第3話

文字数 1,223文字

「独身最後の旅行に行ってくるね!」
仕事を辞めて気が楽になったのか、美香は友達の成美と一緒に独身最後の旅行と命名して京都から大阪方面の二週間の旅行に出かけた。
後、一ヶ月もすれば、俊樹とオーストラリアへ新婚旅行に行くというのに、ちゃっかり自分だけ特別なご褒美などと訳の分からないキャッチフレーズをつけて、好きなことをしているのだ。
それをダメとも言えない俊樹だったが、逆にハメを外すタイミングがあるのも現実な話だった。
何せ、この三ヶ月間はセックスレスで体のモヤモヤ感はマックスまで達していた。
まずは風俗でも行こうかと思ったが、何か物足りなさがあって仕事が終わってから酒を飲みに出かけた。
この三ヶ月間、美香と二人で食事をしてマンションまで送るのが日課の俊樹であったが、セックスができないことが凄く不満で親友の典英にその苦痛を愚痴ったところ、あんなに可愛らしい彼女と後一ヶ月したら毎日のようにできるのだから、我慢すればいいじゃないかと逆に苦言を浴びせられた俊樹だったが、「まあ、昔のお前を知っている俺としたら、よく我慢しているなと感心しているんだ。」
「さすが僕の親友だ。
ストレスがたまりすぎて、十円ハゲが出来そうだ。」
今までは美香が一緒にいたから言えなかった愚痴を典英に告白した。
確かに、後一ヶ月すれば好きなだけセックスできる。
わかっている。
でも、若い男故、その間のセックスレスは辛い。
その辛い話を親友に愚痴っていると、不意に美人二人組がちょうど席の隣に座ってきた。
今までならすぐに声をかけてナンパをする俊樹だったが、今はそれはタブーである。
そんなことは知っているはずの典英はグイグイと声をかけた。
俊樹と典英はほんの半年前まではよく二人で所構わず、可愛い女性を見ると声をかけて仲良くなった。
その日限りの関係も何度か経験してきていた。
案の定典英は二人の美女のうちの一人を狙っている。
何年も一緒に飲んでいると話方のテンションで大体の感じはわかる。
今日はテンションは高めだ。
典英にはちゃんと付き合っている彼女はいる。
ただこの男の頭の中には、結婚の二文字は全くない。
だから、好きなことをいつでもできると言うのだった。
それがこの男のモットーであった。
しかも、今夜の二人連れはなかなかお目にかかれない美女だった。
一人は彫りが深く美人タイプ。
もう一人は美香ほどではないが、可愛いタイプで男受けするチャーミングな笑顔が印象の女性だった。
まあ、飲み屋で話すくらいだったら美香も怒ったりしないだろう。
少し酒も入っていたせいで、俊樹も久しぶりにテンションが上がった。
ただしこの店は美香と何度か来ていた店なので変な噂を立てられるのは嫌だった。
そこで、典英に飲むのならもう少し落ち着いたところに河岸を変えないかと話した。
もちろん彼女たちがよければのことだったが、二人は全く嫌がることなく他の落ち着いた店に行く事にした。
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