48.  ナスレッディン・ホジャ物語より ➃

文字数 581文字

夜、かみさんと話してて、

明日、雨降りなら薪取りに、天気なら畑へ行こう。

と言うたげな。


するとかみさんは、

何事につけても 「多分」 と言うもんだよ。と注意した。


ホジャは怒って、「多分」なんてことあるかい。

二つに一つは、必ずできるわい。薪取りか野良仕事じゃ!。


翌る日、雨降りだったんで薪取りに行くことにした。

しばらく行くと、一人の兵隊に会ったげな。

おい、おまえ。

これこれへの村へ行く道を教えい!。と言ったげな。

ホジャは見向きもせんで、儂ゃ知らんわい。と答えて歩き続けようとしたげな。

しかし、兵隊は許してくれなんだ。

警棒でホジャを酷うぶちのめし、

この野郎っ!知らんたぁ許さん!さぁ連れて行けい!その村まで、ずうっと案内せいっ!

と怒鳴りつけた。

ホジャは、言うことを聞かなきゃ、どれだけぶたれるかわからんわい、と思うて、

いやいや、相当遠いその村まで連れていったげな。

そのせいで、とうとうその日は薪取りはできんようになってしもうた。


夜遅く、家に戻った。

戸を叩くと、かみさんは、内から、誰?と訊いた。

ホジャは、蚊の泣くような声で、

「多分」......儂じゃろ、お前、すまんが開けてくれい、と声かけた。』


*[絶対]はない。「誓ってはいけない」にも通ずる話し。これは男性向き。

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