夢のチケット

文字数 362文字

「やたらリアルだな」
そうボヤキながらも私は「あなたの夢、叶えます」と謡うホームページを見ている。
ここで『夢のチケット』なるのものを買う仕組みらしい。

購入ページには、必須項目がつらつらと並んでいた。
個人情報
身長体重
家族構成
学歴
資格
交友関係
所得
資産
傷病歴
精神状況
性格
フェチ
趣味趣向
犯罪歴
持政党
人生観

この情報の行先に不安を覚えながらも、夢を叶えるのだから、
事細かに自分のことを伝えなければと納得した。
また、私の情報がどこに売られようが構わなかった。

入力を終えた頃には、外ではかすかな鳥の歌と、新聞配達のカブが走り去る音が聞こえていた。
「あまり眠れた気がしないな」
枕もとの睡眠導入剤に書かれた通りの夢が見られた。
草原で羊を見ることはなかったが、不思議と気分は悪くない。

締め切ったカーテンの隙間から、朝日が頬をなでるように伸びていた。
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