士Bに笑みを向けた。

「ほら、相方さんが死んじゃったよ。次は君の番だ」

「▲▼……!?」

 同僚の死を目にした騎士Bは怯えていた。
 へっぴり腰で槍を俺に向けている。
 今にも回れ右をして逃げ出しそうな有様であった。

 俺はため息を吐きながら拳銃を引き抜く。

「はぁ、情けないね……もういいよ」

 大雑把に狙いを付けて発砲。
 騎士Bの胸と腹に一発ずつ命中した。
 至近距離からの弾丸は鎧を容易に貫通し、騎士Bは仰向けにぶっ倒れる。

 その途端、室内がざわつく。

 見れば他の騎士たちが残らず武器を構えていた。
 本格的に俺を殺すつもりらしい。
 今のやり取りからそう判断したようだ。

 少し離れた所にいるローブ姿の人間は、なぜか杖をこちらに向けている。
 あれは一体何のつもりなのか。
 仕込み刀というわけでもなさそうだが。

 上等な服を着た連中も大声で騒いでいるものの、あれは無視して良さそうだった。
 ただの騒音発生装置である。
 攻撃に加わる気配はない。
 あまりに不快になったらスイッチをオフにしに行こう。

 四方八方から注がれる殺気が肌を突く。
 なかなかの歓迎ぶりだ。
 思わずウキウキしてしまうよ。

 俺は朗らかに笑いながら、騎士Bの槍を拾う。

「状況がさっぱり分からないままだけど――もういっか」

 直後、俺は床を蹴って疾走。
 居並ぶ騎士の集団に跳びかかった。
 視線を左右に巡らせて獲物を選定する。

「おめでとう、君が三番目だよ」

 俺と目が合った騎士Cは、慌てて槍で突き出してきた。
 そこそこ鋭い軌道だがまだ甘い。

 俺は上体を逸らして紙一重で回避。
 さらに懐に潜り込むと同時に、騎士Cの首を槍の穂先で刺して薙いだ。

「▼◆▲●●●●!?」

 霧吹きのように迸る鮮血。
 溺れたような声を発しながら、騎士Cは力尽きた。

「◆◆!」

 今度は横合いから騎士Dが迫ってきた。
 携えるのは身の丈に近い大剣だ。
 屈強な体格にマッチしている。

 豪快に振り回されたそれを、俺はバックステップで躱した。
 刃先がジャケットの襟を掠めて切り裂いていく。
 躊躇いがない分だけ攻撃性が高かった。

「……まあ、それでも足りないけどね」

 着地した俺は、振りかぶった槍を投擲する。
 一直線に飛んだ槍は、騎士Dの眼球に突き立った。

 騎士Dは奇妙なステップを披露した末に倒れて動かなくなる。

「よしよし、ホールインワンだね。どんどん殺っちゃうぞ……って、あれ?」

 上機嫌に辺りを見回して気付く。
 残る騎士が不自然に距離を取っていた。
 誰も攻撃を仕掛けてこない。

 ひょっとして、もう怖気づいてしまったのだろうか。
 だとしたら興醒めである。
 まだまだ楽しみはこれからなのだ。

 そう思っていると、斜め前方から複数の強い殺意を受ける。
 俺は反射的に地面を転がった。

 すぐそばを火球が通過する。
 火球は壁に炸裂して小さな爆発を起こした。
 黒焦げになった跡を見て、俺は口笛を鳴らす。

「へぇ、面白いね。誰がやったのかな?」

 火球の飛んできた方向には、ローブ姿の人間がいた。
 彼らは杖を俺に向けて一心不乱にぶつぶつと呟いている。
 ちょっとシュールな光景だな。
 少し気になったので何か起こるまで待ってみる。

 数秒後、杖の先端に火球が生まれて次々と飛んできた。
 俺は数度のバックステップで避け切る。

「騎士の次は魔術師か。ますますゲームだね」

 騎士たちは火球の発射に合わせて後退していたらしい。
 良いコンビネーションである。
 戦意が萎えたわけじゃないと分かって安心したよ。

「そっちがファンタジーなら、こっちはリアル志向で行こうか」

 懲りずに詠唱する魔術師たちに、俺は拳銃の連射で反撃する。

 胸や頭に穴が開いた魔術師たちは、速やかに絶命していく。
 騎士と比べると見るからに貧弱な武装だ。
 魔術自体も予備動作がはっきりとしているので回避は容易である。

 狙いの精度もそれほど高くなさそうだった。
 弾丸に比べれば速度も大したことはない。

 加えてあんな風に棒立ちなんて、殺してくださいと言っているようなものだ。
 固定砲台としては有能かもしれないが、あまりにも致命的な身のこなしであった。

「●▲■! ▲■▲!?」

「……◆▲●」

「◆●……▼▲◆?」

 残る魔術師たちは露骨に狼狽えていた。

 俺の遠距離攻撃が相当な脅威だと悟ったらしい。
 少しでも標的にされないように、彼らは攻撃を控え始める。

 なんとも小心者な連中だ。
 自分たちが安全圏にいないと分かった途端にこれか。

 まあ、いいさ。
 魔術師たちは後できっちりと殺す。
 火球が止まっているうちに、騎士を減らしてしまおうか。

 俺はじりじりと寄ってきた騎士Eに拳銃を向ける。
 引き金に指を当てて、撃つフリをしてみた。

「はい、バンッ」

「▲■●!?」

 案の定、騎士Eは足を止めて防御の姿勢を取る。
 そこへ駆け寄って遠慮なく蹴り飛ばした。
 騎士Eは呻きながら床を転がっていく。

「あはっ、騙されたね?」

 拳銃は弾が残り少ないので温存したい。
 無駄遣いは控えておくべきだろう。
 こんなことなら、きちんと用意しておけばよかったよ。

 自らの失態を嘆きつつ、俺は騎士Eの落とした剣を手に取る。
 せっかくだから、こいつで地道に仕留めていこう。
 起き上がった騎士Eの首を叩き斬りながら、俺は絨毯の上を駆ける。

「もうちょっと粘ってほしいな、っと」

 反応の遅れた騎士Fの脇を刺し貫き、刃を捻り上げて体内を蹂躙する。
 騎士Fはごぼごぼと吐血しながら痙攣しだした。
 兜で表情を見れないのが残念だった。

「◆●●!」

 斜め前方から騎士Gが突進してきた。
 前傾姿勢での刺突だ。
 体重と勢いに任せて貫くつもりか。

 死体から剣を引き抜こうとして、強い抵抗感を覚える。

「ん?」

 見れば剣が鎧に引っかかっていた。
 角度の問題で引き抜けない。

 仕方ないので俺は柄から手を離して無手になった。
 そして、騎士Gの刺突のタイミングに合わせて前方宙返りを行う。

 逆さまになった俺の眼下を刃がすり抜けた。
 それを眺めながら騎士Gの頭部を掴み、思い切り捻り上げる。

「●▼……!?」

 頸椎を粉砕する感触。
 首が回転した騎士Gは、白目を剥いて絶命した。

 俺は倒れゆく死体の背中に着地する。
 そこへ差す大柄な影。
 見上げると騎士Hが仁王立ちしていた。

「おっ」

「◆■●●▼▼! ▼◆!」

 何かを叫んだ騎士Hは、袈裟掛けに剣を叩き込んでくる。

 圧倒的な破壊力を伴って迫る斬撃。
 回避しようもないタイミングだった。
 仲間の死体ごと斬るつもりらしい。

「そういう躊躇の無さは嫌いじゃないね」

 目を凝らして軌道を捉えた俺は、片手の五本指で刃を挟んだ。
 指先に力を込めて斬撃の勢いを殺す。
 首筋ギリギリまで押し込まれたが、なんとか刃を止めることに成功した。
 真剣白刃取りの片手バージョンである。

「▼●◆!?」

「今のは良かったよ、いや本当に」

 驚愕する騎士Hの顔面を掴んで脚を蹴り払った。
 虚を突かれたことによって、全身鎧が体勢を崩す。
 そこから転倒と落下の勢いに任せて、騎士Hの頭部を床に叩き付けてやった。

 鈍い衝突音。
 大理石のような白い床に蜘蛛の巣状の亀裂が走る。
 兜から血を流す騎士Hは、ぴくりとも動かない。

「●●! ◆◆▲!」

「▼●■●!」

 騎士Iと騎士Jが左右からほぼ同時に襲いかかってきた。
 単騎では勝てないと悟ったようだ。
 ここまでの流れからして順当な考えだが、気付くのがちょっと遅すぎるんじゃないだろうか。

 騎士たちの挟撃に対し、俺は持ち上げた騎士Hの死体を盾にする。
 鳴り響く金属音と散る火花。
 二振りの剣は死体の着る鎧に弾かれた。

 その隙を逃さず、俺は二人の騎士の頭部に蹴りと殴打をお見舞いする。
 彼らがよろめいたところで剣を奪い、まとめて斬り殺してみせた。

 崩れ落ちる二つの死体を横目に、俺は頬に付いた返り血を拭う。

「……これでひとまず騎士は売り切れかな」

 室内を見回すも、全身鎧を着た人間はもういなかった。
 該当するのはいずれも血に沈んだ死体だけである。
 もうちょっと張り合いがあると思ったのだが。
 騎士の典型とも言うべきビジュアルに期待しすぎたのかもしれない。

 とりあえず尻餅を突いた魔術師たちも残らず斬殺しておく。
 こちらは恐怖で固まる者ばかりだったので、何の苦労もなく処理できた。
 命乞いらしきことを喚く奴もいたが、何を言っているか分からなかったので心臓を刺して黙らせた。
 もっとも、言葉が理解できたとしても殺したけどね。
 その辺りの平等さは心掛けている。

「……いいね。だいぶスッキリしたよ」

 俺は清々しい気分で笑う。

 これで戦闘体勢に入った人間は皆殺しにした。
 散々騒いでいた上等な服の連中も、今は縮こまって存在感を消している。
 大人しくできるじゃないか。
 最初からそうしていれば良かったのに。
 その恐怖に染まった表情を堪能しながら殺すのもいいが、生憎とその前に仕留めたい獲物がいる。

「そろそろメインディッシュに行こうか」

 俺は視線を玉座へと注ぐ。

 王冠を被った男は、目を見開いて硬直していた。
 辛うじて平静を装っているものの、その眼差しに浮かんだ感情の色は隠せない。
 握られた拳は小刻みに震えている。

「立場上、無様な姿を見せられないのかな? 大変だね」

 血塗れの剣を引きずりながら絨毯の上を闊歩する。
 顔を上げて何か言いたそうな者がいたが、俺が笑みを向けると俯いて黙ってしまった。
 自分の命を賭してでも行動に出るという気概は持ち合わせていないらしい。

 俺からすれば好都合である。
 邪魔されずに国王のもとへ行けるからね。
 このままスパーンと首を刎ねさせてもらおう。

 罵詈雑言の嵐を受けた挙句、騎士や魔術師に集団で襲われたのだ。
 上司にはその責任を取ってもらわないといけない。

「●■▼●……▼■!」

 国王まであと数メートルというところで、一人の少女が俺の前に飛び出してきた。
 少女は両手を広げて立ちはだかる。

「……へぇ」

 俺は少し意外に思いながら、その少女を観察する。

 フード付きのケープに、動きやすそうな紺色のワンピース。
 すらりと身長が高く、百七十センチくらいはありそうだ。

 年齢は二十前後だろうか。
 栗色に近い金髪のロングで、前髪は切り揃えている。
 神秘的な深い紫色の瞳は怯えを含んでいるものの、固い決意に満ちていた。

 美少女と呼称するに相応しい容姿だが、今は泣きそうな顔をしている。
 手足も面白いくらいに震えていた。
 このまま放っておくと卒倒するんじゃないか。
 そんな風に思う程度の怖がり方である。

「●▼■……■◆……!」

 少女は訴えかけるような口調で話すと、何かをつまんで掲げてみせる。
 それは銀の指輪だった。
 装飾のないシンプルなものだ。
 少女はその指輪を俺に投げ渡してきた。

 キャッチした俺は首を傾げる。

「どういうことだ?」

 反射的に受け取ったものの、少女の意図が読めない。
 ひょっとして、これを渡すから見逃してほしいということか。
 だとすれば随分と安く見られたものである。

 僅かな殺気を込めて少女を見やると、彼女は慌てた様子でジェスチャーを披露した。
 どうやらこの指輪をつけてほしいらしい。

(特に罠というわけではなさそうだな……)

 若干警戒しながらも、俺は銀の指輪を指にはめる。

 直後、再び少女が話しかけてきた。

「あの! 私の言葉が、分かりますかっ?」

 意味不明な発音の羅列にしか聞こえなかった内容が、途端に理解できるようになる。
 これはまた不思議な感覚だ。
 タイミングからして、銀の指輪のおかげなのだろう。
 翻訳機能でも付いているのか。

 何にしろ、意思疎通ができるようになったのは大きい。
 いつまでも会話ができないのは不便だからね。

 俺はひらひらと手を振って頷く。

「うん、分かるよ。便利な指輪だね」

「よかった……」

 こちらの答えを聞いた少女は、ほっと胸を撫で下ろす。
 会話が成立したためか、その表情は幾分か和らいでいた。
 俺の言葉も向こうに伝わっているようだ。

 少女は意を決した様子で懇願する。

「突然の召喚とご無礼をお許しください。この世界は魔王の脅威によって滅亡の危機に瀕しています……異界の勇者様、どうかこの世界をお救いください!」

「嫌だよ、面倒臭い」

 俺は正直に答えた。
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